キングダム 運命の炎の映画専門家レビュー一覧

キングダム 運命の炎

春秋戦国時代の中国を描き、第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した歴史大作漫画『キングダム』の実写化映画第3弾。趙の大軍勢が秦に侵攻。秦の王・嬴政は伝説の大将軍・王騎を総大将に任じ、王騎は信に別動隊として飛信隊を率い敵将を討つよう命じる。前2作(「キングダム」「キングダム2 遥かなる大地へ」)から続き、原作者の原泰久が脚本に参加。佐藤信介監督らスタッフ陣や天下の大将軍を目指す信役の山﨑賢人、秦の若き王・嬴政役の吉沢亮らキャスト陣が続投するほか、嬴政に手を差し伸べた紫夏を「オケ老人!」の杏が、趙の総大将・趙荘を「シン・ウルトラマン」の山本耕史が、同副将・馮忌を歌舞伎俳優の六代目片岡愛之助が、同副将・万極を実写「東京リベンジャーズ」シリーズの山田裕貴が演じる。
  • ライター、編集

    岡本敦史

    紀元前中国の春秋戦国時代を日本人キャストで描く違和感、実写になるとより際立つ主人公のヤンキー漫画的メンタリティなどは、今さら言及しても詮ないこと。作る側も観る側も、その壁を乗り越えて作品世界に没入するスキルを要する異貌の超大作であり、そんな間口の広さとニッチな特殊性の融合こそが本作の醍醐味だろう。原作の「紫夏編」「馬陽の戦い」という見せ場を橋渡し的に組んだ異色の構成、それで一本作り切ってしまうところにもドル箱シリーズの勢いが感じられる。

  • 映画評論家

    北川れい子

    スペクタクルな戦闘絵巻が見せ場の映画だけに今回もそれなりに期待は裏切らない。特にスリリングだったのは、趙国で虫ケラ扱いされていた若き日の?政を、女闇商人の紫夏が連れ出す西部劇さながらの場面。砂漠の大地を疾走する荷馬車と追っ手たちとの攻防で、紫夏役・杏の冷静なアクションが素晴らしい。前作の終盤で圧倒的な存在感を見せた王騎役・大沢たかおの含み笑いは今回も効果的で、王騎の戦術の見せ方も小気味いい。俳優陣の豪華さも見どころの一つだが、無駄遣いの人も?

  • 映画評論家

    吉田伊知郎

    もはや大沢たかおが最大の目当てと言って良いシリーズだが、今回は怪演にいっそう磨きがかかり、美川憲一と見紛うばかり。吉沢亮の回想で水増しされているものの(荷馬車による脱出シーンは柴夏役の杏もアクションも不調)、小隊を率いる山﨑賢人が大軍の只中にいる敵将をどう討つかというB級戦争映画的な作戦が主軸となるため大味にならず。後方に控える大沢の呵々大笑が映画を締める。なお、同名題のラース・フォン・トリアーの新作が同日公開につき、勘違いの発生を期待させる。

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