ブレット・トレインの映画専門家レビュー一覧

ブレット・トレイン

伊坂幸太郎の小説『マリアビートル』を「デッドプール2」のデヴィッド・リーチがブラッド・ピット主演で映画化。仕事復帰した殺し屋レディバグは超高速列車でブリーフケースを奪うという指令を受けるが、列車に乗り込んだ彼に殺し屋たちが次々と襲い掛かる。出演は、「グレイテスト・サマー」のジョーイ・キング、「ザ・ウォール」のアーロン・テイラー=ジョンソン、「ゴジラvsコング」のブライアン・タイリー・ヘンリー、「ザ・ロストシティ」のサンドラ・ブロック。
  • 映画評論家

    上島春彦

    日本が世界に誇る夢の超特急で不良外国人集団がろくでもないことをやらかす、というナイスな設定。タランティーノ派を苦手な私には疑問だったが、好きな人なら★4つかも。この監督は傑作「アトミック・ブロンド」での仙元誠三級にシャープな長回しアクションが忘れ難いものの、本作では人工的なセッティングが目立つ。せっかくの真田広之の殺陣なのにもったいない。音楽にカルメン・マキとか坂本九を使うセンスは楽しい。何より私はプリンスという女性の肉食的な悪らつさがダメでした。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    外からの眼差しで撮られた異空間の日本を含め、荒唐無稽さがかえって癖になってくる。新幹線のダイナミックなアクションのかたわら、「水」に執拗に拘り続ける細部も効いている。「王子」という女性キャラクターは男児を望んだ親のための名をあえて引き受け、自分は「誰かの妻」や「いつか母になる」存在ではないと威勢よく言ってみせるが、結局は「女性は狡賢くて計算高い」とするようなステレオタイプに嵌っていくしかなく、フェミニズム的な視点では期待しないほうがよいだろう。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    筆者は映画自体が面白ければリアリズムなど二の次だと信じている人間だ。だが、スマホひとつでこれだけの情報が手に入る時代に、さすがに現実を馬鹿にしすぎではないだろうか。筆者がこれまで好んできたこの監督のアイロニーは今作において空転するばかりで、白人以外の人種は名もなき血肉の山となり、日本産の幼く未熟なストーリーも相まって、地球環境に優しそうな冷気だけが客席をつつみこんでいた。好き放題演技しているときのブラピはいつも素晴らしいんだけど。

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