トム・ティクヴァ

  • 出身地:ヴッパータール
  • 生年月日:1965/05/23

略歴 / Brief history

【ドイツで成功を収め、世界へと飛翔した新世代の俊英】ドイツ、ヴッパータールの生まれ。11歳で8ミリカメラを手にする。80年以降はいくつもの独立系名画座で映写技師をつとめ、ベルリンにある名画座の番組編成を手がけた。短編製作を経て初めて監督した長編映画「マリアの受難」(93)が世界中の映画祭で上映され注目を浴びる。監督第2作としてサスペンス「ウィンタースリーパー」(97)を手がけたが、翌98年の「ラン・ローラ・ラン」がその年のドイツ映画最大のヒットとなるとともに世界中で幅広く受け入れられ、30以上の賞を与えられた。続く「プリンセス・アンド・ザ・ウォリアー」(00)でも、「ラン・ローラ・ラン」に主演したフランカ・ポテンテをヒロインに起用。公私にわたるパートナーとしての時期を過ごした。2002年に監督した初の英語映画「ヘヴン」は、巨匠クシシュトフ・キェシロフスキの遺稿を映画化したもの。続いてオムニバス「パリ、ジュテーム」(06)の一編に参加。「10分間に凝縮した、ぼくの人生のすべて」と自ら呼ぶ作品を仕上げた。その後、4年間に渡って関わり続けていた「パフューム・ある人殺しの物語」(06)を完成させる。ドイツ映画としては史上最高額の製作費が投じられたこの作品が世界中で興行的に成功したことで、ティクヴァはハリウッドに招かれ、クライヴ・オーウェンとナオミ・ワッツが主演する大作サスペンス映画「ザ・バンク/落ちた巨像」(09)を監督することとなった。東西再統一の時期が映画産業の谷底となったドイツで90年代に登場、ヴィム・ヴェンダース以後の新時代を率いていく新生ドイツ映画作家の騎手。「グッバイ、レーニン」(03)のヴォルフガング・ベッカーらと94年に設立した製作会社を拠点とした。【“インターネショナル”な映画作り】ティクヴァの特徴は国際的な普遍性を持つ映像感覚にある。「ラン・ローラ・ラン」ではヒロインが疾走し、フィルム、ビデオ、モノクロ、カラー、アニメ等、あらゆる技術を駆使して映像そのものも疾走する。「パフューム」は世界市場を意識してダスティン・ホフマンらアメリカの大物俳優も起用された作品だが、パトリック・ジュースキントのベストセラー小説を、原作のグロテスクな趣向を忠実に映像化しつつ手際よくまとめ、テンポの良い大衆的な作品にまとめている。だが、完全にハリウッド的手法に偏ることはなく、ヨーロッパ的な風雅も作品の色調に現れている。同じことは「ザ・バンク」にも言え、“The International”という原題通り世界中でロケされたこの作品でも、美術館での銃撃戦場面のように独特の流麗な映像で観客の心をつかんでしまう。この流麗さに関しては、ティクヴァがジョニー・クリメック、ラインホルト・ハイルと結成したグループ“Pale3”がティクヴァ作品のほとんどの音楽を手がけていることも関係しているだろう。出身国であるドイツにこだわることもなく、かといってハリウッド・スタイルに染まるでもなく、世界中のロケ地、俳優を自在に駆使して、ひとつの曲を作るかのように独特のテンポとリズムを持った映像を創出し、そこに自作の音楽で染め上げた独自の世界を築いている。

トム・ティクヴァの関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • マトリックス レザレクションズ

    現実だと思っている世界がコンピュータにより作り出された仮想世界=マトリックスであることを知った男の人類を解放させる戦いを描いたSFアクション「マトリックス」の新章。「マトリックス」三部作を手がけた一人、ラナ・ウォシャウスキーがメガホンを取る。主人公ネオ役のキアヌ・リーブスやトリニティー役のキャリー=アン・モスらが続投。「キャンディマン」(2021)のヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世が新たにモーフィアスを演じ、ドラマ『Marvel アイアン・フィスト』のジェシカ・ヘンウィック、ドラマ『レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと』のニール・パトリック・ハリスらが新たに参加する。
    60
  • 王様のためのホログラム

    トム・ハンクスが「クラウド アトラス」のトム・ティクヴァと再び組んだコメディドラマ。業績悪化の責任を負わされ仕事も家族も失ったアランは、IT業界に転職。3Dホログラム装置を売り込むためサウジアラビアに向かうが、異文化に直面し悪戦苦闘する。原作は、Twitter上でトム・ハンクスが絶賛した、「かいじゅうたちのいるところ」の脚本などを手がけたデイヴ・エガーズのベストセラー小説。ほか、「しあわせへのまわり道」のサリタ・チョウドリーらが出演。トム・ティクヴァ監督作の常連であるベン・ウィショーも顔を見せる。
    65
    • 笑える
    • 考えさせられる
  • クラウド アトラス

    デイヴィッド・ミッチェルの小説『クラウド・アトラス』を映画化したSFドラマ。6つの時代と場所で6つの人生を生きる男の数奇な経験を描く。共同監督は「マトリックス」のラナとアンディのウォシャウスキー兄弟、「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァ。出演は「フォレスト・ガンプ 一期一会」のトム・ハンクス。
    70
  • ザ・バンク 堕ちた巨像

    「キング・アーサー」のクライヴ・オーウェンと「イースタン・プロミス」のナオミ・ワッツ共演で贈るアクション・サスペンス。ベルリン、ミラノ、イスタンブールなど世界中を舞台に、インターポール捜査官と女性検事が世界を裏で操る国際メガバンクの陰謀に立ち向かう。監督は「パフューム ある人殺しの物語」のトム・ティクヴァ。
    80
  • マリアの受難

    「パフューム ある人殺しの物語」のトム・ティクヴァ監督、長編デビュー作。魅惑的でありながら異様、まさにカフカ的なシュールな映像の中で、マリアの『孤独』と『妄想』が独特のバランスで絡み合う狂気の物語。
  • パフューム ある人殺しの物語

    パトリック・ジュースキントのベストセラー小説「香水 ある人殺しの物語」の映画化作品。主演は、共演したダスティン・ホフマンに「10万人に1人の才能」と激賞されたベン・ウィショー(「ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男」)。監督は「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァ。
    70
  • パリ、ジュテーム

    全編パリで撮影された、パリの街が主役のラブ・ストーリー。ヌーヴェルヴァーグ全盛の65年、エリック・ロメールやジャン=リュック・ゴダールなど6人の監督がそれぞれの視点でパリを描いた「パリところどころ」の現代版ともいえる、新たなパリ映画。監督にはコーエン兄弟、ガス・ヴァン・サント、アルフォンソ・キュアロン、ウォルター・サレス、イサベル・コイシェ、諏訪敦彦、オリヴィエ・アサヤス、シルヴァン・ショメ、ジェラール・ドパルデューなど、出演者にはナタリー・ポートマン、イライジャ・ウッド、スティーヴ・ブシェミ、ジュリエット・ビノシュ、リュディヴィーヌ・サニエ、ジーナ・ローランズなど。
  • ヘヴン

    誤爆テロをやってしまった女教師と、刑務官の青年の運命的なラヴ・ストーリー。監督は「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァ。製作は「リプリー」などの監督として知られるアンソニー・ミンゲラほか。脚本は「トリコロール」3部作などの故クシシュトフ・キェシロフスキ(遺稿)とクシシュトフ・ピエシェヴィッチ。撮影は「ラン・ローラ・ラン」のフランク・グリーベ。音楽は「愛の世紀」のアルヴォ・ペルト。美術は「es」のウーリ・ハニシュ。編集は「ラン・ローラ・ラン」のマチルド・ボンフォイ。出演は「ギフト」「ロード・オブ・ザ・リング」のケイト・ブランシェット、「ギフト」のジョヴァンニ・リビージ、「女優マルキーズ」のレモ・ジローネ、「恋の骨折り損」のステファニア・ロッカ、「金色の嘘」のマッティア・スブラジアほか。
  • ギガンティック

    「ラン・ローラ・ラン」で世界中の話題をさらったトム・ティクヴァが仕掛けるドイツ製青春映画。少年たちのとりとめのない一夜をヴィヴィッドに描いた青春ドラマ。
  • ウィンタースリーパー

    「ラン・ローラ・ラン」で脚光を浴びたドイツ映画界の新鋭トム・ティクヴァが、それ以前に撮ったサスペンス映画。偶然に偶然が重なり、予想し得ない方向に展開する巧みなストーリー構成が話題を呼んだ。
  • ラン・ローラ・ラン

    愛する彼を救うため、ベルリンの町を東奔西走する姿をリズミカルに描いたラヴ・ストーリー。監督・脚本はドイツの新鋭トム・ティクヴァ。製作はシュテファン・アーント。撮影はフランク・グリーべ。音楽はトム・ティクヴァの他、ジョニー・クリメック、ラインホルト・ハイル。美術はアレクサンダー・マナッセ。編集はマティルデ・ボンフォイ。衣裳はモニカ・ヤコブス。録音はフランク・べーンケ。出演は新鋭のフランカ・ポテンテ、モーリッツ・ブライブトロイ、ヘルベルト・クナウプほか。
  • プリンセス・アンド・ウォリアー

    『パフューム ある人殺しの物語』のトム・ティクヴァ監督によるラブサスペンス。交通事故に遭い瀕死の状態だったところを、逃走中の強盗犯・ボドに助けられた看護師のシシー。その後、再会を果たしたふたりの運命が大きく変わっていく。【スタッフ&キャスト】監督・脚本:トム・ティクヴァ 撮影:フランク・グリーベ 音楽:ラインホルト・ハイル/ジョニー・クリメック 出演:フランカ・ポテンテ/ベンノ・フユルマン/ヨアヒム・クロール/ラース・ロドルフ
  • 影のない男

    ドイツ映画界を代表する一流スタッフによる、孤独な暗殺者と謎の美女、彼らを追う捜査官の3人の魂の邂逅を描いたアクションスリラー。暗殺者・ヴィクトールはニーナという女性との出会いを機に愛を知るが自分を追う捜査官にその関係を知られてしまう。【スタッフ&キャスト】監督:メナン・ヤポ 製作:トム・ティクヴァ/シュテファン・アルント 脚本:ラース・オラフ・バイアー 出演:ヨアヒム・クロル/ナジャ・ウール/クリスチャン・ベルケル/ペーター・フィッツ



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注目 2021年 第95回 キネマ旬報ベスト・テン」発表&表彰式 無料配信

「2021年 第95回 キネマ旬報ベスト・テン」発表&表彰式 2月2日無料ライブ配信決定!! この度、2022年2月2日(水)19時より、キネマ旬報公式YouTubeチャンネルにて「2021年 第95回キネマ旬報ベスト・テン発表&表彰式」のライブ配信を行う事が決定致しました。 前年に日本で公開された映画の中から、厳選なるのべ120名以上の選考者の投票により、中立公平に選出された、その年に称賛すべき作品、映画人を表彰する「キネマ旬報ベスト・テン」。1924年に創設され、途中戦争による中断が2年あったものの、世界的にも非常に長い歴史を持つ映画賞であり、今回で95回目の開催となります。 2022年2月2日(水)19時~ 全16賞を一挙発表! 各受賞者へトロフィ授与する表彰式の模様をBunkamuraオーチャードホールよりライブ配信いたします! 【概要】 「2021年 第95回 キネマ旬報ベスト・テン」 ■日時:2022年2月2日(水)19:00〜  ■視聴方法:↓キネマ旬報公式youtubeチャンネルにて(事前に「チャンネル登録」をお願いします) https://www.youtube.com/watch?v=z4yoXBcWbJ0 ■「2021年 第95回 キネマ旬報ベスト・テン」全16賞 第1位(日本映画作品賞)、第1位(外国映画作品賞)、第1位(文化映画作品賞)、日本映画監督賞、日本映画脚本賞、外国映画監督賞、主演女優賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞、新人女優賞、新人男優賞、読者賞、読者選出日本映画監督賞、読者選出外国映画監督賞、特別賞 ※ベスト・テン表彰式の前に「映画感想文コンクール2021」の表彰も行います 選考者による投票結果など、2位以下を含めた全賞の詳しい結果につきましては、2022年2月4日(金)発売の「キネマ旬報2月下旬ベスト・テン発表号」に掲載いたします。こちらよりお求めください。 ●主催:キネマ旬報社 ●ICTパートナー:NTT東日本 ●会場協力:Bunkamura   【キネマ旬報ベスト・テンとは】 『キネマ旬報』は、1919(大正8)年に創刊し、現在まで続いている映画雑誌として、世界一の歴史を誇ります。最初に、キネマ旬報ベスト・テンを行ったのは、1924年度(大正13年)。当初は、編集同人のみによる投票で、〈芸術的に最も優れた映画〉〈娯楽的に最も優れた映画〉の2部門(外国映画部門のみ)でしたが、1926年(大正15年)、日本映画の水準が上がったのを機に、現在と同様〈日本映画〉〈外国映画〉の2部門に分けたベスト・テンに変わりました。戦争による中断があったものの、大正年間から継続的にベスト・テンは選出され続けており、2021年度のベスト・テンで95回を数えます。 「キネマ旬報ベスト・テン」の特徴 ■世界的にみても、非常に長い歴史を持つ映画賞(今回で95回を数える。ちなみに、アメリカのアカデミー賞は2022年で第94回となる)であること。 ■ベスト・テンという形で、その年を代表する「日本映画」「外国映画」「文化映画」を10本、さらに「日本映画」と「外国映画」には読者選出部門を設け、それぞれの10本を挙げるほか、「日本映画監督賞」「外国映画監督賞」「日本映画脚本賞」「日本映画主演女優賞」「日本映画主演男優賞」「日本映画助演女優賞」「日本映画助演男優賞」「日本映画新人女優賞」「日本映画新人男優賞」「読者選出日本映画監督賞」「読者選出外国映画監督賞」「キネマ旬報読者賞」と、その年の称賛すべき作品・映画人を多面的に選び出していること。 ■ベスト・テン及び各賞の選考者は、映画を多く見ている者に厳しく限定され、しかも選考者数が多く(2021年度はのべ120名以上)、さらにその年齢・所属の幅(映画評論家、ジャーナリストなど)も広いことから、当年の映画界の実勢を反映する、最も中立的で信頼に足る映画賞という評価を受けていること。 ■特別賞に関して 『キネマ旬報』は2019年に創刊100周年を迎え、1世紀にもわたり続けてこられたのは、多くの映画と映画関係者、何よりも映画ファンに支えられてきたからこそと確信しております。 そこで、100周年を迎えた2018年度より、改めて特別賞を設け、より、多くの映画人の業績を讃え、先達への敬意と感謝の意を表すべく、「キネマ旬報ベスト・テン 特別賞」を設けました。 (※過去にも2度、「特別賞」という名称での授賞がございましたが、本賞は創刊100周年を機に制定した新たな賞と位置づけております) ■文化映画に関して 「社会、文化、科学、芸術、教育といった教養的な視点から国内で制作された映像作品で、ドキュメンタリー映画や短編など、幅広いジャンルを取り扱っています。一般劇場公開はされてはいない、公民館やホール等で上映された作品も対象です」 [adchord]

注目 2021年 第95回「キネマ旬報ベスト・テン」第1位作品&個人賞発表!

2021年 第95回 キネマ旬報ベスト・テン 第1位作品&個人賞発表! 日本映画作品賞(日本映画ベスト・テン第1位) 「ドライブ・マイ・カー」   外国映画作品賞(外国映画ベスト・テン第1位) 「ノマドランド」   文化映画作品賞(文化映画ベスト・テン第1位) 「水俣曼荼羅」   【個人賞】 日本映画監督賞 濱口 竜介 「ドライブ・マイ・カー」「偶然と想像」 により   日本映画脚本賞 濱口 竜介 大江 崇允 「ドライブ・マイ・カー」により   外国映画監督賞 クロエ・ジャオ 「ノマドランド」「エターナルズ」により   主演女優賞 尾野 真千子 「茜色に焼かれる」 「ヤクザと家族 The Family」により   主演男優賞 役所 広司 「すばらしき世界」により   助演女優賞 三浦 透子 「ドライブ・マイ・カー」 「スパゲティコード・ラブ」により   助演男優賞 鈴木 亮平 「孤狼の血 LEVEL2」「燃えよ剣」「土竜の唄 FINAL」により   新人女優賞 河合 優実 「由宇子の天秤」「サマーフィルムにのって」「偽りのないhappy end」により   新人男優賞 和田 庵 「茜色に焼かれる」 により   読者選出日本映画監督賞 濱口 竜介 「ドライブ・マイ・カー」 により   読者選出外国映画監督賞 クロエ・ジャオ 「ノマドランド」により   読者賞 立川 志らく 連載「立川志らくのシネマ徒然草」により   特別賞 佐藤 忠男 70年以上の評論活動を通して日本の映画文化の発展に貢献をされた功績に対して   キネマ旬報ベスト・テン第2位以降の作品ランキングは、2月4日(金)発売『キネマ旬報2022年2月下旬ベスト・テン発表特別号』に掲載しております。 ご購入はコチラ