鈴木京香 スズキキョウカ

  • 出身地:宮城県仙台市
  • 生年月日:1968/05/31

略歴 / Brief history

宮城県仙台市の生まれ。東北学院大学経済学部在学中から地元の仙台でモデルとして活動。1988年、カネボウの水着キャンペーンガールのオーディションに合格して、本格的な芸能活動を開始する。女優デビューは翌89年の森田芳光監督「愛と平成の色男」で、石田純一演じるプレイボーイの歯科医に憧れる純情な地方都市の娘という役どころを演じた。テレビドラマは同年のクリスマスシーズンに放送されたTBSの単発ドラマ『東京Xマス・ラブウォーズ』。風間トオル、菊池桃子、吉田栄作らと共演したラブストーリーだった。連続ドラマ初レギュラーは90年のTBS『ホットドッグ』。さらに91年には、NHK連続テレビ小説『君の名は』のヒロインに抜擢。ラジオ、映画で大人気となった往年の名作メロドラマをリメイクした本作では、かつて岸惠子が演じたヒロイン・真知子を新進女優が演じるということで大きな注目を集めた。NHKの朝ドラは通常、放送期間が半年間だが、本作は1年に渡って放送されたこともあり、鈴木の存在を大きく世間に印象付けた。その後も森田に再び起用された「未来の想い出/Last Christmas」92 、市川崑監督の往年の名作ドラマの続編「帰ってきた木枯し紋次郎」93や、日本テレビ『素敵にダマして!』92、『引っ越せますか?』93、TBS『いつか好きだと言って』93、NHK『炎(ほむら)立つ』93などのテレビドラマで順調にキャリアを重ね、94年、竹中直人が監督し、田舎町の消防隊員の平凡な日常を描いた「119」で、隊員たちの憧れのマドンナ・日比野ももこを、古風な雰囲気を漂わせつつ演じた。本作で日本アカデミー賞の優秀助演女優賞、日刊スポーツ映画大賞の新人賞などを受賞。続いて95年には、三谷幸喜脚本のフジテレビ『王様のレストラン』に出演。落ち目のフレンチレストランを舞台に繰り広げられる三谷お得意のシチュエーションコメディの本作で、元ホステスのバルマン・三条政子役を演じ、肉感的なお色気も振りまきつつ、コメディエンヌとしての新たな一面を開拓した。本作以降、三谷が監督した映画「ラヂオの時間」97(日刊スポーツ映画大賞助演女優賞受賞)、「ザ・マジックアワー」08や、脚本作の「竜馬の妻とその夫と愛人」02、舞台『巌流島』96、フジテレビ『合い言葉は勇気』00、NHK大河ドラマ『新選組!』04など、三谷作品の常連女優ともなる。この時期のテレビドラマの出演作品はほかに、フジテレビ『我慢できない!』95、『彼女たちの結婚』97、『きらきらひかる』98、『アフリカの夜』99、日本テレビ『オンリー・ユー/愛されて』96など。さらに大きな転機を迎えたのは、99年の森田芳光監督「39・刑法第三十九条」で演じた小川深香役。対人恐怖症のコンプレックスを抱えながらも、殺人事件容疑者に対して鋭く切り込んでいく精神鑑定人という難しい役柄を繊細に表現して、キネマ旬報賞とブルーリボン賞の主演女優賞を受賞する。“清楚な美人”という既成のイメージに拘ることなく、役柄のために分厚い眼鏡を着用した努力も功を奏した。これを境に演技派への脱皮に成功。さまざまな著名監督たちから引く手あまたの状態になり、「助太刀屋助六」02では岡本喜八監督、「ゼブラーマン」04では三池崇史監督、「男たちの大和/YAMATO」05では佐藤純彌監督というように、錚々たる監督たちとの仕事を重ね、日本を代表する女優として認められるようになってゆく。04年、梁石日の自伝的小説を崔洋一監督が映画化した「血と骨」では、強欲で傍若無人な夫に振り回されつつも大阪の街で気丈に生き抜く在日朝鮮人女性を、若い頃から晩年まで通して熱演。体当たりの演技が注目を集め、4度目のノミネートで日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を獲得した。映画で着実に実績を残す一方で、テレビドラマにも精力的に出演。市川崑監督が自作をリメイクしたフジテレビ『黒い十人の女』02、脚本家・野沢尚の遺稿を映像化したテレビ朝日『砦なき者』04、五木寛之のベストセラー小説が原作のTBS『青春の門・筑豊編』05など、各局が力を注いだスペシャルドラマに次々と起用された。連続ドラマでも、フジテレビ『非婚家族』01、『熱烈的中華飯店』03、TBS『ブラックジャックによろしく』03、『華麗なる一族』07、『SCANDAL』08、NHK『緋色の記憶・美しき愛の秘密』03、『セカンドバージン』10、WOWOW『パンドラⅡ・飢餓列島』10など多数に主演級で出演を重ねる。母親が着物の着付け講師であることに加え、3歳から日舞を習っていたという育ちゆえか、同世代の女優にはない古風で知的な雰囲気を持ち合わせているのが特徴。シリアスなドラマからコメディまで演じられる懐の深さと“デキる女性”というイメージが定着したこともあり、最近では女性誌の表紙や化粧品のCMなど、同世代女性のイコン的な存在になりつつある。

鈴木京香の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 椿の庭

    制作年: 2020
    大手企業の広告を手掛ける写真界の巨匠・上田義彦の初監督映画。夫を失い、今では亡き娘の忘れ形見である孫娘・渚と共に暮らす絹子。夫の四十九日を終えた彼女が、過去の記憶に想いを馳せ、慈しみながら過ごしていたある日、一本の電話がかかってくるが……。出演は「散り椿」の富司純子、「新聞記者」のシム・ウンギョン、「食べる女」の鈴木京香、「黒衣の刺客」のチャン・チェン。
  • ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)

      制作年: 2019
      岩手県一関市にあるジャズ喫茶“ベイシー”のマスター、菅原正二の素顔に迫ったドキュメンタリー。店を構えて50年。“世界一のサウンドが聴ける聖地”として、世界中から客を集めるようになった菅原の音に対するこだわりと、ジャズなその生き様を炙り出す。監督を務めたのは、バーのオーナーであり、クリエイターでもある星野哲也。本作が初監督となる。
    • こおろぎ

      制作年: 2006
      一部映画祭やイベントのみにて上映された青山真治監督による人間ドラマが、製作から14年の時を経て劇場公開。静岡県西伊豆。かおるは共に暮らす盲目で口のきけない男に対し支配的な優越感を抱いていた。しかし男は一人で出歩き謎の行動をとるようになり……。出演は鈴木京香、山﨑努ほか。男と女、自由と束縛、生と死、食と官能、光と闇が、西伊豆の風土と歴史の中で描かれる。第63回ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門出品。第19回東京国際映画祭日本映画『ある視点』部門出品。当時は吉祥寺バウスシアターの「爆音映画祭2009」(2009年5月30日公開)等、映画祭での上映のみで、長らく劇場公開はされていなかった。2020年1月8日にDVD発売が決定したことを記念し、限定劇場公開。
      50
    • 食べる女

      制作年: 2018
      筒井ともみの短篇小説集『食べる女 決定版』を豪華女優陣の共演で映画化。文筆家兼古書店店主のトン子こと餅月敦子の暮らす古びた日本家屋に、夜な夜な迷える女性たちが集まってくる。年齢も職業もバラバラの彼女たちを、トン子はおいしい料理で迎え入れる。出演は、「ふきげんな過去」の小泉今日子、「猫は抱くもの」の沢尻エリカ、「素敵なダイナマイトスキャンダル」の前田敦子、「氷菓」の広瀬アリス、「新宿スワン」の山田優、「星めぐりの町」の壇蜜、ドラマ『マッサン』のシャーロット・ケイト・フォックス、「おかあさんの木」の鈴木京香。監督は、「手紙」の生野慈朗。
      70
    • の・ようなもの のようなもの

      制作年: 2016
      2011年に急逝した「家族ゲーム」「それから」の森田芳光監督の劇場デビュー作「の・ようなもの」の35年後を描く青春ドラマ。生真面目で冴えない落語家が、落語を捨てのんびりと暮らす兄弟子と出会い、自分らしく生きる楽しさを知っていく。監督は長年、森田組を助監督として支え続けた杉山泰一。出演は「僕達急行 A列車で行こう」の松山ケンイチ、ピエール瀧、「間宮兄弟」の北川景子、塚地武雅、佐々木蔵之介、「の・ようなもの」の伊藤克信、尾藤イサオ、でんでん、「メイン・テーマ」の野村宏伸、「椿三十郎(2007)」の鈴木亮平、「家族ゲーム」の宮川一朗太、「39 刑法第三十九条」の鈴木京香。
      80
    • おかあさんの木

      制作年: 2015
      児童文学者の大川悦生が発表し、長年に渡って小学校の国語教科書にも採用されてきた物語を映画化。戦時中、7人の息子を次々と兵隊にとられ、その度に桐の木を植えた母親の姿を通じて、母子愛と戦争の悲劇を描く。出演は「救いたい」の鈴木京香、「映画 ST赤と白の捜査ファイル」の志田未来。監督は「瞬 またたき」の磯村一路。
      80