ハード・ヒット 発信制限の映画専門家レビュー一覧

ハード・ヒット 発信制限

「SEOBOK/ソボク」のチョ・ウジンが主演を務めたアクション・スリラー。いつものように子どもたちを学校へ送り届け、クルマで職場に向かう最中、“クルマから降りれば、仕掛けた爆弾が爆発する”と謎の脅迫電話を受けた銀行員ソンギュの運命は?共演は『サバハ』のイ・ジェイン、「操作された都市」のチ・チャンウク。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    ブルートゥースを前提とした運転と通話を両立させる設定はそれなりに目新しいが、犯人との駆け引きとカーチェイスを同時進行させる程度で、それほど生かされていない。各登場人物たちの行動の裏にある動機は理解できるものの、主人公、犯人、警察それぞれが目的を達成するために選択する行動はことごとくあまりにも理にかなっていない。そのため、たとえ彼らの無能さも演出の一環であるとしても、肝心の爆弾をめぐるサスペンス演出が中盤以降完全な機能不全に陥ってしまった印象。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    車に仕掛けられた爆弾が本当に爆発するか半信半疑な冒頭付近で爆弾の一つがいきなり爆発。事態の深刻さを問答無用でわからせ、かつ爆発による怪我のため、お金を工面し爆弾からの解放を目指すだけではなく、一刻も早く病院に行かねばならぬという複数のタスクが一気に課せられる瞬間は素晴らしい。そういうタスクが積まれていく前半は楽しいのだが、それらを解決するパートへの移行やその手段は上手くいってるとは思えず、特に車が立ち往生してからテンションが落ちていき残念。

  • 文筆業

    八幡橙

    “速度を落としたら即アウト”の「新幹線大爆破」や「スピード」を思わせる、“車から降りたら即アウト”の手に汗握るサスペンス。時限付きである点含め通じるところが多い「テロ、ライブ」他、数々のヒット作を手掛けた編集マン、キム・チャンジュの長篇デビュー作は、緩急や寄り引きにさすがの技が覗く。今や韓国映画に欠かせぬチョ・ウジンと、娘役イ・ジェインが超密室空間で見せる極限の顔と顔、その確かな演技が最大の吸引力に。釜山・海雲台の長閑な風景もまた、実に効果的。

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