松たか子 マツタカコ

  • 出身地:東京都
  • 生年月日:1977/06/10

略歴 / Brief history

東京都の生まれ。本名・佐橋隆子(旧姓・藤間)。歌舞伎役者の九代目松本幸四郎と藤間紀子の末子で、姉は女優の松本紀保、兄も歌舞伎役者の七代目市川染五郎。1993年、16歳で歌舞伎座『人情噺文七元結』で初舞台を踏む。翌94年にNHK大河ドラマ『花の乱』の少女時代の日野富子役でテレビドラマ初出演。95年、NHK-BS『藏』の新潟の酒蔵で酒造りに挑む盲目のヒロイン・烈役で初主演を飾り、注目を集める。同年の青山劇場のミュージカル『ラ・マンチャの男』で父・松本幸四郎と共演したほか、蜷川幸雄演出『ハムレット』のオフィーリア役など多数の舞台を経験。翌96年にはフジテレビ『ロングバケーション』に木村拓哉が密かに想いを寄せる音大生役で出演し、一躍知名度が高まる。同年のNHK大河ドラマ『秀吉』、フジテレビ『古畑任三郎』『こんな私に誰がした』にも相次いで出演。年末のNHK『紅白歌合戦』では、当時19歳と史上最年少で紅組の司会をつとめた。97年もフジテレビ『ひとつ屋根の下2』『ラブジェネレーション』と2本の人気ドラマに出演し、木村拓哉演じる営業マンとケンカしながらも心惹かれてゆくOLを演じた後者は、平均視聴率30%を超える大ヒットとなる。同年3月、『明日、春が来たら』で歌手デビュー。NHK『紅白歌合戦』に今度は歌手としても出場する。この年は、竹中直人監督「東京日和」でパーティーに招かれた客・水谷役で、映画初出演も果たしている。翌98年の岩井俊二監督「四月物語」で映画初主演。大学進学のため北海道から東京に出てきた少女の、初めての環境への戸惑いや淡い初恋の感情をみずみずしく体現し、報知映画賞新人賞を受賞する。また。同年8月にロンドン公演も行なった蜷川幸雄演出『ハムレット』をはじめ、99年の串田和美演出『セツアンの善人』、2000年の三谷幸喜演出『オケピ!』など名だたる演出家の舞台に次々出演。テレビドラマではNHK-BS『春燈』97、『櫂』99、フジテレビ『お見合い結婚』00、TBS『明るいほうへ明るいほうへ』01などで主演をつとめる。01年のフジテレビ『HERO』では、木村拓哉演じる型破りな検察官とコンビを組む生真面目な検察事務官の雨宮舞子を演じ、再び平均視聴率30%超の大ヒットを記録。同作は06年にスペシャル版、07年に鈴木雅之監督による劇場版も製作される人気作となった。ほか、フジテレビ『いつもふたりで』03の作家を目指して上京した無鉄砲な田舎娘や、『役者魂!』06の気難しい老役者の心を開かせるマネージャー役などで、安定した人気を誇るトップ女優のひとりとなった。映画では、豊田利晃監督「ナイン・ソウルズ」03に、原田芳雄の娘役で出演。04年の藤沢周平原作、山田洋次監督の「隠し剣・鬼の爪」では、永瀬正敏演じる下級武士に想いを寄せる奉公娘のヒロイン・きえを好演し、報知映画賞主演女優賞を受賞。06年の三谷幸喜監督「THE 有頂天ホテル」では、かつて国会議員の愛人だったホテルの客室係役で、今までの清楚なイメージを一新したコミカルな一面を発揮する。同年の千明孝一監督「ブレイブストーリー」では、剣と魔法の世界にトリップした主人公・ワタル役でアニメの声優にも初挑戦。松岡錠司監督「東京タワー/オカンとボクと、時々、オトン」07では、オダギリジョー演じる主人公の恋人で、いつの間にかオカン(樹木希林)とも親しくなる気だてのよい女性に扮する。佐藤嗣麻子監督「K-20/怪人二十面相・伝」08ではヒロイン・羽柴葉子役。軽業師の主人公(金城武)と行動をともにする、世間知らずではねっ返りのお嬢様を可憐に演じた。09年、根岸吉太郎監督「ヴィヨンの妻・桜桃とタンポポ」で、道楽者の小説家の夫(浅野忠信)のために飲み屋で働く妻に扮し、生活苦の中でもほがらかさを失わない、しなやかでたくましい女性像を表現。この役でキネマ旬報賞、報知映画賞、日本アカデミー賞など5つの主演女優賞を獲得する高い評価を受けた。翌10年は中島哲也監督「告白」に主演。愛娘を殺した生徒に冷徹に復讐を実行する中学校教師役を、淡々と感情を殺しながらも圧倒的な迫力をもって演じきる。この間、舞台では野田秀樹演出『オイル』03で主演。神の声を聞く電話交換手・富士役を熱演し、紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞する。ほか、05年12月から06年2月の野田秀樹演出『贋作・罪と罰』や、06年の劇団☆新感線『メタルマクベス』などに出演。07年の蜷川幸雄演出『ひばり』で演じた主人公のジャンヌ・ダルク役と、井上ひさし作、栗山民也演出の『ロマンス』でのマリア役で、朝日舞台芸術賞と読売演劇大賞の最優秀女優賞も受賞している。その後も長塚圭史演出『SISTERS』08、野田秀樹演出『パイパー』09、ジョン・ケアードの『ジェーン・エア』09の主演など精力的な活躍を見せる。10年のケラリーノ・サンドロヴィッチ演出『2人の夫とわたしの事情』では、男を手玉に取る身勝手でセクシーなヒロインに扮し、11年の串田和美演出『十二夜』では、船で遭難した双子の兄と妹の二役をこなす。テレビドラマの近作に、NHK『坂の上の雲』09~11があり、騎兵の育成に尽力した軍人・秋山好古(阿部寛)の妻の多美役を熱演している。映画、舞台、ドラマのどの分野でも多彩な役柄を演じ分けられる実力派女優として定着。歌手としてもコンスタントに楽曲を発表し続けており、また初代松本幸華の名を持つ日本舞踊松本流の名取でもある。07年にミュージシャンで音楽プロデューサーの佐橋佳幸と結婚。

松たか子の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • ワンス・アポン・ア・スタジオ 100年の思い出

    制作年: 2023
    ディズニー創立100周年を記念して製作された短編映画。歴代の85以上の長編および短編映画から、543ものキャラクターが登場する。Disney+で2023年10月16日から字幕版が配信。2023年12月15日からは、劇場のみの特別吹き替え版が登場。ディズニー100周年の長編アニメーション「ウィッシュ」と同時上映で劇場公開される。
  • 土を喰らう十二ヵ月

    制作年: 2022
    水上勉による料理エッセイを原案に「ナビィの恋」の中江裕司監督が沢田研二主演で映画化。長野の山荘で犬一匹と暮らす作家のツトムは、山の実やきのこを採り、季節の移ろいを感じながら原稿をしたためる日々。だが13年前に亡くした妻の遺骨を墓に納められずにいた。共演は「ラストレター」の松たか子、「青葉家のテーブル」の西田尚美。原案エッセイの中に登場する豪快にして繊細な料理を再現したのは、料理研究家の土井善晴。2022年第96回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞受賞。
  • 峠 最後のサムライ

    制作年: 2020
    司馬遼太郎のベストセラー小説『峠』の初映画化。慶応3年、大政奉還により徳川幕府は終焉を迎え、諸藩は東軍と西軍に二分していく。戊辰戦争が勃発すると、越後長岡藩の家老・河井継之助は民の暮らしを守るため、いずれにも属さない武装中立を目指すが……。監督・脚本は、「蜩ノ記」の小泉堯史。出演は、「オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁」の役所広司、「ラストレター」の松たか子。
  • ラストレター(2020)

    制作年: 2020
    手紙の行き違いをきっかけに始まる二つの世代の恋愛と、それぞれの心の再生と成長を描くラブストーリー。岩井俊二が初めて出身地・宮城を舞台に物語を作り上げた。裕里は、亡くなった姉の代わりに出席した同窓会で、初恋の相手・鏡史郎と再会するが……。出演者には「マスカレード・ホテル」の松たか子、「ラプラスの魔女」の広瀬すず、「フォルトゥナの瞳」の神木隆之介、「風立ちぬ」の庵野秀明、「天気の子」の森七菜、「マチネの終わりに」の福山雅治など豪華キャストが集結。
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  • アナと雪の女王2

    制作年: 2019
    世代を超えて社会現象を巻き起こしたディズニー・アニメ「アナと雪の女王」の続編。アレンデール王国を治めるエルサとアナの姉妹は、幸せな日々を過ごしていた。しかし、エルサにしか聞こえない不思議な“歌声”によって、姉妹は未知なる世界へと導かれてゆく。アナの声をクリステン・ベル、エルサの声をイディナ・メンゼルが続投。監督もクリス・バックとジェニファー・リーが前作から引き続き務める。
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  • マスカレード・ホテル

    制作年: 2019
    東野圭吾のベストセラー小説を木村拓哉と長澤まさみ主演で実写映画化。都内で起きた3件の殺人事件の現場に残された数字を解読した刑事・新田は、次の犯行場所がホテル・コルテシア東京であることを突き止める。新田はホテルマンに扮して潜入捜査することに。監督は、「HERO」シリーズの鈴木雅之。脚本は、「ライアーゲーム」シリーズの岡田道尚。
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