加藤剛 カトウゴウ

  • 出身地:静岡県榛原郡白羽村(現・御前崎市)
  • 生年月日:1938年2月4日
  • 没年月日:2018年6月18日

略歴 / Brief history

静岡県榛原郡白羽村(現・御前崎市)の生まれ。本名は表記は同じだが“たけし”と読む。父は地元の小学校の校長で、常に背筋が伸びていたという謹直な姿を見て育つ。都立小石川高校に進み、柔道部主将。学園祭の先輩の芝居を手伝ったのをきっかけに演劇に魅かれ、早稲田大学文学部演劇学科に入学、学内劇団の自由舞台で稽古に打ち込む。1961年、卒業と同時に俳優座養成所に12期生として入所。翌62年のTBS『人間の條件』の主人公・梶役に選ばれる。無色無名の存在を求めていたスタッフによる大抜擢で、約1年の撮影期間を梶になりきって夢中で過ごし、デビューとともに脚光を浴びた。同作を見た木下惠介監督に近代的な甘いマスクを気に入られ、「死闘の伝説」63のメインキャストに起用されて映画初出演。養成所は出席日数不足のため留年し、13期生で修了する。64年に俳優座に入団し、木下監督「香華」、野村芳太郎監督「五瓣の椿」と映画出演が続く。同年、日本映画製作者協会新人賞受賞。俳優座での初舞台は『ハムレット』65の傍役で、再び新人の素材の魅力を千田是也代表に買われて、安部公房・作『おまえにも罪がある』65で初の主役をつとめる。その後も、BC級戦犯容疑から逃げ続ける男を演じた家城巳代治監督「逃亡」65などを経て、小林正樹監督「上意討ち・拝領妻始末」67で三船敏郎と父子役で共演。主君の側室を妻として拝領、愛を育んだ矢先に召し上げられた侍・笠原与五郎の憤怒のさまが高く評価される。一方、野村芳太郎監督「影の車」70ではボソボソ小声で話す勤め人に扮して小心者のエゴを卓抜に表現するなど、着実に実力を発揮した。この間の68年、女優・声優の伊藤牧子と結婚。テレビドラマでは、迫力ある殺陣が評判のフジテレビの時代劇『三匹の侍』に64年からレギュラー出演し、浪人・橘一之進役が人気を呼ぶ。さらに70年、江戸南町奉行・大岡越前守忠相役で主役を張ったTBS『大岡越前』がスタート。これが99年まで30年間に渡って続く長寿ドラマに育ち、弱きを救う名奉行・大岡は全国の老若男女に愛されるキャリア随一の当たり役となる。72年には、三浦哲郎原作、熊井啓監督の「忍ぶ川」に主演。企画成立に10年以上かけた熊井監督の情熱に打たれ、栗原小巻演じる料亭の娘・志乃を愛する大学生・哲郎役を真摯に好演し、自身の誠実な人柄とあいまって清廉な熱意の人物のイメージを決定づけた。フジテレビ『剣客商売』73の秋山大治郎役もそれを踏まえて好評だったが、松本清張原作、野村芳太郎監督の大作「砂の器」74では一転して、暗い過去を揉み消す音楽家・和賀英良役。しかし、野心のために殺人を犯す卑劣より、宿命に縛られてあがく男の悲劇のほうを際立たせた熱演は独壇場といえるもので、映画における代表作とする。76年、NHK大河ドラマ『風と雲と虹と』に平将門役で主演。平安中期に乱を起こした将門を貴族社会の世を糺す青年革命家と捉え直して反響を呼ぶ。テレビドラマの大作で反逆の立場となっても己の義を通す人物を堂々と演じ、歴史に新たな光を当てる取り組みは、この時期の大きな収穫となる。テレビ朝日『蒼き狼・成吉思汗の生涯』80のジンギスカン、TBS『関ケ原』81の石田三成などもこれに続く。山田太一脚本のNHK大河ドラマ『獅子の時代』80では薩摩藩士・刈谷嘉顕役。明治新時代の理想に燃え志半ばで斃れる刈谷を通して、歴史のうねりと闘う個人の燃焼を見事に表現する。映画では等身大の役が多く、今井正監督「子育てごっこ」79で栗原小巻と夫婦役で共演、地方の分校教師の朴訥さに味を出す。木下惠介監督「父よ母よ!」80では非行問題を取材する記者役。木下とはデビュー以来恩師と慕う間柄で、「この子を残して」83、「新・喜びも悲しみも幾歳月」86で続けて主演する。映画の主要作はほかに、森川時久監督「次郎物語」87、栗山富夫監督「ハラスのいた日々」89など。80年代は特に舞台の活躍がめざましく、山本有三・作『波・わが愛』を自身の提案で82年に初演。夏目漱石の『門・わが愛』83、『心・わが愛』87と好評を続けて俳優座に日本の近代文学路線を敷く。91年に“わが愛三部作”を一挙上演し、紀伊國屋演劇賞と芸術選奨文部大臣賞を受賞。その後もナチスの時代に教え子ともに死ぬことを選んだ『コルチャック先生』95が新たな当たり役となり、父と同じ教育者の人生を演技の中で生きる。2001年、俳優座創立55周年記念作品の小野田嘉幹監督「伊能忠敬・子午線の夢」で、徒歩による実測で初の日本地図を作った伊能忠敬を99年の舞台版に続いて演じ、若松節朗監督「沈まぬ太陽」09で総理大臣、NHK『坂の上の雲』09~11で伊藤博文を演じるなど、登場するだけで画面に品格をもたらす凛とした存在であり続ける。ふたりの息子はともに俳優となり、夏原遼、頼三四郎の芸名で活動中。01年紫綬褒章、08年旭日小綬章受章。2018年6月18日、胆囊(たんのう)がんにより死去。享年80歳。

加藤剛の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 今夜、ロマンス劇場で

    「海街diary」の綾瀬はるかと「ナラタージュ」の坂口健太郎がW主演を務めるラブストーリー。映画監督を夢見る青年・健司は、通い慣れた映画館で長年憧れていたスクリーンの中のお姫様・美雪と出会う。二人は次第に惹かれ合っていくが美雪にはある秘密があった。「信長協奏曲(ノブナガコンツェルト)」の宇山佳佑によるオリジナル脚本を、「テルマエ・ロマエ」シリーズの武内英樹が監督。共演は「少女」の本田翼、「無限の住人」の北村一輝、「超高速!参勤交代 リターンズ」の中尾明慶、「22年目の告白 私が殺人犯です」の石橋杏奈、「武曲 MUKOKU」の柄本明、「舟を編む」の加藤剛。音楽を「沈まぬ太陽」「アンフェア」シリーズの住友紀人が手がける。
    90
  • 舟を編む

    2012年本屋大賞で大賞を獲得し、2012年文芸・小説部門で最も販売された三浦しをんの『舟を編む』(光文社・刊)。言葉の海を渡る舟ともいうべき存在の辞書を編集する人々の、言葉と人に対する愛情や挑戦を描いた感動作を、「剥き出しにっぽん」で第29回ぴあフィルムフェスティバルグランプリを受賞、「川の底からこんにちは」が第60回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に招待されるなど国内外から評価される石井裕也監督が映画化。言葉に対する抜群のセンスを持ちながら好きな人へ思いを告げる言葉が見つからない若き編集者を「まほろ駅前多田便利軒」の松田龍平が、若き編集者が一目惚れする女性を「ツレがうつになりまして。」の宮崎あおいが演じる。
    90
  • いのちの山河 日本の青空II

    地方行政から見放され多くの問題を抱えていた山あいの小さな村の人々が、その苦難に立ち向かう姿を描いた実話の映画化。監督は『日本の青空』の大澤豊。出演は「さまよう刃」の長谷川初範、「おと・な・り」のとよた真帆、「沈まぬ太陽」の加藤剛、「HAZAN」の大鶴義丹、「あずみ2 Death or Love」の宍戸開、「島田洋七の佐賀のがばいばあちゃん」の小林綾子など。
  • 沈まぬ太陽

    「白い巨塔」「華麗なる一族」などの人気作家・山崎豊子の同名小説を「ホワイトアウト」の若松節朗が映画化した社会派ドラマ。巨大企業に翻弄されながらも自らの信念を貫き通す男の姿を描く。出演は「硫黄島からの手紙」の渡辺謙、「ヘブンズ・ドア」の三浦友和、「余命」の松雪泰子、「ぼくとママの黄色い自転車」の鈴木京香、「私は貝になりたい(2008)」の石坂浩二など。
  • 日本の青空

    日本国憲法誕生の真実を、豪華出演者で描く歴史ドラマ。
  • アダン

    若くして天才と呼ばれながら独学で画業に励み、晩年は奄美大島に渡った孤高の画家・田中一村の半生を描いた伝記ドラマ。監督は「HAZAN」の五十嵐匠。出演は、「HAZAN」でも五十嵐監督と組んだ榎木孝明。
  • 砂の器 デジタルリマスター2005

    松本清張の小説を、橋本忍と山田洋次の共同脚本により野村芳太郎監督が映画化した傑作ミステリー「砂の器」。2005年に製作された、撮影監督の川又昂監修によるデジタルリマスター版。音声もステレオ原盤から5.1chにミックスされている。出演は丹波哲郎、加藤剛、森田健作、緒形拳、加藤嘉ほか。
  • 同窓會(2004)

    「GOING WEST 西へ…」において人間の記憶という問題を提起、「故郷」において高齢者の体力という問題をとりあげ高齢者をテーマにした向井寛監督の3部作最終章。本作「同窓會」では生活をしているなかでの、孤独の感情を埋める”集合”が描かれ、戦後の混乱の中で日本を捨て海外へと渡ったのち、人生の終わりを日本で迎えるため60年ぶりに帰郷した一人の男が、かつての親友と青春の日々を取り戻す旅に出る。
  • ウィニング・パス

    事故で下半身不随となった高校生が、車椅子バスケとの出会いを通して再起していく姿を描いた青春ドラマ。監督は「チンパオ 陳宝的故事」の中田新一。三輪勝司による原案を基に、「6週間 プライヴェートモーメント」の矢城潤一と原田哲平が共同で脚本を執筆。撮影を「修羅のみち5 東北殺しの軍団」の今泉尚亮が担当している。主演は「偶然にも最悪な少年」の松山ケンイチ。第16回東京国際映画祭ニッポン・シネマ・フォーラム出品、北九州市制40周年記念、文化庁支援、文部科学省選定、厚生労働省推薦、写真美術館で観る映画シリーズvol.8作品。
  • 伊能忠敬 子午線の夢

    老後の人生をかけて日本地図を作る伊能忠敬の半生を映画化。俳優座の舞台『伊能忠敬物語』の続編的物語。監督は小野田嘉幹。出演は加藤剛、賀来千香子、丹波哲郎ほか。
  • 郡上一揆

    江戸時代の三大一揆のひとつである郡上一揆を背景に、農民たちの命をかけた戦いを描いた群像史劇。監督は「宮沢賢治 その愛」の神山征二郎。こばやしひろしによる戯曲を基に、「ひめゆりの塔」の加藤伸代と神山監督が共同で脚色。撮影を「宮沢賢治 その愛」の南文憲が担当している。主演は「北京原人」の緒形直人。芸術文化振興基金助成作品。2000年11月11日岐阜県・岐阜CINEXにて先行上映。
  • アカシアの町

    東京から夢破れて帰郷してきた女性が、故郷の人々との交流を通して成長していく姿を描いたヒューマン・ドラマ。監督は「童謡物語」の森川時久。脚本は小林悦子。撮影を「〈39〉刑法第三十九条」の高瀬比呂志が担当している。主演は田野聖子。劇団俳優座創立55周年記念作品。
  • 草刈り十字軍

    水や土を汚染する除草剤の空中散布に反対したあるグループが、地道な草刈り作業をボランティアの手を借りて成功させる実話をもとにしたヒューマン・ドラマ。監督は「YAWARA!」の吉田一夫。足立原貫と野口伸による原作を、吉田自身が脚色した。撮影を「ひみつの花園」の岸本正広が担当している。主演は「アンネの日記(1995)」の加藤剛。16ミリからのブローアップ。
  • アンネの日記(1995)

    戦争の狂気と人種差別の犠牲となった、少女アンネ・フランクのあまりにも有名な日記をアニメ化した感動作。監督は「それいけ!アンパンマン 恐竜ノッシーの大冒険」の永丘昭典。声の出演は、アンネ役に“グリコBIGプッチンプリン”のCMモデルで知られる高橋玲奈ほか、加藤剛、樫山文枝、SMAPの草なぎ剛、黒柳徹子、坂上二郎ら。また「ピアノ・レッスン」のマイケル・ナイマンが作曲した悲しげなピアノのメロディも印象的。
  • わが愛の譜 滝廉太郎物語

    『花』『荒城の月』の作曲者として知られる滝廉太郎の恋と友情に生き、音楽活動に燃えた短い生涯を描くドラマ。廉太郎没後九十年を機に、本格的なドイツ・ロケを交えて作られたもので、劇中には滝廉太郎の代表曲やシューマン、ベートーベンらの名曲が挿入されている。監督は「福沢諭吉」の澤井信一郎。脚本は澤井と宮崎晃、伊藤亮爾の共同。キネラ旬報ベストテン第八位。
  • 復活の朝

    大学病院の外科病棟を舞台に、若き看護婦たちの格闘を描くヒューマン・ドラマ。監督はこれがデビュー作となる吉田剛。江川晴の『外科東病棟』(小学館刊)を原作に、脚本は「四万十川」の古田求、撮影は「黒い雨」の川又昂が担当。
  • ハラスのいた日々

    子供のいない中年夫婦と小犬との触れ合いを描く。中野孝次原作の同名ノンフィクション小説の映画化で、脚本は「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」の山田洋次と朝間義隆が共同で執筆。監督は「釣りバカ日誌」の栗山富夫、撮影は安田浩助がそれぞれ担当。
  • 千利休 本覺坊遺文

    千利休四百年遠忌特別作品。安土・桃山時代の茶人・千利休の謎に包まれた晩年を、愛弟子・本覚坊らが解き明かしていく様子を描く。井上靖原作の小説『本覺坊遺文』の映画化で、脚本は「天平の甍」の依田義賢が執筆。監督は「海と毒薬」の熊井啓、撮影は「女衒」の栃沢正夫がそれぞれ担当。
  • 次郎物語(1987)

    親と子の心のふれあいを描いた古典的名作の映画化。原作は下村湖人の同名小説、脚本は「白い野望」の井手雅人、監督は「きみが輝くとき」の森川時久、撮影は「親鸞 白い道」の山崎善弘がそれぞれ担当。
  • 新・喜びも悲しみも幾歳月

    転勤の多い燈台守一家の生活を13年にわたって描く。原作・脚本・監督は「この子を残して」の木下恵介、撮影は「泰造」の岡崎宏三がそれぞれ担当。主題歌は、加藤登紀子(「海辺の旅」)。
  • 空海(1984)

    弘法大師空海の生いたちから入定までの六十一年の生涯を描く。脚本は空海にまつわる膨大な資料をもとに「青春の門 自立篇(1977)」の早坂暁が執筆。監督は「未完の対局」の佐藤純彌、撮影は「日本海大海戦 海ゆかば」の飯村雅彦がそれぞれ担当。
    80
  • この子を残して

    長崎の原爆で妻を失くし、自らも被爆した医学博士が、自分の体験を後世に残すため書き綴る姿を描く。永井隆原作のノンフィクションの映画化で、脚本は山田太一と「父よ母よ!」の木下恵介の共同執筆。監督も木下恵介、撮影は「南十字星」の岡崎宏三がそれぞれ担当。
  • 天城越え

    十四歳の少年と娼婦が天城峠を旅しているとき起きた殺人事件と、三十年間、事件を追い続けた老刑事の姿を描く。松本清張の同名の小説を映画化したもので、脚本はこの作品が監督デビュー作となる「夜叉ヶ池」の三村晴彦と「炎のごとく」の加藤泰の共同執筆、撮影は羽方義昌がそれぞれ担当。
    90
  • 父よ母よ!

    問題行動を起す子供たちは、親や社会に何を訴えたいのだろうか。大人社会の中で、悩み、迷い、傷つく少年少女たちのエピソードを、取材する新聞記者の眼を通してドキュメンタリータッチで描く。齋藤茂男の同名の原作の映画化で、脚本、監督は「衝動殺人 息子よ」の木下恵介、撮影は「夜叉ヶ池」の小杉正雄がそれぞれ担当。
  • 夜叉ヶ池

    山麓の鐘を日に三度つかなければ、夜叉ヶ池に封じ込められている竜神が暴れだすという言い伝えを破ったために、竜に村を滅ぼされてしまうという幻想と伝説の世界を描く泉鏡花の戯曲の映画化で、脚本は「十八歳、海へ」の田村孟と三村晴彦の共同執筆、監督は「はなれ瞽女おりん」の篠田正浩、撮影は「雲霧仁左衛門」の小杉正雄と「九月の空」の坂本典隆がそれぞれ担当。
  • 衝動殺人 息子よ

    息子を殺された父親の悲しみと、同様の境遇の人々と共に、被害者遺族を保護する法律を作る運動を進める姿を描く。昭和五十三年『中央公論』三月号に掲載された佐藤秀郎の同名のノンフィクションを映画化したもので、脚本は砂田量爾と「スリランカの愛と別れ」の木下恵介の共同執筆、監督も同作の木下恵介、撮影は「燃える秋」の岡崎宏三がそれぞれ担当。
  • 子育てごっこ

    老放浪作家に育てられ学校教育も受けていない少女を引き取って育てる小学校教師夫婦の姿を描く。昭和五十二年前期直木賞受賞作である三好京三の同名小説の映画化で、脚本は「海軍特別年少兵」の鈴木尚之、監督は「あにいもうと(1976)」の今井正、撮影は「俺の空」の原一民がそれぞれ担当。
  • 雲霧仁左衛門(1978)

    非情な武家組織に追われて盗賊と化した男と、彼に熾烈な闘争を挑む火付盗賊改めの姿を描く、池波正太郎原作の同名小説の映画化。脚本は「影狩り」の池上金男、監督は「暴力街(1974)」の五社英雄、撮影は「愛情の設計」の小杉正雄がそれぞれ担当。
    60
  • 北の岬

    日本人自動車技師と美しい修道女の愛の彷徨を描いた辻邦生の同名小説の映画化。脚本は「朝やけの詩」の桂明子、監督は脚本も執筆している「サンダカン八番娼館 望郷」の熊井啓、撮影も同作の金宇満司がそれぞれ担当。
  • 化石

    不治の病にかかり死を宣告された男が、ヨーロッパを旅しながら新めて生と死を見つめ直す、という井上靖の同名小説をテレビ・ドラマ化し、映画に再編集した作品。脚本は稲垣俊と、よしだたけし、監督は「いのちぼうにふろう」の小林正樹、撮影は「吾輩は猫である」の岡崎宏三がそれぞれ担当。
  • 砂の器(1974)

    迷官入りと思われた殺人事件を捜査する二人の刑事の執念と、暗い過去を背負う為に殺人を犯してしまう天才音楽家の宿命を描くサスペンス映画。原作は松本清張の同名小説。脚本は「日本沈没」の橋本忍と「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」の山田洋次、監督は「東京ド真ン中」の野村芳太郎、撮影も同作の川又昂がそれぞれ担当。
  • 日本侠花伝

    男まさりで客気に燃える女が、命をかけ体を張ってひたすらに真実の愛を求めつづける激しい姿を描く。原作・脚本・監督は「宮本武蔵(1973)」の加藤泰、撮影は「放課後」の村井博がそれぞれ担当。
  • 忍ぶ糸

    果たされぬ恋を組紐に託し、忍従に生きぬいた、娘二代の愛の歴史を、城下町・伊賀上野を舞台に描く。原作は北原優子の同名小説。脚本は「恍惚の人」の松山善三と、増田憲義、監督は「卒業旅行」の出目昌伸、撮影も同作の原一民がそれぞれ担当。
  • 子連れ狼 死に風に向う乳母車

    “子連れ狼”シリーズ三作目。子連れ刺客、拝一刀と大五郎親子が柳生を討つべく、冥府魔道に生きる様を描く。原作小池一雄、劇画小島剛夕で『漫画アクション』連載中。脚本は「子連れ狼 三途の川の乳母車」の小池一雄、監督も同作の三隅研次、撮影も同作の牧浦地志がそれぞれ担当。
    80
  • 忍ぶ川

    原作は、幻の企画といわれ映画化の話が出ては消え、やっとこのほど11年ぶりに映画化の運びとなった、三浦哲郎の同名小説、第44回芥川賞を受賞している。脚本は、長谷部慶治、監督は脚本も執筆している「地の群れ」の熊井啓、撮影は「裸の十九才」の黒田清巳がそれぞれ担当。
  • 黒の斜面

    飛行機事故から題材を得たもので、日常的な安定の中で、物質的にも性的にも微妙なバランスを保っていた人間関係が、ある偶然によってバランスを失った時、どんなスリリングでめくらめく恐怖が姿を現わすか、をテーマにしたサスペンス映画。脚本は「明日また生きる」の菊島隆三。撮影は「開運旅行」の丸山恵司がそれぞれ担当。
  • 戦争と人間 第二部 愛と悲しみの山河

    昭和七年の満州事変から一二年蘆溝橋事件までを背景に、全面的戦火の時代に突入してゆこうという動乱期に、愛と正義を至上のものとして生きようとする伍代家の次男俊介と不幸な結婚に縛られながら俊介と運命をともにしようとする人妻狩野温子の悲劇的な恋愛を中心にさまざまな人間模様を描いていく。原作は五味川純平の大河小説「戦争と人間」。脚本は「内海の輪」の山田信夫と「沖縄(1970)」の武田敦。監督は「戦争と人間」の山本薩夫。撮影は「女子学園 悪い遊び」の姫田真佐久がそれぞれ担当。
  • 戦争と人間 第一部 運命の序曲

    「人間の条件 第1・2部」「人間の条件 第3・4部」「人間の条件 完結篇」の原作者、五味川純平が現在なお執筆中の同名大河小説の映画化で、第二次大戦突入期の満州を舞台にくりひろげられる複雑多岐な人間群像ドラマ。脚本は「乱れ雲」の山田信夫、監督は「天狗党」の山本薩夫。撮影は「華やかな女豹」の姫由真佐久が担当。
  • こちら55号応答せよ! 危機百発

    野村芳太郎とコント55号のコンビがおりなす抱腹絶倒のサンペンス・コミック。脚本は「東京←→パリ 青春の条件」のジェームス三木、「影の車」「三度笠だよ人生は」の野村芳太郎と吉田剛、監督は野村芳太郎。撮影は「影の車」の川又昂が担当。
  • 影の車

    松本清張の同名原作を清張文学の映画化では定評のある橋本忍と野村芳太郎のコンビが日常性の奥に潜む恐怖を描いた作品。撮影は野村監督と名コンビぶりを発揮してきた川又昂が担当。また、この作品では従来、映画では不可能とされていたカラーの分解処理〔多層分解〕が試みられている。
    80
  • 天狗党

    三好十郎の戯曲「斬られの仙太」を、「刑務所破り」の高岩肇と、稲垣俊が共同脚色し、長編記録映画「ベトナム」の山本薩夫が監督した、幕末を背景にしたアクション時代劇。撮影は、「笹笛お紋」の牧浦地志が相当した。
  • 喜劇 東京の田舎っぺ

    「恋人をさがそう」の石森史郎、「命しらずのろくでなし」の若井基成、新人千野皓司の三人が共同でシナリオを執筆した千野皓司の監督昇進第一作。撮影も新人の北泉成。
  • 上意討ち 拝領妻始末

    『城』(28号)に掲載された滝口康彦の原作『拝領妻始末』を「白い巨塔」の橋本忍が脚色し、「怪談」以来二年間の沈黙を破って小林正樹が監督した時代劇。撮影は「ゼロ・ファイター 大空戦」の山田一夫。1967年6月3日より全国公開。
    90
  • 獣の剣

    「三匹の侍」の柴英三郎と五社英雄が共同でシナリオを執筆、五社英雄が監督したアクション時代劇。撮影は土屋俊忠。
  • 逃亡

    「肉体の門(1964)」の棚田吾郎がオリジナル・シナリオを執筆、「路傍の石(1963)」の家城巳代治が監督した社会もの。撮影は「黒い猫」の西川庄衛。
  • 五瓣の椿

    山本周五郎の同名小説を「がらくた」の井手雅人が脚色「拝啓総理大臣様」の野村芳太郎が監督した文芸もの。撮影もコンビの川又昂。
  • 香華

    有吉佐和子の同名小説を「死闘の伝説」の木下恵介が脚色、監督した文芸もの。撮影もコンビの楠田浩之。
  • 死闘の伝説

    「歌え若人達」を監督した木下恵介が脚本・監督する社会ドラマ。撮影もコンビの楠田浩之。
  • ヒロシマ一九六六

    以前、大映の助監督で、今度独立プロ「新制作集団」を設立した白井更生の、第一回監督作品。「その夜は忘れない」のシナリオを執筆、「二四時間の情事」のチーフ助監督をつとめた白井更生が、シナリオを執筆し監督した実話に基く、ドキュメント・ドラマ。撮影は、新人金井勝が担当した。

映画専門家レビュー

今日は映画何の日?

NEW今日誕生日の映画人 8/5

柴咲コウ(1981)

燃えよ剣

新選組副長・土方歳三を軸に激動の幕末を描いた司馬遼太郎による歴史小説を、「関ヶ原」の原田眞人監督・岡田准一主演のコンビで映画化。武州多摩のならず者だった土方は同志と共に京都に向かい、市中を警護する新選組を結成。しかし時代は倒幕へと傾き……。新選組局長近藤勇を鈴木亮平が、土方の思い人・お雪を柴咲コウが、新選組一番隊組長・沖田総司を山田涼介が演じる。また、衣装デザインを原田作品はじめ数々の日本映画・ドラマに携わってきた宮本まさ江が、ヘアー&メイクアップを「沈黙-サイレンス-」などハリウッドで活躍するノリコ・ワタナベが担当。

クルエラ

ディズニーアニメ「101匹わんちゃん」の悪役クルエラの誕生秘話を「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーン主演で実写映画化。70年代のロンドンでデザイナーを目指す少女エステラ。カリスマ的デザイナー、バネロスとの出会いが彼女の運命を大きく変えていく。出演は、「ウォルト・ディズニーの約束」のエマ・トンプソン、「リチャード・ジュエル」のポール・ウォルター・ハウザー、「キングスマン」のマーク・ストロング。監督は、「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」のクレイグ・ギレスビー。
オリヴィア・ホルト(1997)

ステータス・アップデート

「ヘアスプレー」のアダム・シャンクマン監督が製作総指揮を務めた青春ドラマ。自分に自信のないカイルは学校になじめず、恋人もいない。そんなある日、不思議な男から、投稿したことが現実になるアプリ“ユニバース”がダウンロードされたスマホを渡される。出演は、ドラマ『オースティン&アリー』のロス・リンチ、ドラマ『やってないってば!』のオリヴィア・ホルト、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のコートニー・イートン、「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」のロブ・リグル、「X-MEN」シリーズのファムケ・ヤンセン。監督は、「ミッドナイト・サン タイヨウのうた」のスコット・スピアー。

ディズニーネイチャー クマの親子の物語

ディズニーが贈るドキュメンタリーシリーズ。アラスカの厳しい環境で暮らすクマの親子に密着。監督は「アース」のアラステア・フォザーギルと「ディズニーネイチャー サバンナを生きる百獣の王」のキース・スコーリー。音楽は「ガンジー」のジョージ・フェントン。日本語ナレーションは「エイプリルフールズ」の小澤征悦。

NEW今日命日の映画人 8/5

マリリン・モンロー(1962)

マリリン・モンロー 瞳の中の秘密

「ノックは無用」で注目され、「ナイアガラ」「紳士は金髪がお好き」で確固たる地位を築き、「お熱いのがお好き」では第17回ゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディ部門主演女優賞を獲得したものの、36歳の若さでこの世を去った女優マリリン・モンロー。私的な文書をもとに、セックス・シンボルと謳われた自らのイメージを貫いた彼女の実像に迫るドキュメンタリー。監督はドキュメンタリーを数多く手がけてきたリズ・ガルバス。「キル・ビル」のユマ・サーマン、「フォーチュン・クッキー」のリンジー・ローハン、「アルバート氏の人生」のグレン・クローズ、「レスラー」のマリサ・トメイらが彼女の姿を浮き彫りにする。

モンタン、パリに抱かれた男。

戦後フランスを代表する大スターであり、91年に他界したイヴ・モンタンの伝記ドキュメンタリー。モンタンの自伝『Tu vois Je n'ai pas oubli氏x(名曲『枯葉』の一節。邦訳は『イヴ・モンタン ぼくの時代―パリに抱かれて』で、文藝春秋社刊)をもとに、この本の基になった60時間におよぶインタビュー・テープに遺されたモンタン自身の声と、出演映画、コンサートの記録、ニュースフィルムなど彼と直接/間接に関係するさまざまな映像を構成して、彼の70年の生涯を浮き彫りにしていく。監督はモンタンの盟友コスタ・ガヴラスの「Z」「告白」などに参加し、主にテレビで活躍するジャン・ラビブ。製作はミシェル・ロトマン、エグゼクティヴ・プロデューサーはT・セラル。原作の自伝の共著者であるエルベ・アモンとパトリック・ロトマンが脚本を担当。モンタンとシモーヌ・シニョレの旧居などの追加映像の撮影はジャン・ジャック・フロリ、音楽構成はジャン・ルイ・ヴァレロ、編集はベルナール・ジョッセ、録音はヤニック・シュヴァリエがそれぞれ担当。使用されるモンタンの歌は『パリで』、『枯葉』などの代表作をはじめ、フランスの国民的愛唱歌『さくらんぼの実のなるころ』、恋人エディット・ピアフの持ち歌だった『君は誰にも似ていない』、それに『ルナ・パーク』、『ラ・ミレット』、『ベラ・チャオ』などなど。引用される映画は実質上のデビュー作であり、プレヴェール・コスマの『枯葉』と出会った映画でもある『夜の門』(V)、アメリカに進出しマリリン・モンローとの恋愛が話題になった「恋をしましょう」、名作メロドラマ「夕なぎ」、政治性の強い題材を節度をもって演じ、単なる歌う二枚目スターから脱皮して名優として深い尊敬を集めるに至った「戦争は終った」「告白」「Z」など、代表作の数々から、晩年の「想い出のマルセイユ」「愛と宿命の泉」「IP5-愛を探す旅人たち-」まで、ほかにも糟糠の妻シモーヌ・シニョレの「肉体の冠」や、マルセイユ時代のアメリカへの憧れを表す「マルクス一番乗り」、そして左翼政党の宣伝記録映画など多数。