金子修介 カネコシュウスケ

  • 出身地:東京都渋谷区初台
  • 生年月日:1955/06/08

略歴 / Brief history

【エンタテインメント映画の愉しさを追求する娯楽作家】東京都渋谷区の生まれ。高校時代から8ミリ映画を撮り始める。監督を志望するが映画界の当時の斜陽化を考えて東京学芸大学小学校教員養成過程国語学科に進む。在学中は教育実習を経験しつつ、8ミリ製作も継続。映像芸術研究会に所属し、直接の先輩に押井守がいた。難関だった日活に合格、1978年に助監督として入社し小原宏裕、森田芳光らにつく。84年、「宇能鴻一郎の濡れて打つ」で監督デビュー。明朗な喜劇タッチで注目される。森田の助監督をつとめつつロマンポルノを2本手がけ、85年、「みんなあげちゃう.」で一般映画に進出。同年にっかつを退社。88年にはコメディ「山田村ワルツ」、ロマンポルノ終焉への惜別を込めた「ラスト・キャバレー」、「1999年の夏休み」の3作を発表し、ヨコハマ映画祭監督賞。少年たちの幻想的な愛憎劇を若い女優が演じた「1999年の夏休み」はニューヨーク近代美術館の“ニュー・ディレクター・ニュー・フィルムズ”に選出される。89年、中山美穂と宮沢りえ出演「どっちにするの。」がヒット、アイドルの企画ものを高品質に仕立てるエンタテインメント作家としての評価を確立する。95年、「ガメラ・大怪獣空中決戦」で愛着の深い怪獣映画を現代的に再生・発展させ、ジャンル色を越えた評価を集めてブルーリボン監督賞。続く「ガメラ2・レギオン襲来」(96)は映画初の日本SF大賞を受賞し、さらにスケールを拡げた「ガメラ3・邪神〈イリス〉覚醒」(99)で3部作を完結。その実績により「ゴジラ・モスラ・キングギドラ/大怪獣総攻撃」(01)を監督、ゴジラとガメラ両方を手がけた唯一の監督となる。以降も「恋に唄えば♪」(02)、「デスノート」2部作(06)、「プライド」(09)、「ばかもの」(10)などを送り出す。【あらゆるジャンルで結果を出す手腕】デビュー作をはじめとする初期の作品で、パロディやコメディを介すれば美少女とエロスは同居し得ることを証明、サブカルチャーの土壌を育てた先駆者の一人である。以来アイドル、怪獣、SF、時代劇に漫画原作とあらゆるジャンルの題材を常に水準以上の娯楽作に仕上げ、ほかの監督作品の続編、テレビシリーズなどにも柔軟に対応。新人女優の魅力を的確に引き出す手腕は一貫して評価されており、作り手側の意見を伝える文才も豊か。一方で自身の企画を何年もかけて進める粘りを持ち、例え中断しても持ち込まれた企画に活かし、職責を全うしつつ自分の歌を奏でる術に長けてきた。長いブランクも無ければ気の緩んだ駄作もほぼ皆無という驚異的経歴の背景には、撮影所時代に培ったプログラム・ピクチャーの方法論を自覚的かつ戦略的に実践してきた明晰さと、映画やテレビ、漫画に没頭した少年時代の憧れを忘れない初心がある。

金子修介の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • ゴールド・ボーイ

      制作年: 2024
      中国のベストセラー作家ズー・ジンチェンの小説を映画化したクライム・エンターテインメント。事業家の婿養子、東昇は、自らの欲望のため、義父母を殺害する。だが偶然、その現場を13歳の少年たちが目撃。東昇を強請り大金を手に入れようと画策するが、……。出演は「ゆとりですがなにか インターナショナル」の岡田将生、「キリエのうた」の黒木華、「リボルバー・リリー」の羽村仁成、「沈黙の艦隊」の江口洋介。
    • 百合の雨音

      制作年: 2022
      3人の個性派監督を迎え、多彩なジャンルで女性の強さや美しさを描き出す日活ロマンポルノ50周年記念プロジェクト「ROMAN PORNO NOW(ロマンポルノ・ナウ)」の第3弾。「宇能鴻一郎の濡れて打つ」(84年)などの日活ロマンポルノの傑作を生みだした金子修介が登場。高橋美幸のオリジナル脚本で、「百合」をモチーフにしたロマンポルノの伝統を踏まえて、新しい解釈で女性同士の恋愛を描く。出演は「5 to 9」の小宮一葉と、「信虎」の花澄。
    • 信虎

      制作年: 2021
      武田信玄の父であり、甲府を開府した信虎の晩年を描く本格的時代劇。信玄によって追放され、京で足利将軍の奉公衆となった信虎。追放より30年の時が流れ、信玄が危篤に陥ったことを知った齢80の「虎」は、武田家存続のため最後の知略を巡らせる――。信虎を演じるのは36年ぶりの主演作となる寺田農。信虎の娘で15歳のお直に谷村美月。榎木孝明、永島敏行、渡辺裕之らベテラン俳優に加え、矢野聖人、荒井敦史、石垣佑磨の若手俳優も参加。また、武田家の映画「影武者」で織田信長を演じた隆大介の遺作となった。監督は「デスノート」の金子修介、音楽に「影武者」などの池辺晋一郎、武田家考証に武田氏研究の第一人者・平山優を迎えたほか、撮影の上野彰吾、衣裳の宮本まさ江、特殊メイク・スーパーバイザーの江川悦子、美術装飾の籠尾和人、VFXスーパーバイザーのオダイッセイなど、日本映画の最高峰のスタッフが結集。武田信玄生誕500年の記念イヤーである2021年日本公開。
    • こいのわ 婚活クルージング

      制作年: 2017
      「DEATH NOTE デスノート」の金子修介によるヒューマンドラマ。65歳・バツイチの元会社社長・門脇誠一郎は、第二の人生を歩もうと婚活を始める。最初のお見合い相手のナギは取材を兼ねて潜入した編集者で、二人は会って早々大喧嘩をしてしまう。出演は、「本能寺ホテル」の風間杜夫、「アイアムアヒーロー」の片瀬那奈。2017年11月11日より広島先行公開。
      90
    • リンキング・ラブ

      制作年: 2017
      萩島宏による同名ネット小説を「ガメラ」シリーズの金子修介監督が実写映画化。両親の離婚危機を阻止するため、2017年からバブル終焉直後の世界へとタイムスリップした女子大生・美唯が、若き日の母親やその友人たちと共にアイドルグループ・ASG16を結成する。出演は、アイドルグループAKB48の田野優花、「22年目の告白 私が殺人犯です」の石橋杏奈、「Dance!Dance!Dance!!」の白洲迅、「超高速!参勤交代 リターンズ」の中尾明慶、「笑う招き猫」の落合モトキ。脚本は、金子修介と「太陽の蓋」の長谷川隆。
      70
    • スキャナー 記憶のカケラをよむ男

      制作年: 2016
      狂言師・野村萬斎が初めて現代劇に挑んだ異色ミステリー。物体や場所に残った記憶や思い=残留思念を読み取れる特殊能力を持つ元お笑い芸人の男が、かつてコンビを組んでいた元相方と共に失踪したピアノ教師を探すうちに、思わぬ事件に突き当たる。監督は「デスノート」シリーズの金子修介。脚本を「探偵はBARにいる」シリーズの古沢良太が手がけた。野村萬斎が手をかざし残留思念を読み取る元芸人に扮するほか、お笑いコンビ『雨上がり決死隊』の宮迫博之が彼の元相方を、二人に捜査を依頼する女子高生を「トイレのピエタ」の杉咲花が演じる。