ソニア ナチスの女スパイの映画専門家レビュー一覧

ソニア ナチスの女スパイ

スパイとしてナチスに潜入した女優の実話を映画化。ナチス占領下のノルウェーで、ナチスの国家弁務官テアボーフェンは、女優ソニアをプロパガンダに利用しようと画策する。一方、ソニアは隣国スウェーデンから、スパイとしてナチスに潜入するよう要請される。出演は、「ヘラクレス」のイングリッド・ボルゾ・ベルダル、「ダウンサイズ」のロルフ・ラスゴード、「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」のアレクサンダー・シェーア、「プラネタリウム」のダミアン・シャペル。監督は、ノルウェーの俊英イェンス・ヨンソン。脚本は、「ヒトラーに屈しなかった国王」のハラール・ローセンローヴ=エーグとヤン・トリグヴェ・レイネランド。
  • 非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト

    ヴィヴィアン佐藤

    ドイツ占領下時で実在したノルウェー女優でありスパイ。「他人を演じる才能」が女優であることとスパイ活動を同義に定義される。女優とは「職業」なのか「生き様」なのか。全ての職業に該当する問いである。ナチズムを善悪の領域に回収するのではなく、ある条件下では誰にでも起こりうる例のようだ。家族のためにスパイ活動に身を投じたのではあるが、「演じる」ことへの悦楽もあったのではないか。地下政治活動、ナチ、夫婦、女優。「職業」の従事の隙間に人間性が顔を出す。

  • フリーライター

    藤木TDC

    ロマンチック・サスペンスの体だが、女性が素人スパイとして働かされる緊張感がなく物足りない。また当時のノルウェーのレジスタンス多発や主人公が演じたナチス・プロパガンダの実物、戦後の彼女の人生などの場面がなく、歴史実話の重厚感に不足する。いっぽう手練れの女優がナチス将校と若いイケメン外交官をさばけた感じに二股不倫する展開はハーレクインロマンス風味、撮影と美術が上品かつ淫靡でメロドラマを見たい人はそれなりに酔える。そこはオッサンの私もニヤニヤした。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    良くも悪くもなんの引っかかりも心に生まれない作品だ。まだ稚拙さがインパクトになっている失敗作や駄作のほうが見応えはあって、本作のように抑揚もなく話が流れていくだけの映画は、生ぬるくてつらい。ナチスに侵入する二重スパイという、いくらでもサスペンスフルになり得る出来事が茫洋と演出され、ぼやけた顔立ちの俳優陣が特にはっちゃけるわけでもなく淡々と芝居を繰り広げる。ただ全体に語りすぎないさじ加減は利いていて、ラスト辺りは大人の冷静さがある。

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