小澤啓一での検索結果

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  • 小澤啓一

    三歳のとき教師だった父の転任で台湾へ渡り戦後帰国。本籍地は山口県萩市。鹿児島県立川辺高校から早稲田大学第一文学部国文科に進み、56年3月卒業。在学中から脚本家を志し、一時小国英雄のシナリオ工房に在籍したが、「第三の男」を見て感激、56年4月、日活助監督部入社。川島雄三、井上梅次、西川克巳らにつくが、「零戦黒雲一家」「赤いハンカチ」ほかでの舛田利雄から大きな影響を受ける。石原裕次郎出演作を軸に、井上、舛田らの日活正統アクション路線を継いで68年4月「大幹部・無頼」で監督デビュー。以降、日活契約監督として渡哲也主演の“無頼”シリーズほかを撮る。71年の「関東破門状」のあと、同社のポルノ路線に沿ってアクション・ポルノを試みたが空しさを感じて遠ざかり、71年以降テレビ映画中心。73年フリー。『太陽にほえろ!』『大都会』『西部警察』『私鉄沿線97分署』などアクション・シリーズのほか、二時間ドラマを手がけている。80年、にっかつで七年ぶりの劇映画「鉄騎兵、跳んだ」を撮り、モトクロス・レーサーの若者を描いて迫力ある青春映画に仕上げた。88年春、にっかつがポルノから一般映画“ロッポニカ”へ路線変更、その第一陣として村松友視原作「メロドラマ」を撮り、神代辰巳作品「噛む女」と二本立て公開された。

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  •  日活株式会社製作、1974年劇場公開の田中登監督ロマンポルノ作品『㊙色情めす市場』(まるひしきじょうめすいちば)4Kデジタル復元版が、発表・開催が延期となっていた第78回ヴェネツィア国際映画祭のクラシック部門(ヴェニス・クラシックス)に選出され、現地で2月10日から5月26日まで開催される映画祭「CLASSICI FUORI MOSTRA 2022」において5月12日に上映されることが決定しました。   「ヴェニス・クラシックス」は2012年に設立されたヴェネツィア国際映画祭の一部門で、世界の映画関係者によって過去1年間に復元されたクラシック作品の中から、特に優れた作品が選出され、上映されます。日本映画はこれまでに『七人の侍』(黒澤明監督)、『お茶漬けの味』(小津安二郎監督)、『山椒大夫』(溝口健二監督)、『無法松の一生』(稲垣浩監督)、『復讐するは我にあり』(今村昌平監督)など、名だたる巨匠の作品の復元版が選出されています。  昨年9月にヴェネツィア国際映画祭が開催された際には、新型コロナウィルスの感染拡大により、クラシック部門の選出作品の発表や開催が延期される事態となっていました。しかしこの度、ヴェネツィア国際映画祭と主催団体を同じにするクラシック作品の映画祭CLASSICI FUORI MOSTRAが2月よりヴェネチアで開催されることが決定。昨年のヴェニス・クラシックスに選出された作品も満を持して発表され、CLASSICI FUORI MOSTRAの中で上映されることになりました。『㊙色情めす市場』は「1970年代の日本のピンク映画の中で最高傑作の1つ」と紹介されています。  ヴェニス・クラシックスにおける日活作品の選出は今回が初めてで、日活ロマンポルノ作品の世界三大映画祭での選出も今回が初となります。  『㊙色情めす市場』はロマンポルノを代表する監督の1人、田中登の代表作。公開時、一般映画も含めた「映画芸術」誌ベストテンで第3位にランクイン。大阪・釜ヶ崎を舞台に、たくましく生きる人々の姿を描いた映画史に残る傑作。約1,100本あるロマンポルノ作品の中で最高傑作とする映画人も多く、特に愛されてきた一作です。   【田中登(たなか・のぼる) 1937年8月15日-2006年10月4日】 長野県白馬村生まれ。 明治大学文学部に在学中、黒澤明監督『用心棒』などの作品にアルバイトとして参加する。1961年、大学卒業後に助監督として日活に入社。同期には小沼勝、結城良煕、小原宏裕がいる。 助監督として鈴木清順、今村昌平、西河克己、舛田利雄、小澤啓一をはじめ日活在籍監督の多くにつき経験を積み、日活がロマンポルノに転向後、1972年『花弁のしずく』で監督デビュー。当初より、色彩感覚や風景描写、シュールなモンタージュなど独特のセンスを発揮し高い注目を集め、7作目の『㊙女郎責め地獄』(1973年)で日本映画監督協会新人奨励賞を受賞。その後も『㊙色情めす市場』(1974年)を始めとする傑作を次々に発表し、日本映画界に衝撃を与えた。『実録阿部定』(1975年)、『江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者』(1976年)、『人妻集団暴行致死事件』(1978年)は、キネマ旬報ベストテンに選出され、日活ロマンポルノにおけるエース監督としての地位を確立。また、東映に招聘され『神戸国際ギャング』(1975年)、『安藤昇のわが逃亡とSEXの記録』(1976年)の監督をつとめつつ、ロマンポルノ作品も引き続き発表した。1980年代以降は、2時間ドラマを中心にテレビ作品へと活躍の場を拡大し、映画と並行して数多くのテレビドラマ作品を手掛けた。 強いこだわりを持って作品を作り上げる姿勢を貫き、生涯で25本の映画と78本のテレビ作品を残した。日活ロマンポルノを象徴する監督の一人である。 【フィルモグラフィ】 花弁のしずく(1972)/ 牝猫たちの夜(1972)/ 夜汽車の女(1972) /好色家族 狐と狸(1972)/ 官能教室 愛のテクニック(1972)/ 昼下りの情事 変身(1973)/ ㊙女郎責め地獄(1973)/ 真夜中の妖精(1973)/ 女教師 私生活(1973)/ ㊙色情めす市場(1974)/ 実録阿部定(1975)/ 神戸国際ギャング(1975)/ 江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者(1976)/ 安藤昇のわが逃亡とSEXの記録(1976)/ 発禁本「美人乱舞」より 責める(1977)/ 女教師(1977)/ 人妻集団暴行致死事件(1978)/ ピンクサロン 好色五人女(1978)/ 天使のはらわた 名美(1979)/ 愛欲の標的(1979)/ハードスキャンダル 性の漂流者(1980)/ もっと激しくもっとつよく(1981)/ 丑三つの村(1983)/ 蕾の眺め(1986)/ 妖女伝説’88(1988) 【ロマンポルノとは】 1971年-88年の間に製作・公開された成人映画で、『団地妻 昼下りの情事』(西村昭五郎監督/白川和子主演)と、『色暦大奥秘話』(林功監督/小川節子主演)が第1作。わずか17年の間に約1,100本公開された。 一定のルール(「10分に1回絡みのシーンを作る、上映時間は70分程度」など)さえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。そして、キネマ旬報ベストテンや日本アカデミー賞に選出される作品や監督も生まれた。 また、通常3本立ての公開を維持するため量産体制を敷いたことにより、若い人材が育成された。中平康、鈴木清順、今村昌平ら稀代の才能をもつ監督のもと助監督として経験を積み、ロマンポルノの中で作家性を発揮した監督として、神代辰巳、小沼勝、加藤彰、田中登、曾根中生らが生まれ、あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めた。 ロマンポルノから出発した監督には他にも村川透、相米慎二、根岸吉太郎、池田敏春、中原俊、那須博之、金子修介、石井隆などがいる。80年代に入り家庭にビデオデッキが普及し、アダルトビデオが低料金でレンタルできるようになると、日活ロマンポルノの劇場に足を運ぶ人は次第に減り、1988年4月、日活はロマンポルノの製作を終了すると発表。 トリュフォーが神代の『四畳半襖の裏張り』を観て感嘆したとか、ニューヨークでの神代の特集上映が満席だったなど、ロマンポルノで活躍した監督たちの回顧上映などが、国内海外で、現在も頻繁に行われている。   【第78回 ヴェネツィア国際映画祭について】 イタリアのヴェネツィアで開催される映画祭。今回は現地9月1日~11日に開催された。世界三大映画祭の一つで、コンペティション部門を含む複数の部門からなる。前回コンペティション部門に出品された黒沢清監督『スパイの妻』が最高賞に次ぐ銀獅子賞を受賞し、大きな話題を呼んだ。第78回となる今回は、日本から湯浅政明監督『犬王』がオリゾンティ部門で上映されたが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け、クラシック部門の選出作品の発表と開催は延期となっていた。 ヴェニス・クラシックス 2012年に設立されたヴェネツィア国際映画祭の一部門で、世界の映画関係者によって過去1年間で復元されたクラシック作品の中から、特に優れた作品が選出され、ワールドプレミア上映される。日本映画はこれまでに『七人の侍』(黒澤明監督)、『お茶漬けの味』(小津安二郎監督)、『山椒大夫』(溝口健二監督)、『無法松の一生』(稲垣浩監督)、『復讐するは我にあり』(今村昌平監督)など、名だたる巨匠の作品の復元版が上映されており、同部門における日活作品の選出は今回が初めて。また、日活ロマンポルノ作品としても三大映画祭での選出は今回が初となる。今回選出された他の作品にウィリアム・フリードキン監督『フレンチ・コネクション』などがある。 CLASSICI FUORI MOSTRA(日本語読み:クラシッチ・フォーリ・モストラ) 2020年からヴェネチアで開催されている、復元映画の映画祭。今年は現地2月10日から5月26日に開催される。主催はヴェネツィア国際映画祭と同じくヴェネツィア・ビエンナーレで、同団体映画部門の代表であり、ヴェネツィア国際映画祭のディレクターも務めるアルベルト・バルベーラ氏が中心となって発足した。ヴェニス・クラシックスの盛況を受け、映画史に名を刻んだ過去の名作を更に多く観客に届けると同時に、現在活動している映画製作者にインスピレーションを与え続けることを目的に設立された。また、名作映画の上映を通じて学生に教育的な豊かさを提供することも目的の1つとしている。 毎年10数作品が上映され、今回は14作品が上映される。過去の上映作品に『エイリアン』(リドリー・スコット監督)、『グッドフェローズ』(マーティン・スコセッシ監督)、『地下水道』(アンジェイ・ワイダ監督)等がある。第2回となる昨年は、パンデミックの影響を受けて急遽ボローニャでの開催となった2020年のヴェニス・クラシックス選出全13作品が上映され、邦画では『無法松の一生』(稲垣浩監督)と『復讐するは我にあり』(今村昌平監督)が含まれた。なお、設立以降続く新型コロナウィルスの影響により、開催時期・会場は年によって異なる。  【作品情報 『㊙色情めす市場』 】  「うちな、なんや、逆らいたいんや…」 ロマンポルノの名匠・田中登が、大阪・釜ヶ崎を舞台に、 ともに娼婦として生きる母と娘を通して、生と性に切り込んだ孤高の傑作! 19歳のトメは、組織に入らず、ドヤ街の近くで客を引くフリーの娼婦。店やヤクザから組織に入るよう言われても、頑として従わない強気だが、知的障がいのある弟には限りなくやさしい。同じ娼婦である母との諍い、指名手配犯にそっくりの男や駆け落ちしてきたカップルとの出会いと別れ、そして弟の出奔を通して、トメが決意した覚悟とは…。ドヤ街で隠し撮りしたドキュメンタリーのような生々しい映像、トメを演じる芹明香の圧倒的な存在感、モノクロからカラーへ転調する爆発力が、見る者すべてに鮮烈な印象を焼きつける映画史に残る傑作。 監督:田中登  脚本:いど あきお 撮影:安藤庄平 照明:新川真 録音:木村瑛二 編集:鍋島惇 美術:川崎軍二 音楽:樋口康雄 出演:芹明香 花柳幻舟 宮下順子 絵沢萠子 夢村四郎 萩原朔美 高橋明 岡本章 坂本長利 小泉郁之助 榎木兵衛 島村謙次 小林亘 中平哲仟 清水国雄 荻原実次郎 庄司三郎  1974年/83分/パートカラー   ©日活 【4Kデジタル復元版について】 日活株式会社が所蔵する35㎜マスターネガを素材として、2021年にデジタル復元を行ったもの。 復元:日活株式会社 デジタル修復:シネリック  「日活ロマンポルノ50周年×キネマ旬報創刊100周年」コラボレーション企画、過去の「キネマ旬報」記事からよりすぐりの記事を掲載している特別連載【あの頃のロマンポルノ】の全記事はこちらから 日活ロマンポルノ50周年企画「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の全記事はこちらからご覧いただけます。 日活ロマンポルノ50周年新企画 イラストレーターたなかみさきが、四季折々の感性で描く月刊イラストコラム「ロマンポルノ季候」