マスカレード・ナイトの映画専門家レビュー一覧

マスカレード・ナイト

「マスカレード・ホテル」から続き、東野圭吾のミステリーを主演・木村拓哉、監督・鈴木雅之で映画化。ホテル・コルテシア東京での捜査から2年。大晦日の仮装パーティーに殺人犯が現れるという密告状が届き、新田は再びホテルマンの山岸と組み潜入捜査する。前作から続き破天荒な刑事・新田浩介を木村拓哉が、優秀だけど生真面目なホテルマンの山岸尚美を長澤まさみが演じるほか、豪華キャスト陣が揃う。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    主人公に作品外のイメージが流れ込んでいることを是とするかどうかが、スター映画の評価の分かれ目になるわけだが、木村拓哉ファンの自分でも本作にはまったくノレなかった。初参入キャストには木村が近年ドラマで共演してきた役者が目立ち、前作に続いての数々のテレビタレントのカメオ的起用にもシラけるばかり。リスク回避最優先なサラリーマン的思考が隅々にまで侵食していて、昭和的な滅私奉公を体現し続けるだけの本シリーズのヒロインのように、作品全体が鈍重で退屈だ。

  • 映画評論家

    北川れい子

    大晦日のホテルの仮面舞踏会――。まるで正月映画の繰り上げ公開かと勘繰りたくなるような、華やかで浮き足だっている別世界にいきなり引きずり込まれ、その誘導力、まずは上々だ。で前作同様、ゲスト役の俳優陣の賑やかし的エピソードと、立場の違う主役コンビの些細な衝突、及びホテルに張り込んだ警察の動きが三つ巴的に描かれていくが、ド派手な仮面舞踏会を経て判明する事件の真相よりも、作品自体の別世界ぶりの方が印象的で、結構楽しめる。主役コンビのサービス演技も。

  • 映画文筆系フリーライター

    千浦僚

    秋のミステリ祭り。もはや近年は木村拓哉氏のあの物腰を相米慎二が若い頃から誰に対しても敬語を使わなかったとか左翼やアナーキストには意識的に敬語や慇懃さを拒否する人がいることと同列に捉えたい気もするが、あの強気と無縁に生きる私は木村氏の物腰が苦手。あれが最も合わないのがサービス業。ヤンキーがキレる瞬間を予感させつつ給仕する牛丼屋の不穏もマスカレード。警察は性悪説、ホテル側は性善説で世界認識対決。それらが本作の根本。真犯人役俳優の力量に唸る。

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