炎のデス・ポリスの映画専門家レビュー一覧

炎のデス・ポリス

広大な砂漠地帯にたたずむ小さな警察署が怒涛のカオスと化すバイオレンス・アクション映画。故あって手練れの詐欺師、冷酷非情な殺し屋、サイコパスの殺人鬼の悪党3人が集結。射撃の名手にして正義感の強い新人女性警官も加わり、四つ巴のサバイバル・バトルが繰り広げられる。監督は「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」(10)「コンティニュー」(21)のジョー・カーナハン。主人公の殺し屋ボブを「300 スリーハンドレッド」(07)の大ヒット以来、快進撃を続けるジェラルド・バトラー。詐欺師テディにマーベル・シネマティック・ユニバースのブラック・ラムロウ/クロスボーンズ役で知られるフランク・グリロ、サイコパスのアンソニーを「ゴースト・バスターズ」(16)「ハロウィン」(18)のトビー・ハス。そして紅一点、華麗なガンプレイを披露するヴァレリーに、「ハリエット」の若手女優アレクシス・ラウダー。警察署だけで繰り広げられるシチュエーション、入念に作り込まれた濃密なゲス野郎たちのキャラクター、ひねりの効いたプロットの末に、予想外のどんでん返しが待ち受ける、最凶のクライム・エンターテインメント。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    主人公の女性警官がいきなり襲われる序盤から終始一貫して、緊張感を持続させつつ意外性のある展開を連続して盛り込んでいくサスペンスとサプライズのバランスが、エンタメ作品として絶妙な塩梅。誰が味方なのかはっきりしない状況で二転三転するストーリーは見応え十分だし、各人物、とりわけサイコパスの殺し屋アンソニーのキャラ立ち具合は素晴らしい。ガンアクションは一見やや地味にも映るが、いずれも警察署という限定された空間の性質を生かしつつ演出と呼応しており効果的。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    警察署を舞台に素性のわからぬ男たちが銃撃戦を繰り広げるというシチュエーションは非常に心躍る。しかし、極めて限定的なポイントに向けて強者どもが集結し、それぞれ突破を試みる、内と外の攻防が実に愉快なカーナハン演出の本領は発揮されていないように見える。特に男たちの謎をもったいつけた演出で先延ばしする前半部分は私は乗れなかった。また、警官が状況を打破するために、詐欺師と殺し屋、どちらを信じるかという展開もどうにもピントが外れているように感じた。

  • 文筆業

    八幡橙

    振り切った邦題や若本規夫氏のナレも濃厚な予告篇から、ごった煮風クライム・コメディを想定したら、思いの外渋めのトーンに序盤、戸惑う。実像はむしろ「羊たちの沈黙」+「要塞警察」とでも呼んでみたい、辺境の警察署という密室で繰り広げられる心理戦に重きを置いたサバイバル活劇。新人警官(アレクシス・ラウダーがいい!)を筆頭に、バトラーの殺し屋やグリロの詐欺師、サイコ殺人鬼など面子は大いに興味をそそるが、訳アリ人物を盛り込みすぎた感も。70年代風の空気は痺れた。

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