サウンド・オブ・サイレンス(2023)の映画専門家レビュー一覧

サウンド・オブ・サイレンス(2023)

スクリームフェスト・ホラー映画祭で好評を博した短編を長編映画化したイタリア製ホラー。父の入院の報せを受けて故郷に戻ったエマ。事情が不明なままその夜、エマが実家の父の部屋で発見した古いラジオから、ひとりでに音楽が流れ始め……。監督は「デス・アプリ 死へのカウントダウン」のアレッサンドロ・アントナチ&ダニエル・ラスカー&ステファノ・マンダラのトリオが共同で担当。
  • 文筆業

    奈々村久生

    「クワイエット・プレイス」(18)の設定に「透明人間」(20)の要素を取り入れたような一本。ホラー的な映像表現に関しては脅かしに徹した感があり、ヒロインやその家族の物語を生かしたプレーになっているとは言い難く、両者を連動させる演出の腕が望ましい。ただ、最後のエピローグ的なくだりにはジャンル映画やシリーズものにつながる可能性を持った展開があり、描写の新しさも見られたため、そのシークエンスだけを追求して発展させても面白かったのではないかと思う。 

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    怖い場面は生理的には怖かったけど、なんかよくわかんなかったな……。主人公は事件に巻き込まれる前からある問題を抱えてて、怪異現象との対決でそれと向きあわざるをえなくなる王道パターン。呪いの正体も非常に今日的で、それはいいんだけど、どうにも展開が雑でトラウマの治癒もあっさりしすぎ。ラストには過去の亡霊より現実のほうが怖かった的なドンデン返しを期待したが、それはなく、新しい〇〇が妙に長い尺かけて〇〇したのは完全に蛇足なのでは。それとも続篇の序章だったのか。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    壊れたラジオの中にいる幽霊の話である。勝手に出てくることはなく、壊れたラジオを修理して電流が通ったら現れるという、非常に稀有な霊だ。普通、そんな幽霊は廃品回収とともに消えそうだが、たまたま修理好きの父親が直したから、霊が出てきてしまうという、突飛な条件の霊だった。だったら、また壊して焼くなりすればいいだけじゃないだろうか。幽霊の見せ方の怖さは「回転」や「ヘレディタリー/継承」で学べるのに、編集が粗くぷつっと急に物質的な霊が登場するシーンも興醒め。

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