こんにちは、私のお母さんの映画専門家レビュー一覧

こんにちは、私のお母さん

中国湖北省出身、1982年生まれの喜劇女優ジア・リンが母との実話を元に監督・脚本・主演に初挑戦、全世界興収 900 億円を記録した大ヒット作。元気で明るいだけが取り柄の娘が交通事故にあった母の枕元で懺悔すると20 年前にタイムスリップ、母の幸せのために孤軍奮闘する物語。撮影時39歳にしてヒロインの高校生を演じたジア・リンをはじめ、中国版ツイッター微博(ウェイボー)で「2021年度実力俳優」に選出されたチャン・シャオフェイが若き日の母を演じ、喜劇王シェン・トンは劇中でジア・リンと漫才を披露する。タイムスリップによる予測不能と懐かしさ、熱血スポ根ドラマ、母のライバルとの戦い、そして世界中どこも変わらぬ親子の愛情など、見どころ溢れるパラレルワールド・コメディ。
  • 映画評論家

    上島春彦

    本作に関しては、物語の背景が監督(にして主演女優)と亡き母親の実生活にあることをきちんと知って見た方が楽しめる。エンディングのクレジットに余計ぐっとくると思う。未来を変えようという時間旅行SFみたいに見せかけるものの、実際はそうじゃない、ということも知っておいてもらって構わない。勝ち組負け組みたいな嫌な観念もやっぱり中国には横行しているようだ。でも本当に幸せなのは、という物語。「母は何でも知っている」というサブタイトルがついていても良かったかな。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    生まれた瞬間から「母」だった一人の女性の若き頃に出会うため、娘が1980年代へとタイムスリップする。かつての大切な誰かがそばにいるかのように幻視させる終盤の美しいシークエンスは、同じく中国人女性の作家によるデビュー作「アラヤ 無生」(20)のそれを彷彿とさせた。「母」は「母」である以前に、ひとりの女性であり、人間である。一般大衆向けに広く受け入れられるための世俗さをやや感じさせもするが、この映画はそんな当たり前のことを思い出させてくれる。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    フィクションの難所がことごとく雑に処理されていて、金はあっても才能のまったくない映画学生が卒業制作にリメイクした「バック・トゥ・ザ・フューチャー」といったところか。あの頃は貧しかったが幸せだったとか、時代が移り変わろうが家族愛だけはゆるがないとか、どこかの衰退国がすがっているようなしょうもないお題目はさっさと卒業して、大国中国がアメリカとは全く違う形の大衆エンターテイメントとしての「電影」を世界に届けてくれる日を心待ちにしている。

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