おまえの罪を自白しろの映画専門家レビュー一覧

おまえの罪を自白しろ

真保裕一の同名小説を映画化したタイムリミットサスペンス。国会議員・宇田清治郎の孫娘誘拐事件が発生。犯人は、“明日午後5時までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ”と要求してくる。清治郎の秘書を務める息子・晄司は事件解決に奔走するが……。出演は「ラーゲリより愛を込めて」の中島健人、「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」の堤真一。監督は「アイ・アム まきもと」の水田伸生。
  • ライター、編集

    岡本敦史

    この題名なので、J社の自浄努力も大したものだと思ったら、そういう話じゃなかった。誘拐犯に脅迫された大物政治家が己の罪を告白するという内容だが、現実のドス黒い醜聞を考えると、罪の中身が弱い。それよりも、人質救助よりスリリングに描かれる免罪工作、当然のように行われる世襲政治、警察やマスコミと結託した情報操作、不正取引の情報提供者への暴力的恫喝、そして弱者を加害者に設定する無神経さに対し、さして問題視しない作りに背筋が凍った。実に現政権らしい一作。

  • 映画評論家

    北川れい子

    政治家の因果が家族に報い! 孫を誘拐された国会議員を巡るサスペンスで、背景には過去の利権絡みの裏取引などがあり、保身と打算に走る政治家たちの醜いエピソードも。むろん警察もマスコミも役に立たない。そんな中、僕らは望んで国会議員の子どもに生まれたわけではない、という次男役の中島健人が、誘拐された姪っ子のために走り出すのだが、そのわりに緊張感が希薄なのは、誘拐事件より、政治家情報が多過ぎるからか。とはいえ伏線はあるにはあるが、犯人は確かに予想外。

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    「悪い奴ほどよく眠る」+「天国と地獄」を思わせるポリティカル幼児誘拐サスペンス。犯人側を終盤まで一切見せず、正義と倫理で要求を突きつけてくる無機質な存在にしたのは現代に相応しいが、古典的な犯人像に収拾されていったのは不満。重要な役どころが、配役の比重によっておおよその見当がついてしまうものの、しっかり者のようで抜けたキャラを演じさせれば右に出る者がいない中島歩が今回も良い味を出していたり、報道記者役の美波が意外な存在感を出すなど配役の妙が際立つ。

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