濱口竜介 ハマグチリュウスケ

  • 出身地:神奈川県
  • 生年月日:1978/12/16

略歴 / Brief history

2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作「PASSION」が、国内外の映画祭で高い評価を得る。神戸を舞台に演技ワークショップから生まれた317 分の長編映画「ハッピーアワー」(15年)が第68回ロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞したのを皮切りに、世界の映画祭で受賞を重ねる。初めての商業映画「寝ても覚めても」(18年)は第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出され、世界20か国以上で配給された。黒沢清、野原位と共同で脚本を担当した「スパイの妻」(20年)は第77回ベネチア国際映画祭で、濱口の恩師にあたる黒沢清が銀獅子賞(最優秀監督賞)を獲得。「偶然と想像」(21年)で第71回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)、「ドライブ・マイ・カー」(21年)で第74回カンヌ国際映画祭脚本賞、第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞。「悪は存在しない」(24年公開予定)が第80回ヴェネチア国際映画祭にて銀獅子賞(審査員大賞)を受賞。カンヌ、ベルリン、ヴェネチアの世界3大映画祭のコンペティション部門とアカデミー賞のすべてで受賞するのは、日本人では黒沢明監督以来の快挙となる。

濱口竜介の関連作品 / Related Work

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  • 悪は存在しない

    制作年: 2023
    「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督と音楽の石橋英子による共同企画。自然が豊かな高原に位置する長野県水挽町で、自然のサイクルに合わせた慎ましい生活を送る巧とその娘・花。しかしある日、巧の家の近くでグランピング場を作る計画が持ち上がり……。第80回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞。
  • 偶然と想像

    制作年: 2021
    第71回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞。「偶然」をテーマに3つの物語が織りなされる濱口竜介初の短編集。親友同士、教授と生徒、同窓生の対話がやがて変調し、人間の本性や人生の断片を浮かび上がらせる。出演は連続テレビ小説『エール』が話題を生んだ古川琴音のほか、中島歩、森郁月、甲斐翔真らフレッシュな顔ぶれに、濱口監督作品の「天国はまだ遠い」に出演した玄理、「PASSION」の渋川清彦、占部房子、河井青葉ら個性派が揃った。第22回東京フィルメックスオープニング作品にも選ばれ、観客賞を受賞。
  • ドライブ・マイ・カー

    制作年: 2021
    村上春樹が2013年に発表した短篇小説に、カンヌ・ヴェネチア・ベルリンをはじめ国際映画祭で高い評価を得た濱口竜介が挑む意欲作。舞台俳優の主人公・家福(かふく)に西島秀俊、ヒロインのみさき役に三浦透子を迎え、愛と喪失、希望の物語が紡がれる。濱口竜介は東京藝術大学大学院映像研究科で黒沢清に師事し、修了制作作品「PASSION」が2008年・第56回サンセバスチャン国際映画祭で注目を浴びた。その後、「ハッピーアワー」が2015年・第68回ロカルノ国際映画祭最優秀女優賞を受賞。2018年の商業映画デビュー作「寝ても覚めても」はカンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品。さらに2020年、脚本を担当した黒沢清監督「スパイの妻<劇場版>」がヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)に輝く。また、監督作「偶然と想像」は2021年・第71回ベルリン国際映画祭銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞するなど、いま世界中から注目を集めている逸材だ。今回、濱口竜介と初タッグを組む西島秀俊は、2005年に市川準が監督した「トニ―滝谷」でナレーションを担当し、村上春樹作品を経験済み。濱口の師匠筋にあたる黒沢清監督の「ニンゲン合格」(98)や「クリーピー 偽りの隣人」(16)で主演を務めたこのベテラン俳優を濱口がいかに演出するのか期待が高まる。一方、ヒロインの三浦透子は「ロマンスドール」「おらおらでひとりいぐも」の演技に加えて、「天気の子」の主題歌を歌ったことで人気急上昇中の女優・アーティスト。本作では、主人公の愛車を運転する、寡黙でありながら芯のあるドライバーみさきを演じている。さらに、物語を大きく動かすキーパーソンの俳優・高槻役には、「Arc アーク」など公開作が目白押しの岡田将生、秘密を抱えたままこの世を去る家福の妻・音役を、村上春樹の長篇の映画化「ノルウェイの森」の霧島れいかが演じている。2021年第95回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位、日本映画監督賞、日本映画脚本賞、助演女優賞(三浦透子)、読者選出日本映画監督賞受賞。
    93
  • スパイの妻 劇場版

    制作年: 2020
    黒沢清が蒼井優主演で撮り上げたヒューマンサスペンス。1940年。満州で偶然、ある国家機密を知ってしまった優作は、正義のため事の顛末を世に知らしめようとする。一方、妻・聡子は反逆者と疑われる夫を信じ、ただ愛する優作と共に生きることを心に誓うが……。共演は「ロマンスドール」に続き蒼井と夫婦を演じる高橋一生、「犬鳴村」の坂東龍汰、「凪待ち」の恒松祐里。
    60
  • 寝ても覚めても

    制作年: 2018
    柴崎友香による同名恋愛小説を原作に、「ハッピーアワー」の濱口竜介監督が東出昌大を主演に迎え映画化。カフェで働く朝子は、コーヒーを届けに行った先で出会った亮平に惹かれていく。だが彼は、かつて朝子が運命的な恋に落ちた恋人・麦に顔がそっくりだった。東出昌大が、同じ顔をしていながらも全くタイプの違う男・亮平と麦という一人二役に挑み、「ラブ×ドック」の唐田えりかがヒロイン・朝子を演じる。共演は「ミックス。」の瀬戸康史、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の山下リオ、「獣道」の伊藤沙莉、「勝手にふるえてろ」の渡辺大知。音楽を、プロデューサーやトラックメイカーとして活躍するtofubeatsが担当。脚本は、濱口竜介と「散歩する侵略者」の田中幸子。第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品。
    70
  • 天国はまだ遠い

    制作年: 2016
    濱口竜介監督特集上映『ハッピー・ハマグチ・アワー』にて「不気味なものの肌に触れる」と同時上映の短編。