レディ・トゥ・レディの映画専門家レビュー一覧

レディ・トゥ・レディ

熱い思いを忘れた女性たちが、社交ダンスを通じて青春を取り戻していく姿を映すドラマ。生活に疲れた主婦・真子と、同級生の売れない女優・一華。学生時代に競技ダンスで脚光を浴びた2人は、再びダンスに挑むことになるが、肉体のキレは簡単には取り戻せず……。出演は「東京難民」の大塚千弘、「ピンカートンに会いにいく」の内田慈。監督・脚本は、本作が本格的な商業映画デビューとなる藤澤浩和。
  • 映画評論家

    北川れい子

    内田慈の役が売れない女優ということで、つい「ピンカートンに会いにいく」で彼女が演じたアイドルくずれの売れない女優役を思い出し……。そういえば今回は競技ダンスの話だが、設定も似ていなくもない。それはともかく、テレビ人間の無責任なおだてに乗った彼女が、高校時代の競技ダンス仲間を誘って女同士ペアを組むという今回、内田慈も相手役の大塚千弘も、スタイルと姿勢が抜群にいいのに感心する。ダンスも達者。競技ダンスの融通が利かないルールにも挑戦してほしかった!!

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    周防正行の「Shall we?ダンス?」は社交ダンスを素材とした現代日本人論だったが、この映画は社交ダンスをとおして現代女性の抑圧と解放を描き出す。女性同士でパートナーを組むことをことさら象徴化され「女性のために」と言われてしまうことに対し、「自分のため」と言いきってみせるくだりなど、あくまで個人の物語の範疇に踏みとどまろうとするバランス感覚が、むしろ作劇に普遍性を与えている。役者の個性に救われているが、キャラクターがやや類型的なのが惜しい。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    大塚千弘と内田慈。役に重なるようにここでチャンスをつかみ、はりきっているのはわかる。残念ながら、その奮闘ぶり、爆発的にまではならない。二人が、ではなく、作品がそうなのだ。藤澤監督、ここが勝負というところでアッと言わせるような表現の伸びを作れない。古めのヒューマニズムに頼りすぎなのだ。テレビ業界の愚かさとダンスの魅力、もっと本腰の対決を見たかった。空気を読めないという新米デイレクターの清水葉月と説明担当でもあるダンス教師木下ほうかが、トクな役。

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