大コメ騒動の映画専門家レビュー一覧
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フリーライター
須永貴子
教科書で学んだ「米騒動」を、女たちが起こしていたとは知らなかった。学があって思慮深く、前へ出るタイプではない主人公を、井上真央がへの字口で好演。役柄も芝居も献身的だから、彼女がぎこちなく笑うラストショットに爽やかなカタルシスがある。日本の歴史を変えた102年前の民衆運動を、ポップなコメディに仕立てた本作で、作り手は声高なメッセージを叫んだりはしていない。しかし、日本社会がずっと直面している諸問題を解決するヒントと、我々へのエールが感じ取れる。
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脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授
山田耕大
タイトルはどうなのか。それだけ聞いたら、ドキュメンタリーだと思ってしまう。こういう題材を映画化にこぎつけただけでもご立派。なら、タイトルで引き付けて出来るだけ多くの人に見てもらいたい。倒幕の志士たちがテロとはったりで江戸をぶっ壊して作った明治日本のDNAは好戦の昭和日本へ受け継がれていく。その挟間、つかの間の晴れ間のような大正は、江戸が蘇ったかのよう。米騒動は江戸の百姓一揆を思わせる。暴動じゃなく、騒動なのだ。おっかさんたちは本当によくやりました。
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映画評論家
吉田広明
登場人物の一人が、男が参加しないと世の中は変わらないとして女性の運動を貶めるが、それに対抗する論理が、女は子供を食わせねばならないから、では女たちの闘争が世の中を変えた理由には物足りない。米騒動の何がこれまでと違う運動だったのか、米騒動に対する新たな視点、踏み込みが足りず、単に史実を画に起こしただけで、富山県以外の人が見るに足る映画なのか疑問がある。説明的なフラッシュバック、クライマックスのアクションのチープさ、画に魅力がないのも難あり。
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