四月になれば彼女はの映画専門家レビュー一覧

四月になれば彼女は

川村元気の同名小説を佐藤健主演で映画化したラブストーリー。婚約者・坂本弥生と結婚の準備を進める精神科医・藤代俊の元に、世界を旅する昔の恋人・伊予田春から手紙が届く。そしてある日、弥生が姿を消す。春と弥生、二つの謎はやがて繋がっていく……。共演は「ロストケア」の長澤まさみ、「君は放課後インソムニア」の森七菜。米津玄師、藤井風、宇多田ヒカルなどのミュージックビデオを手掛けてきた山田智和の長編映画監督デビュー作。
  • ライター、編集

    岡本敦史

    今の世の中で「生きづらさ」と「解放」を描くなら、こういう話じゃなくない?という違和感が拭えず。恋愛や結婚に生きづらさを覚えている主人公たちがいて、しかし映画としては恋愛成就を帰結とするジャンルムービーなので、矛盾は当然生じる。その矛盾を突破するべきドラマに、強度も説得力も感じられない。彼らが完全に恋愛から解放される瞬間がないからだろうか。後半の展開はホラー映画にも転用できそうで、介護職員の人材不足という問題は痛いほど伝わる内容ではある。

  • 映画評論家

    北川れい子

    失うのが怖くて愛に臆病な恋人たちの10年越しの因縁メロドラマだが、国内ロケでも辺鄙な場所を選べば十分通用する話を、わざわざ異国の絶景でロケ、いやその絶景は確かに素晴らしいが、だからといって話が広がるわけでもない。原作者の川村元気としては、恋愛や結婚にいまいち消極的だという世代の一面を描いたのだろうが、未練と感傷の遠回り、君たち、本気で愛したの? いつもテキパキ颯爽とした長澤まさみが、獣医役はともかく、こんな曖昧な行動をするのもいかにも嘘っぽい。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    手紙を読む森七菜の柔らかな声と共に、彼女がプラハ、アイスランドなど各地を歩く姿に瞠目する。まるで佐々木昭一郎のドラマを観ているかのような美しさに魅せられたからだ。都内の何気ない風景も繊細に映し出し、中島歩、河合優実を脇に配した配役も申し分ない。映像技巧に走らず、じっくり芝居を捉えるのも好感を持って観ていたが、失踪していた長澤まさみの謎が明かされると、単に自分がすっきりしたいだけの自己満足的行動かつ、ストーカーめいた真似をしているので白けてしまう。

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