元乃木坂46の松村沙友理が、真逆のドルオタ役に! 映画化も決定した青春コメディドラマ『推し武道』

  • 2023年02月15日

「推しがいるって幸せじゃん」
劇中に登場するこの台詞のように、どっぷりハマるほど好きなものがあるのは幸せなことかもしれない。

5月12日に劇場版も全国公開となるTVドラマ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』。岡山の女性地下アイドルに心奪われた女性を主人公に描いた青春コメディの本作は、アニメ化もされており、“推し武道”の愛称もある平尾アウリ原作の大人気同名漫画を連続ドラマ化したもので、そのBlu-rayとDVDが2月15日に発売された。

元アイドルの松村沙友理が真逆のドルオタ役に挑戦

岡山で暮らすフリーターのえりぴよ(松村沙友理)は、偶然に地元のマイナー地下アイドル『ChamJam』(チャムジャム)の野外イベントを見かけたのをきっかけに、そのメンバーの市井舞菜(伊礼姫奈)に人生全てを捧げる熱狂的オタクとなってしまう。それは収入の全てを推しである舞菜に貢ぎ、自らの服装は高校時代の赤ジャージのみという徹底ぶりで、24時間推しのことを想い、声の限りを尽くして推しの名前を叫ぶ姿は、いつしかオタク仲間からも一目置かれる“伝説”的存在となっていた。

一方、グループ内で最もファンが少なく、内気でシャイな性格の舞菜は、単推し(一人のメンバーを一途に応援すること)してくれるえりぴよを認知しながらも、緊張のあまり“塩対応”してしまう……。「いつか舞菜が武道館のステージに立ってくれたなら……死んでもいい!」と断言する伝説の女性ドルオタ(アイドルオタク)えりぴよのまっすぐでひたむきな活動を、オタク仲間たちとの交流やChamJamメンバー側のドラマも交えつつ、ユーモア満載で軽快に綴っていく。

主人公のえりぴよ役を演じるのは、元乃木坂46の松村沙友理。公式コメントで「かつて推されていた側に立っていた私が、今回は推しを推す側を演じさせていただくということでとってもご縁を感じています!」と語っているとおり、トップアイドルだった松村が、真逆のドルオタを演じているのが面白い。「自分もアイドルだったこともあって、ファンの方からの視点で見えることがとても新鮮で、私自身こうやって応援していただいていたんだなと、自分に刺さるものがとってもありました!」ともコメントしているが、かなりぶっ飛んだキャラクターを、テンション高く振り切って演じており、見事なハマリぶりをみせている。モデルやバラエティでの活躍が目立つ中、女優としても二面性のある悪女役などで注目されてきたが、本作での思い切りのよい芝居は、コメディエンヌとしての実力も証明した。

劇中アイドルグループに扮するのは注目の若手女優&現役ガールズユニット

そして、7人組の岡山の地下アイドル『ChamJam』のメンバーを演じるのは、注目の若手女優の中村里帆、和田美羽、伊礼姫奈の3人と、4人組の現役ガールズユニット『@onefive』。この7人が本当のアイドルグループさながらに演じてみせ、劇中でダンスや歌を披露するだけでなく、彼女たちのドラマも描かれる。また、彼女たちが歌う曲は、好評を博したアニメ版の楽曲を、このドラマ版キャスト7人でリメイクしたもの。アレンジはアニメ版に続き実写版でも劇伴音楽を担当する日向萌が手掛けており、アニメ版へのリスペクトを感じさせる。その他のキャスティングでは、えりぴよのオタク仲間役を、お笑い芸人『レインボー』のジャンボたかお、『MEN'S NON-NO』専属モデルの豊田裕大らが演じており、こちらも原作ファン納得のハマリぶりだ。

アイドル沼にハマる人の想いが理解できる青春群像

「推し」や「死ぬ」などの強い言葉が入ったタイトルを見て、オタクを描いた作品と敬遠する人もいるかもしれないが、本作はユーモアと愛を持ってドルオタの沼にハマってしまう人の生態をポップに描いた、誰もが楽しめる作品だ。劇中に、「接触」(握手会やサイン会など交流イベント全般の総称)、「鍵開け」(握手会で一番目に握手すること)など、専門用語の紹介がテロップとナレーションで入るのも親しみやすい。また、ドルオタをユーモラスに描いたり、理解できない人がいることは描いても、バカにして笑わせたり、俯瞰から見ると滑稽だといったような描き方はしない。

例えばChamJamのメンバーやその運営スタッフが、えりぴよの過剰な偏愛ぶりを目撃した際、驚きや戸惑いはしても、ひいたりバカにしたりという描写はない。推す側も、その思いを受けて推される側も、本気で真っ直ぐに向き合う姿を笑いと感動の青春群像として描いている。とはいえハマる人たちやアイドルを闇雲に礼賛した描き方をしているわけでもなく、フラットな視点での描写を心がけていることも感じられ、共感できるかどうかは人それぞれだと思うが、アイドルの沼にハマる人の生態やどういう気持ちでハマっていくのかがよく理解できる物語となっている。実際に同じような推しがいる人には、気持ちがわかりすぎて泣けるという反響があったのも、見ているうちに納得できるはずだ。

また、恋人のような気持ちで推しているファンもいれば、メジャーデビューへの礎となることを尊いものだと考えて無償の愛を注ぐファンもいて、主人公が同性アイドルを推していることも含めて多様な「推し」の形が描かれる。推されるアイドル側の想いや地方の地下アイドルの悲哀なども描かれ、推す側、推される側の双方に、深い想いや熱狂があり、まさに青春なのだ。アイドルに限らず、「推し」がいることや熱中して応援できるものがあることは幸せかもしれないと、笑いながら思えてくる。

Blu-ray BOXには特典コミックスやメイキングも収録

2月15日に、Blu-rayとDVDが発売されるが、特製収納ボックス仕様のBlu-rayには、様々な特典が収められる。初回限定特典としては、『「推しが武道館いってくれたら死ぬ」コミックス 第8.5巻』を収録。総計64頁の同書には、原作者の平尾アウリ描き下ろし漫画『第44.5話』や、松村らメインキャストによるコメントインタビューを掲載。描き下ろし漫画は、ドデカバームクーヘンが登場する原作第8巻の44話に続く、YouTube企画の物語で、チャンネル登録者数を増やすべく、ChamJamがミニドラマ撮影に初挑戦するという。

さらに、Blu-rayには、総計56分に及ぶ映像特典も収録。『撮影舞台裏メイキング』では、2話毎に変わるエンドロール映像用にダンスの練習をしていた松村に「さすがプロだ」「すげ~」と感嘆の声があがったり、ChamJamキャストの楽し気なオフショットなど、オール岡山ロケで行われた和やかな撮影現場の様子を見ることができる。松村がクランクアップ時に「一生終わらないでほしい」と語っていることからも、充実した撮影現場だったことが窺える。他にも、放送でも注目度の高かった劇中歌のキャストパフォーマンスの完全版を見ることができる『スペシャルダンスクリップ』を収録。ChamJamの『ずっと ChamJam』『Fall in Love』と、ChamJamのライバル“めいぷる♡どーる”の『@スイーティー』の3曲それぞれに、ミュージックビデオver.とダンスショットver.の2種類が収められている。

なお、その『ずっと ChamJam』『Fall in Love』『@スイーティー』と、劇中音楽を収めた『ドラマ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」音楽集』も発売中。そして、5月12日には、「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」も公開。お互いを大切に想っているのにすれ違い続けてきた、えりぴよと舞菜のもどかしくて歯がゆい新たなエピソードはもちろん、ChamJamの初披露曲や“東京進出!?”も描かれるようで、まずはドラマ版をぜひともおさえておきたい。

文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社

ドラマ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』音楽集

●好評発売中 ¥3,300(税込)
▶音楽集の詳細情報はこちら

【仕様・特典】
・原作:平尾アウリ描き下ろしジャケット
・特製20Pブックレット(音楽作家陣による全曲ライナーノーツ収録)

<ライナーノーツ寄稿作家>
・日向萌 劇伴音楽 作曲・編曲/「ずっと ChamJam」「Fall in Love」編曲
・ヒザシ 「ずっと ChamJam」作詞・作曲
・平尾アウリ 「ずっと ChamJam」作詞協力
・Funta 「Fall in Love」作詞・作曲
・渡辺翔(「@スイーティー」作詞・作曲)
・fu_mou(「@スイーティー」編曲)

【収録曲数】
全29曲予定(劇伴22曲+劇中歌4曲+劇中歌インスト3曲)

ドラマ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』Blu-ray & DVD

●2月15日(水)Blu-ray BOX&DVDリリース(全10話)
▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら

●Blu-ray BOX:19,800円(税込)

【特典・仕様】
■特製収納ボックス
■映像特典(56分)
 ・撮影舞台裏メイキング
 ・スペシャルダンスクリップ/「ずっと ChamJam」「Fall in Love」「@スイーティー」
 ※ミュージックビデオ ver. & ダンスショット ver.の2種類をそれぞれ収録

【初回限定特典】
■「推しが武道館いってくれたら死ぬ」コミックス 第8.5巻(64P)
<収録内容>
・原作平尾アウリ描き下ろし漫画『第44.5話』
 YouTubeチャンネル登録者数を増やすべく、ChamJamがミニドラマ撮影に初挑戦。
 ドデカバームクーヘンが登場する原作第8巻・44話に続く、ChamJam YouTube企画の物語。

・キャストコメントインタビュー
 えりぴよ役 松村沙友理
 五十嵐れお役 中村里帆/松山空音役 MOMO(@onefive)/伯方眞妃役 KANO(@onefive)
 寺本優佳役 GUMI(@onefive)/水守ゆめ莉役 SOYO(@onefive)/横田文役 和田美羽/市井舞菜役 伊礼姫奈
 メイ役 喜多乃愛/瑠璃役 速瀬愛/ひなか役 根岸可蓮/玲奈役 片田陽依
 基役 豊田裕大/くまさ役 ジャンボたかお(レインボー)

●DVD:13,200円(税込)

※【販売店舗別先着購入者特典】などはこちらからご確認ください

●2022年/日本
●出演:松村沙友理、中村里帆、MOMO(@onefive)、KANO(@onefive)、SOYO(@onefive)、GUMI(@onefive)、和田美羽、伊礼姫奈、豊田裕大、ジャンボたかお(レインボー)
●監督 : 大谷健太郎、北川瞳、高石明彦
●脚本 : 本山久美子
●音楽 : 日向萌
●主題歌 : 「未来図」 @onefive (avex trax)
●企画・プロデュース : 清水一幸
●プロデューサー : 辻知奈美、矢ノ口真実(The icon)、高石明彦(The icon)
●音楽制作 : ポニーキャニオン
●制作協力 : The icon
●制作著作 : 「推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会・ABC
●原作 : 平尾アウリ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」(リュウコミックス)
©平尾アウリ・徳間書店/「推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会・ABC
©平尾アウリ/徳間書店

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【映画化決定!】
2023年5月12日 全国公開
「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」
映画公式サイト:https://oshibudo-movie.com/
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