クーリエ:最高機密の運び屋の映画専門家レビュー一覧
クーリエ:最高機密の運び屋
キューバ危機の裏で繰り広げられた知られざる実話を、ベネディクト・カンバーバッチ主演で映画化したスパイ・サスペンス。CIAとMI6の依頼を受けた英国人セールスマンのウィンは、モスクワでGRU高官と接触して得た機密情報を西側に運び続けるが……。出演は、「ブリッジ・オブ・スパイ」のメラーブ・ニニッゼ、ドラマ『マーベラス・ミセス・メイゼル』のレイチェル・ブロズナハン、「ワイルド・ローズ」のジェシー・バックリー。監督は、「追想」のドミニク・クック。
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映画監督/脚本家
いまおかしんじ
主人公の体がめっちゃ痩せてるけど、あれはどうやったんだろう。こちらの気づかないところでいろんな工夫がされている映画と思う。主人公がどこにでもいるセールスマンっていう設定がいい。家族を愛してる普通のおっさんが政治に翻弄される。相手のロシア人もまた家族の前では普通のおっさんだ。おっさん二人の奇妙な形の友情が、少しずつ育まれていく様が微笑ましい。それに比べて周りの政治家たちが、みんな一様に薄っぺらなのは何だろう。話がでかすぎて、嘘っぽかった。
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文筆家/女優
睡蓮みどり
英国人のセールスマン、グレヴィル・ウィンを演じたベネディクト・カンバーバッチのすごくない凄みを見せつけられる。60年代米ソの緊張感が高まる中、スパイ経験のないウィンは突然、軍事機密の運び屋として世界を背負わされる。洗練されたプロではないから得られた人間関係のなかで、特にメラーブ・ニニッゼ演じるペンコフスキーとの友情に胸が熱くなる。妻との関係性にも信頼関係が試され、スパイと家庭の物語がリンクする瞬間が面白い。特にラスト15分の臨場感に圧倒された。
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映画批評家、東京都立大助教
須藤健太郎
「なんでそんなにモスクワに行くの? 誰か他に女の人が?」スパイ活動をしていると、妻に浮気を疑われる。「違うんだ、でも僕がスパイなのは秘密なんだ」心の中で叫ぶウィン。夫婦の間に亀裂が走り、世界を救う大作戦はやはり家族を犠牲にしてしまう。表向けはそう見せつつ、これは結局ほんとに浮気でしたっていう、そういう話。牢獄でのやっと会えたね。妻とも握らぬ手を握る二人。ついに解放されて帰国したウィンは、ソ連側の諜報員ペンコフスキーの笑顔を思い出すわけで。
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