海辺の金魚の映画専門家レビュー一覧

  • フリーライター

    須永貴子

    小川未祐の“スクリーンジェニック”な魅力を余すところなく捉えており、彼女のプロモーション作品として最高の仕上がりだ。夏の風景、子役ではない子供たち、少女と大人の間で揺れるヒロインを、山崎裕が撮影すれば当然の仕上がりの、その先へと到達している。わかりやすい事件ではなく、当事者にとってはその後の人生を大きく左右する出来事を、確かな演出力でさりげなく丁寧に描く。金魚のモチーフの使い方も上手い。過去の事件を絡めての社会派の色付けは中途半端だった。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    淡水魚の金魚は、海に放つと死んでしまう。少女はそれをわかってそうするんだろうか。それとも、そうとは知らずに鉢から解放してやったのか。前者なら何故そうするか意味がわからないし、後者なら少女はあまりにも幼い。児童養護施設で小さな子供たちの世話もする彼女が、そんな幼稚な子とはとても思えない。等々何か言いがかりをつけているようで申し訳ないが、この映画が好きなだけに余計にあのシーンに割り切れないものを感じたのだ。小川未祐がいい。それだけで見る価値はある。

  • 映画評論家

    吉田広明

    児童養護施設の高校生と小学生の二人の少女の物語だが、高校生が小学生を気に掛ける根拠が曖昧。母に対する感情が鍵となるのは分かるが、それぞれに違っていて共通項があまり見いだせない。毒入りカレー事件をモチーフとする意義も不明。最後に海に金魚を放つ行為も解放という積極的な行為なのか、殺すというネガティヴな行為なのかはっきりしない(殺すにしても過去との決別という前向きな行為であることは確かだが)。丁寧に演出され好感持てるだけにもっと磨きをかけて欲しかった。

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