舞台「千と千尋の神隠し」、東京公演は即完売  4月より4カ月間、日本とロンドンで同時上演!

2022年に初演、昨年再演も果たした舞台『千と千尋の神隠し』が、3月11日の東京・帝国劇場を皮切りに全国ツアーを展開。そして今年は、同時期に演劇の聖地、ロンドン・ウエストエンドでの公演も決まり、公演を間近に控え稽古真っ最中の主要キャストが一堂に会し記者会見が行われた。


■前列左から松岡宏泰(東宝㈱代表取締役社長)、今井麻緒子(共同翻案)、ジョン・ケアード(翻案・演出)、夏木マリ、川栄李奈、橋本環奈、上白石萌音、福地桃子、羽野晶紀、春風ひとみ、イアン・ギリー(PWプロダクションズ 最高経営責任者)
■後列左から山野光、中川賢、小㞍健太、増子敦貴(GENIC)、三浦宏規、醍醐虎汰朗、妃海風、華優希、実咲凜音、田口トモロヲ、宮崎吐夢

 

会見冒頭、舞台を製作する東宝の松岡宏泰社長が「商業性だけでなく、芸術性でも高いことを証明した作品」と紹介したように、宮﨑駿監督による映画「千と千尋の神隠し」は2001年7月に公開。当時、「E.T.」(1982)が保持していた日本の歴代興行収入を塗り替えた宮﨑監督の前作「もののけ姫」(1997)の193億円を、自作によって大幅に更新し308億円を記録。歴代興収は「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(2020)のメガヒットにより2位となったものの、2002年のベルリン国際映画祭でアニメーション映画として初の金熊賞を受賞、2003年にはアカデミー賞長篇アニメーション賞をするなど、宮﨑駿監督が世界的な巨匠になった、記念碑的作品でもある。

 

■千尋:橋本環奈

松岡社長曰く「これを舞台化するのは壮大かつ無謀なチャレンジ」だったそうだが、「レ・ミゼラブル」などを手掛け、トニー賞を2度受賞しているジョン・ケアードが演出を務めた舞台版初演は、開幕と同時に全国公演のチケットが完売。収録映像や千秋楽公演の配信も行われるほどの大ヒットとなった。2023年には再演も果たされ、今年は国内での再々演に加え、2358名の収容数を誇るロンドン最大級の劇場、ロンドン・コロシアムで4カ月間にわたり上演、観客動員は30万人を見込まれている。

 

■千尋:上白石萌音

ジョン・ケアードは「ロンドンでも、演劇のファン層はそれほど若くはないが、宮﨑アニメのファンは20代からと若い人が多いので、新たな演劇ファンを開拓したい」とのこと。実際、今回のロンドンでの宣伝は、SNSを多用していて「18~35歳の人が最もチケットを購入している」と、ロンドンの舞台制作会社PWプロダクションズのイアン・ギリー最高責任者。また松岡社長は「ここまでチケットが売れるとは思わず、延長することになった。スタジオジブリのブランド力、作品の力がここまで海外で通用するんだ、と改めて驚いているところへ、すでに他の国からも声がかかっている」と言う。日本人キャストによる日本語での海外公演としては、日本の演劇史上最大の規模にして、90年もの歴史を持つ東宝にとっても初の試みだという。

 

■千尋:橋本環奈

 

主人公・千尋役(Wキャスト)を2022年から務めてきた橋本環奈と上白石萌音は4月30日から始まるロンドン公演の開幕も担う。

「ロンドンでの開幕はいまはまだ想像がつかない」と口をそろえる二人だが、「やることはわかっているけど、実感はないまま。ヨーロッパの方々は、日本語はわからなくてもジブリ作品のことはわかるから、観ていて楽しいと思うので心配はしていない」と橋本、上白石は「本当に自分たちがやるんだろうか!? 千尋を演じる回数がとんでもないことになっている(笑)。ロンドンだからと気負わず、健康第一で、体全体で届けたい」と意気込みを語った。

 

■千尋:上白石萌音

 

なお、帝国劇場でのチケットはすでに完売。“もろもろ余裕のある方”は、全国ツアーならびにロンドン公演も視野に入れては? 日本人が日本語で演じる舞台を海外で見るのは、現地の観客の思わぬ反応を体感できたり、必ずや新鮮な観劇体験になるはず! が、あくまで“もろもろ余裕のある方”は、ということで。

 

文・制作=キネマ旬報社

 

■ロンドン・コロシアム  撮影:Guy de Laubier

 

 

■ロンドン公演版ポスター

 

 

■舞台 『千と千尋の神隠し』 公演情報

3月11日(月)~30日(土) 【東京】 帝国劇場
4月30日~8月24日 【ロンドン】ロンドン・コロシアム
4月7日(日)~4月20日 (土) 【愛知】御園座
4月27日(土)~5月19日(日) 【福岡】博多座
5月27日(月)~6月6日 (木) 【大阪】 梅田芸術劇場メインホール
6月15日(土)~6月20日 (木) 【北海道】札幌文化芸術劇場 hitaru

千尋:橋本環奈、上白石萌音、川栄李奈、福地桃子
ハク:醍醐虎汰朗、三浦宏規、増子敦貴 (GENIC)
カオナシ:森山開次、小尻健太、山野 光、中川 賢
リン・千尋の母:妃海風、華 優希、実咲凜音
釜爺:田口トモロヲ、橋本さとし、宮崎吐夢
湯婆婆・銭婆:夏木マリ、朴 璐美、羽野晶紀、春風ひとみ
兄役・千尋の父:大澄賢也、堀部圭亮
父役:吉村 直、伊藤俊彦
青蛙:おばたのお兄さん、元木聖也
頭:五十嵐結也、奥山ばらば
坊:武者真由、坂口杏奈

原作:宮﨑駿
翻案:ジョン・ケアード
共同翻案:今井麻緒子
オリジナルスコア: 久石 譲
音楽スーパーヴァイザー・オーケストレーション・編曲:ブラッド・ハーク
音楽スーパーヴァイザー補・オーケストレーション・Ableton プログラミング:コナー・キーラン
美術:ジョン・ボウサー
パペットデザイン・ディレクション:トビー・オリエ

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