バブルの映画専門家レビュー一覧

バブル

『進撃の巨人』の荒木哲郎が監督を務めた長編アニメ。世界に降り注いだ泡で重力が破壊された東京は、家族を失った一部の若者たちの住処となり、パルクールの戦場となっていた。ある日、ヒビキが無軌道なプレイで海に落下すると、不思議な力を持つ少女ウタが現れる。声の出演は、「さんかく窓の外側は夜」の志尊淳、エンディングテーマも担当するアーティスト、りりあ。、「地獄の花園」の広瀬アリス。第72回ベルリン国際映画祭正式出品作品。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    マーケティング的にポスト新海誠を狙った作品のほとんどが、ガワをなぞるだけで内容的にも興行的にも遠く及ばないのは、新海作品がパーソナルな感情や思想に深く根ざしたものであるということを見誤っているからだろう。それを最もよく知るはずのプロデューサーの川村元気が、まるで工業製品のような魂の抜けた作品を繰り返し世に送り出している謎。作品世界、キャラクター、劇中のゲーム、すべての設定が上滑りしていて、最後まで一向にカタルシスが訪れない。ただ事ではない空虚さ。

  • 映画評論家

    北川れい子

    実は公開に先行してネットフリックスで世界配信された本作を、つい半分ほど覗いてからスクリーンで観たのだが、沸騰するような華麗な映像の迫力はやはりスクリーンで観てこその体験で、細部まで描き込まれた画像を惜しげもなく背景にするあたり、その背景までもっと観ていたくなる。当然ながら音、音響効果も劇場版は段違いに生々しい。大量に降り注ぐ謎の泡で破壊された東京が舞台の、まんま人魚姫物語だが、キャラもアクションも見応えある。カラフルな万華鏡的映像を堪能した。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    本作は、同じように人魚姫を設定の根っこに持つ「崖の上のポニョ」よりも世界認識が鈍いものになっていると思った。かつては私も鈍い少年→男であり、いまも基本そうだが、自分のこどもが女の子なために、こういう、男の子のために女の子が死にます、それは美しいことで、死んでゆく女の子も満足そうで、男の子は悲しみ、成長します、みたいなものがほんとにやるせない。世界の、傲った半分である男のほうに向きすぎていてつらい。お前が死ね。パルクールアクションは良かった。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事