デンジャー・クロース 極限着弾の映画専門家レビュー一覧

デンジャー・クロース 極限着弾

ベトナム戦争でオーストラリア軍が参戦した伝説の激戦“ロングタンの戦い”を再現する戦争ドラマ。1966年8月、ハリー・スミス少佐率いるD中隊は、ベトコン部隊の偵察に向かうが、遮蔽物の少ない森林地帯を進む第11小隊に容赦ない機関銃掃射が浴びせられる。出演は「荒野にて」のトラヴィス・フィメル、「X-ミッション」のルーク・ブレイシー、「サンクタム」のリチャード・ロクスバーグ。監督は「殺し屋チャーリーと6人の悪党」のクリフ・ステンダーズ。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    最近では珍しいタイプの戦争映画。ベトナム戦争で米軍に加担した豪州。東西冷戦の代理戦争は泥沼化。敵の顔が見える至近距離の攻防は、ときには敵とのドラマを生んだはずだが、それは一切描かれず、少人数で激戦を勝ち抜いた果敢な豪州を賞賛する内容。よくある複雑な現代社会の曖昧な正義ではなく、非難されるベトナム戦争で隠されてしまう英霊と帰還兵を称える右翼的思想。これが豪州の消えゆく、もしくは再生するアイデンティティのひとつか。このような映画の存在は重要。

  • フリーライター

    藤木TDC

    あまり知られてないオーストラリアのベトナム戦争参戦を描く。彩プロ配給の戦争映画は去年の「アンノウン・ソルジャー」もそうだったが、接近銃撃戦で歩兵が次々と死んでゆく陰々滅々な内容が多い印象。だが私はそんなヒロイズムなき戦場描写に燃える。そもそも豪軍は同盟義務による援軍なので戦勝メリットが小さく、目的意識の低さを示す序盤とラストの汚れたシートにくるまれ転がる死体の対比が参戦の虚しさを強烈に物語る。エンドロール末尾に出る戦死者の年齢には胸が痛んだ。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    寡聞にしてベトナム戦争におけるロンタンの戦いを知らなかったので、若いオーストラリア軍兵士に容赦なく襲いかかる砲弾に胸が痛む。ただ、演出にもっと工夫がないと二番煎じの映画に見えてしまう。すでに過去にもベトナム戦争を扱った様々な映画で、極限状態の兵士たちの異様な精神状態は繰り返し観てきているし、ホラーばりに人が死ぬ描写も体感してしまっている。何か頭抜けたものがないと、ベトナム戦争を描いた大量の映画群の中では、印象に残らず埋もれてしまう気が。

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