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- 甲本雅裕
略歴 / Brief history
岡山県岡山市の生まれ。2歳上の兄は伝説のロックバンド“THE BLUE HEARTS”の元ヴォーカルで、現在は“ザ・クロマニヨンズ”を率いるミュージシャンの甲本ヒロト。京都産業大学経営学部を卒業後、アパレル関係の会社に就職するが、24歳の時に俳優を目指して上京。1989年、梶原善の紹介で三谷幸喜が主宰する劇団東京サンシャインボーイズに参加し、劇団が活動休止する94年まで、『彦馬がゆく』90、『ラヂオの時間』93など全作品に出演する。93年、三谷が脚本を手がけたフジテレビ『振り返れば奴がいる』の救急隊員役でドラマ初出演。劇団の活動休止後は映像ジャンルに活動の拠点を移し、97年のフジテレビ『踊る大捜査線』にレギュラー出演したのを機に、知名度が飛躍的に上昇する。同作では、元機動隊で武闘派だが気弱なところもある巡査部長・緒方薫を演じ、出番は決して多くはないものの、スペシャルドラマ、映画版とシリーズが続くにつれてキャラクターも成長する出世作となった。以後も、フジテレビ『ソムリエ』98、『アリアドネの弾丸』11、日本テレビ『蘇える金狼』99、『ごくせん』02、テレビ朝日『はみだし刑事情熱系』00~03、『遺留捜査』11、TBS『ブラックジャックによろしく』03、『3年B組金八先生』04などのドラマで活躍。エキセントリックな役から飄々とした物腰の役まで幅広く演じるが、三谷脚本のNHK大河ドラマ『新選組!』04では四番組長・松原忠司を演じ、無骨な男の優しさを滲ませた。近年は、山下敦弘監督「リンダリンダリンダ」05の女子高生バンドを見守る教師、河野圭太監督「ぼくとママの黄色い自転車」09の旅する少年を見守る叔父など、父性を感じさせる芝居の要求にも応え、藤沢周平原作、中西健二監督の時代劇「花のあと」09では、許嫁がほかの男を想うのを秘かに胸痛めながらそれでも静かに見守る武士を演じて、大人の男の包容と色気を巧みに表現した。
甲本雅裕の関連作品 / Related Work
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裸足で鳴らしてみせろ
制作年: 2021「オーファンズ・ブルース」でPFFアワード2018グランプリを受賞した工藤梨穂が監督・脚本を務めたPFF(ぴあフィルムフェスティバル)スカラシップの第27弾。盲目の養母のために寡黙な青年二人は、レコーダーを持って“世界の音”を求めて偽りの世界旅行に出る。旅の記録を肉体に刻みながら次第に惹かれ合う直己と槙を、「オーファンズ・ブルース」の佐々木詩音と「蝸牛」の諏訪珠理。きっかけを与える女性・美鳥を風吹ジュンが演じている。フランソワ・トリュフォー監督「隣の女」のセリフ「一緒では苦しすぎるが、ひとりでは生きていけない」から着想を得て、研ぎ澄まされた感覚で「画と音」を綴る青春映画。 -
浜の朝日の嘘つきどもと
制作年: 2021タナダユキ監督が、福島県南相馬に実在する映画館「朝日座」を舞台に、映画に人生を救われた女性が、映画を教えてくれた恩師との約束を果たすために、支配人や町の人々を巻き込みながら映画館を守ろうと奮闘する姿を描く。福島中央テレビ開局50周年記念作品。主人公の浜野あさひ/茂木莉子(もぎりこ)を演じるのは高畑充希、恩師の田中茉莉子役にバラエティで活躍する大久保佳代子、朝日座の支配人・森田保造に落語家の柳家喬太郎と異色の顔合わせが実現。丁々発止の会話が小気味よく展開する。茂木莉子と森田の掛け合いに、「キッズ・リターン」(96年/北野武監督)を彷彿とさせる「バカヤロー!まだ始まっちゃいねーよ」というセリフが出てきたり、教師の田中が失恋するたびに、「喜劇 女の泣きどころ」(75年/瀬川昌治監督)を見ていたり、映画好きにはたまらない仕掛けが随所にちりばめられている。大震災・福島の原発事故から10年、映画館を取り巻く状況はコロナ禍でさらに厳しさを増すなか、エンターテイメント文化へのエールが込められた作品が誕生した。なお、本作は福島中央テレビ50周年記念ドラマ『浜の朝日の嘘つきどもと』の前日譚ともなっており、ドラマに出演していた竹原ピストル、六平直政、吉行和子なども出演している。 -
リスタートはただいまのあとで
制作年: 2020ココミによるBLコミックを実写映画化。都会の生活に疲れ、10年ぶりに帰郷した孤塚光臣。近所で農園を営む熊井の養子・大和と出会い、ふさぎこんでいた光臣は彼に励まされる。そんな大和と過ごす中、光臣は次第に大和が自分にとって大切な存在だと気付き始め……。出演は「となりの怪物くん」の古川雄輝、「泣くな赤鬼」の竜星涼。監督は「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」などのプロデューサーを務めた井上竜太。 -
夜明けまで離さない
制作年: 2018街の片隅に生きる女が、謎めいた男と出会い、非情な毎日の中で互いを求め合ってゆく姿を映し出すラブストーリー。一人息子を育てながらスナックで働く美咲。客をホステスと遊ばせる場でもあるその店を訪れた石岡は、美咲を抱くこともなく窓から外を見続ける。出演は「傷だらけの悪魔」の宮地真緒、「ケンとカズ」の毎熊克哉、「八重子のハミング」の朝加真由美、「エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)」の甲本雅裕。脚本を「クロス」の宍戸英紀、撮影を「薔薇色のブー子」の吉田淳志、音楽を「メイクルーム」のLes.R Yukaが担当。監督は「子猫の涙」「上京ものがたり」の森岡利行。