キャメラを止めるな!の映画専門家レビュー一覧

キャメラを止めるな!

口コミで奇跡の大ヒットを飛ばした「カメラを止めるな!」のフランス版リメイク。日本で大ヒットした“ゾンビもの”のリメイクを30分間生放送、カメラ1台でワンカット撮影を引き受けたフランス人監督。問題続出の現場を乗り越え、最後まで完走できるのか?出演は「彼は秘密の女ともだち」のロマン・デュリス、「アーティスト」のベレニス・ベジョ、「カメラを止めるな!」の竹原芳子。監督は「アーティスト」のミシェル・アザナヴィシウス。
  • 映画評論家

    上島春彦

    オリジナル版も本欄で私が担当。両方を逐一比較したわけではないがコンセプトは一緒。もっと変えても良かった。とはいえ人物名の件のリメイクならではの趣向がグッド。また劇伴(サントラ)も有能な音楽家が即興的に付ける。ここの劇伴ギャグも定石だが利いている。こういう作品を見ると映画は低予算の方が面白いと確信する。ただしそこは30分ワンカットという技術革新あってだから、安けりゃいいということではない。車椅子移動車とか肩車リフトとかの涙ぐましい工夫を愛でたい。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    アザナヴィシウスの過去作である「アーティスト」や「グッバイ・ゴダール」など、まったく煮えきらないオマージュとしか感じられなかったが、本作に関しても同じ印象が否めない。ただし単にフランスでリメイクするだけではなく、日本でヒットしたゾンビ映画をリメイクする製作過程を見せるというメタ的な構造にしたのは英断だった。オリジナル版とほぼ大枠は同じでありながらも楽しめてしまうが、それは上田慎一郎の「カメラを止めるな!」の功績であって決してこの作品のではない。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    良く出来てはいたものの、ゾンビ自体にはさしたる愛着もなく、映画業界の労働搾取を美談にまとめあげてしまった原作を、子供ですら騙されないエセ白黒映画で名を成したミシェル・アザナヴィシウスがリメイクするということで、なんとも嫌な予感がしていたが、画質が原作よりも若干良くなったという点以外はやはり厳しい。作劇や人間描写における、「日本的幼児性」を西洋人が再現すると何十倍もの耐え難さとなって回帰してくるという事実を白日の下にさらしてくれたのは収穫。

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