『相棒』新シリーズ放送直前!杉下右京×冠城 亘の最終章『season20』を振り返る

20年以上継続中の水谷 豊主演の大人気刑事ドラマ『相棒』シリーズ。今年3月まで放送していた『相棒 season20』では、7シーズンにわたって杉下右京(水谷 豊)の“相棒”を務めてきた冠城 亘(反町隆史)の特命係としてのラストエピソードを描き、シリーズとしての大きな節目を迎えた。その『相棒 season20』のDVD-BOXとBlu-ray-BOXが、伝説のコンビが復活と話題の新シーズン初回放送日と同日の10月12日にリリースされた。

天才? 変わり者? 杉下右京と特命係

『相棒』シリーズは、2000年6月に単発ドラマとしてスタート。2002年からは連続ドラマ化され、4本の劇場版と2本のスピンオフ映画も公開している。基本的には1話完結のバディものの刑事ドラマだが、社会性を反映した犯罪捜査ミステリーを主軸にしながらも、型にはまらない多彩な物語が高い評価を受けている。日本を代表する長寿刑事ドラマとして人気を博しており、前シーズン『season19』のソフト販売も好セールスを記録した。

水谷 豊が演じる警部の杉下右京は、天才的な知識力・推理力・洞察力を有しているが、常に紳士的かつ冷静沈着ながらもマイペースな変わり者。正義感が強く、真相究明のためには暴走することもあり、警察庁のキャリア組だったが、ある事件を機に“陸の孤島”と揶揄される警視庁の窓際部署の特命係に追いやられた。その特命係は、配属された右京の部下が次々と辞めていくため“人材の墓場”とも称されていたが、熱血漢の亀山 薫(寺脇康文)が警視庁捜査一課から左遷。当初はぶつかり合いながらも次第に良き“相棒”となった二人は、様々な事件を解決に導いていくこととなる。その後、右京の“相棒”は、辞職や異動など様々な事情により変遷。二代目はスパイ的な形で警察上層部から送り込まれながらも右京と信頼関係を築いた神戸 尊(及川光博)、三代目はある事件で偶然関わった右京に見込まれて特命係に引き抜かれた甲斐 享(成宮寛貴)、そして、4代目の相棒となったのが、元法務省のキャリアという異色の経歴を持つ冠城 亘だった。

右京と独特な関係性を築いた相棒・冠城 亘

反町隆史が演じた冠城 亘は、今回の『season20』で特命係を去ることにはなったが、『season14』から7シーズンにわたって右京の相棒を務め、出演回数は歴代最多の138回を誇る。

冠城は法務省のキャリアで、人事交流により警視庁警務部に出向していたが、ある事件で右京に興味を持ったことから特命係に居座ってしまう。その後、法務省を退官し、ノンキャリアとして警視庁に入庁。警察学校での研修後に総務部広報課を経て、正式に特命係へ配属された。

唯一、特命係に自ら希望して異動してきた冠城は、熱血漢の亀山、クールな神戸、若くて行動派な甲斐とは違い、大人の余裕やユーモアがあり、行動の読めない飄々とした男。一見軽そうにも見えるが、頭の回転が速い切れ者でもあり、その行動は大胆不敵。右京の暴走を面白がっている節があり、からかうこともある。優秀すぎる右京に誰もが怯む中、冠城は臆するどころか右京の行動を逆手にとり、対立も恐れない。

右京も当初は冠城を警戒していたが、二人は互いに認め合う頼れる存在として次第に阿吽の呼吸を見せるようになり、冠城はある意味で右京と独特な関係性を築いた刺激的な相棒となった。

右京と冠城の別れ、再登場キャラなど見所満載

そんな冠城のラストシーズンとなった『season20』の見所は、まずは冒頭第1~3話で描かれた連続エピソード。これは、衝撃的な結末を見せた『season19』から繋がるストーリーとなっている。白バイ隊員だった出雲麗音(篠原ゆき子)が銃撃された事件から始まる『season19』の第1~2話と第19~20話の連続エピソードでは、IT長者の加西周明(石丸幹二)、内閣官房長官の鶴田翁助(相島一之)、内閣情報調査室の柾庸子(遠山景織子)らが関わる国家規模の大事件が描かれてきたが、『season20』冒頭3話は、2シーズンをまたいで累計7話にわたって描かれてきたこの事件の最終決着を見ることができる。さらに第1話には『season3』で登場した元内閣官房長官の朱雀武比古(本田博太郎)が実に17年ぶりに再登場する他、第3話のラストでは驚きの人物も顔を見せている。

シリーズファンが特に見逃せないエピソードとしては、特命係“第3の男”こと陣川公平(原田龍二)が再登場する第4話、冠城の姉・由梨(飯島直子)が初登場する第11話、特命係に逮捕された過去を持つ元詐欺師・平井(風間杜夫)が再登場する第15話、右京と親交の深かった元鑑識課員の米沢 守(六角精児)が再登場する第17話などがある。

他にも、“8050問題”の社会問題を背景にした第5話、刺殺事件の被害者の生まれ変わりだという青年が現れる第9話、右京が動画配信者となる第12話、芸術家の才能を巡る結末が奥深い第14話、異色の設定が光る第16話など、輿水泰弘を始めとする多彩な脚本家が手掛ける、『相棒』シリーズならではの物語が楽しめる。

そして、第19話と最終話の第20話では、政界復帰を目指す片山雛子(木村佳乃)、国家公安委員長の大物議員・鑓鞍兵衛(柄本 明)らが再登場する他、警視庁広報課在籍時の冠城の元上司・社美彌子(仲間由紀恵)、法務省在籍時の冠城の元上司・日下部彌彦(榎木孝明)といった冠城と関係の深い人物たちも絡み、冠城の特命係での最後の事件が描かれる。静かな感動に満ちた右京と冠城の別れのシーンは、右京が初めてある言葉を口にするのと共に、水谷 豊と反町隆史自身の想いとも受け取れるような名シーンとなっている。

また、冠城らしいともいえる今回の結末は、『相棒』シリーズの世界観をさらに広げることにもなると思われ、今後の新たな展開やさらなる進化が期待できそうだ。

水谷 豊と反町隆史の貴重なインタビュー特典映像

10月12日リリースのDVD-BOXとBlu-ray-BOXには、総計約85分もの特典映像を収録。

相棒の生みの親でもある脚本家の輿水泰弘と、監督の橋本 一が手掛けたTELASAオリジナルのスピンオフ『とりしらべ』は、特命係と捜査一課の主要レギュラーが総登場。放送開始直前に配信されたスペシャル動画では、水谷 豊と反町隆史が『こてまり』のセットで裏話などを語る他、第1話に繋がる『season19』のエピソードの振り返りも行っている。撮り下ろしとなる、放送直前に収録した水谷 豊と反町隆史のインタビューではここでしか見れない裏話が。元日スペシャルと最終話の放送前に情報番組内で放送されたインタビューでは、反町が涙を抑えきれない様子も見られる。さらに各話のPRスポット集を収録する他、各話の主要ゲストを含む登場人物紹介のデータを見ることもでき、再登場キャラクターの復習も行える。また、スペシャルハンドブック『特命事件ファイル20』の封入特典もあり、充実の各種特典が収められている。

DVD-BOXとBlu-ray-BOXが発売した本日、水谷 豊&寺脇康文が14年ぶりにタッグを組む相棒の最新シリーズ『season21』もいよいよスタート。『season20』を見直したい方や見逃していた方はもちろん、近年のシリーズを見ていなかった初期ファンも、この機にぜひ進化を続ける『相棒』シリーズの現在に触れてみてはいかがだろうか。

文=天本伸一郎 制作=キネマ旬報社

『相棒 season20』

●10月12日(水)Blu-ray BOX&DVD-BOX I・IIリリース(全20話)※レンタル同日リリース
Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら

●Blu-ray BOX:41,800円(税込)
【封入特典】
・スペシャルハンドブック「特命事件ファイル20①&②」
【映像特典】
・『相棒season20』スタート直前スペシャル動画 前篇・後篇
・水谷 豊×反町隆史スペシャルインタビュー
・「とりしらべ」
・元日スペシャルインタビュー(『グッド!モーニング』2021年12月30日より)
・最終話スペシャルインタビュー(『グッド!モーニング』2022年3月23日より)
・PRスポット集

●DVD-BOX I:19,250円(税込)
【封入特典】
・スペシャルハンドブック「特命事件ファイル20①」
【映像特典】
・『相棒season20』スタート直前スペシャル動画 前篇・後篇
・水谷 豊×反町隆史スペシャルインタビュー
・「とりしらべ」
・PRスポット集

●DVD-BOX II:19,250円(税込)
【封入特典】
・スペシャルハンドブック「特命事件ファイル20②」
【映像特典】
・元日スペシャルインタビュー(『グッド!モーニング』2021年12月30日より)
・最終話スペシャルインタビュー(『グッド!モーニング』2022年3月23日より)
・PRスポット集

●2021年/日本
●出演:水谷 豊 反町隆史
●発売元:株式会社テレビ朝日 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング
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