流転の地球 太陽系脱出計画の映画専門家レビュー一覧

流転の地球 太陽系脱出計画

SF小説『三体』でヒューゴー賞を獲得したリウ・ツーシンの短編小説を実写化した「流転の地球」の前日譚。太陽系消滅に備え、1万基にも及ぶロケットエンジンを用い地球を太陽系から離脱させる“移山計画”が始動。地球と人類の存亡を懸けた最終決戦が始まる。前作「流転の地球」に続きグオ・ファンがメガホンを取り、原作者リウ・ツーシンは製作総指揮としても参加。宇宙飛行士リウを「戦狼 ウルフ・オブ・ウォー」のウー・ジンが、量子化学を研究するトゥーを「バーニング・ダウン 爆発都市」のアンディ・ラウが、国際地球政府中国代表大使ジョウを「サンザシの樹の下で」のリー・シュエチェンが演じる。2024年第96回アカデミー賞国際長編映画賞中国代表作品。
  • 文筆業

    奈々村久生

    『三体』の劉慈欣による短篇小説を映画化したシリーズ2作目だが、前作ともども原作の面影はほぼ見当たらず。序盤の怒濤のアクション描写とコメディ色が謎すぎる。SFでありながら作劇、メッセージ、映像的にも目新しさはない。それどころか地球の未来を担う各国首脳陣や意思決定のポジションには男性の姿ばかりが集結するという前時代ぶり。全体主義的な自己犠牲の精神性を讃えるような文脈にも危険を感じる。ただし、アンディ・ラウの芝居と彼のパートには一見の価値が残っている。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    地球自体にエンジンつけて太陽系を脱出する計画の訓練生が恋愛しながら軌道エレベータで宇宙に向かってたら、人類全員が意識をコンピュータに移植して電脳空間で精神体になって生きのびるべきだという思想のテロ集団に襲撃され、スター・ウォーズ的ドッグファイトとCG多用の格闘。すでにお腹は一杯だし、そこからさらに2時間半延々と続くSFギミックと泣かせ演出の連発、そのすべてに既視感。原作は未読ですけど短篇で傑作だというから、きっとギュッと圧縮された〈詩〉になってるのだろう。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    原作は未読。またシリーズものと思わず1作目も未見。そのためか本作は3時間の大作であるにもかかわらず、突然始まった早回しのダイジェストを観ているようで、恥ずかしながらほとんど意味がわからなかった。全世界で協力して「妖星ゴラス」をするのだろうか。途中でアンディ・ラウが出てきてようやくホッとした。彼と幼い娘のやりとりは悲痛で狂気に浮かされたようなエモーションがあり、ようやく映画らしい瞬間を観た気がした。星はわたしが怠惰な状態で観たのを差っ引いてください。

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