1950 水門橋決戦の映画専門家レビュー一覧

1950 水門橋決戦

朝鮮戦争で、アメリカ軍と中国軍が直接戦った1950年の「長津湖の戦い」をリアルに描き、世界興収1130億円を超える大ヒットとなった「1950 鋼の第7中隊」の続編となるアクション映画。長津湖の激闘の後、第7中隊はアメリカ軍の退路を絶つため、水門橋の破壊を命じられる。出演は前作に引き続き、ウー・ジン、イー・ヤンチェンシー、ドアン・イーホン、チャン・ハンユー。監督はツイ・ハーク。前作を共同監督したチェン・カイコー、ダンテ・ラムはプロデューサーに名を連ねている。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    旧作かと疑うほどに直球の国威発揚映画となっており驚く。敵の米兵については一切それぞれの背景が描かれないだけではなく、司令官級の人物を除き、顔さえもほぼ映らないままに次々と殺されていく。一方で兵士の顔がはっきりと捉えられる中国側についても、続篇ゆえの省略の関係か家族や背景をめぐる演出は控え目で、仲間のために命を捨てる、捨て身の行為の美徳ばかりが強調される。金のかかった戦闘場面はさすがにある程度の迫力はあるものの、俯瞰とスローの乱用は看過し難い。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    前作を見ていればそれなりに解消されると思われるが、本作単体で見たときには、中心になる人物を把握するのも困難で、語りの視点も散漫になってしまっているように感じた。また主要人物や各隊の描き分けも視覚的なレベルから不十分だと思われる。そのため、一向に人物は個として立ってこず、最後までとある一群の兵士たちのままだが、にもかかわらず唐突に始まる人間ドラマには戸惑うしかなかった。また“英雄的”な特攻ばかりが挿入されるハイライトのオンパレードで、食傷気味に。

  • 文筆業

    八幡橙

    前後篇合わせて約5時間半。製作費270億円、エキストラ7万人、中国歴代1位の興収1130億円と、異様なまでにすべてが破格。無尽蔵に続く爆撃、止まない高らかな音楽、終始浮遊するカメラがそれらと共に延々映し出すのは、朝鮮戦争における中国軍の対米死闘、その一点。ツイ・ハーク単独演出の今作は、見せ場が終盤に集中し、より平板な印象に。第7中隊の自己犠牲精神への賛美は、現在の国際情勢に鑑みるだに複雑な思い。伍万里役イー・ヤンチェンシーの眼光が唯一、映画的美点。

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