RED SHOES レッド・シューズ(2023)の映画専門家レビュー一覧

RED SHOES レッド・シューズ(2023)

世界最大のバレエ・コンクールの金賞受賞者ジュリエット・ドハーティ主演で贈るバレエ映画。有名バレエ学校に通うバレエダンサーのサムは、姉の訃報で心に深い傷を負い、学校を去る。荒んだ生活の中、通っていたバレエ学校で社会奉仕活動に従事するが……。共演は「死霊館 エンフィールド事件」のローレン・エスポジート。
  • 翻訳者、映画批評

    篠儀直子

    プロットが穴だらけなのはひどいが、カンパニー内や友人同士の信頼の大切さと、「踊らずにいられない」表現者の思いの切実さを描いているのがとてもいい。心情を語るような歌詞の曲に合わせて主人公らがモダンバレエを踊るので、「フットルース」的な青春疑似ミュージカルの趣も。本物の実力者がそろっているからダンスはみな素晴らしく、クライマックスの公演シーンは、撮り方の成否はともかく、パウエル&プレスバーガーの名作と並んでも恥じないものをという作り手の気概を感じる。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授

    菅付雅信

    オーストラリアの若きバレエダンサーの物語。姉の事故死のショックに立ち直れずバレエを引退した少女が、バレエ学校で清掃員として働きながらも夢を捨てきれず、再びバレエに取り組む。ほとんどC級少女漫画のような設定で脚本は0点に近いのだが、実際にバレエをやっている人たちをキャストしているだけに、バレエ・シーンは見事。俳優たちがバレリーナを演じた「ブラック・スワン」と比較するとバレエ・シーンの迫力が段違い。いっそ物語パートを省いたヴァージョンを見たい。

  • 俳優、映画監督、プロデューサー

    杉野希妃

    トラウマと向き合い、自己表現を追求する物語は胸を打たれるものだが、本作は肉親の喪失や友人とのすれ違いが深く掘り下げられないまま、既視感満載なエピソードが次から次へと積み重なってゆくので、感情移入しにくい。現代的な側面を強調したいという意図のもと、クラシック音楽の合間に頻繁に流されるポップソングは、人物の感情に表層的に寄り添っているだけだ。とはいえ、バレリーナでもある主演のドハーティは憂いを帯びた表情が美しく、そのしなやかな筋肉のキレには息をのむ。

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