ハンサン 龍の出現の映画専門家レビュー一覧

ハンサン 龍の出現

豊臣秀吉が朝鮮に出兵した文禄・慶長の役において、両軍の分岐点となった閑山(ハンサン)島海戦を映画化した歴史アクション大作。日本軍は首都・漢陽を陥落。朝鮮軍の敗退が続く中、朝鮮水軍の将軍イ・スンシンは閑山島の沖に陣を張り、日本の武将・脇坂安治を迎え撃つ。出演は、「別れる決心」のパク・ヘイル、「声 姿なき犯罪者」のピョン・ヨハン、「ディヴァイン・フューリー 使者」のアン・ソンギ、2PMのオク・テギョン。監督は、同じくイ・スンシンを主人公にした「バトル・オーシャン 海上決戦」のキム・ハンミン。ピョン・ヨハンが第43回青龍映画賞、第58回大鐘賞映画祭で助演男優賞受賞。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    船底ではたくさんの人間が艪を漕いでいる。船は人力で進む。この時代、船と船はどういう風に戦うのか。お互い大砲と鉄砲で撃ち合う。近づいて相手の船にカギのついたロープを引っ掛け乗り込んでいく。主人公の男がいつも沈着冷静で惚れ惚れする。何があっても動じない。両軍ともいくつもの偶然に助けられながら、あの手この手で戦いを続けていく。部下たちが大将を信じ切って、己の身を捨てて行動するのがグッとくる。我慢に我慢を重ねて最後、作戦がうまくいった時の爽快感。

  • 文筆家/俳優

    睡蓮みどり

    普段見ていないのにこう書いてはいけないかもしれないが、大河ドラマがちらちらと頭をよぎる。音楽も、カット割も、ナレーションの入れ方も。そして溢れ出る大河ドラマ感を前に、何だか自分自身がずいぶん老け込んだような気分になってしまった。日本人役も韓国人俳優が演じており日本語吹き替えなのだが、おかげでここ数年吹き替え映画を見ていなかったということを思い出した。どのシーンもずっと同じに見えてしまう私が時代劇映画について書く資格がないという自覚が高まった。

  • 映画批評家、都立大助教

    須藤健太郎

    ドラマを立ち上げるには顔に頼るしかないという信念に支えられている。「信念」というのは、その是非や効果がたしかかどうかは不明だと思うからである。作戦会議のときも戦闘場面のときも、敵と味方を問わずに将軍たちの顔と顔をつなげていくばかりだが、とっておきの兵器であり、作劇上で鍵となる「亀船」もまた龍の顔がある(そしてそれを隠すこともできる)という点が特別なのである。なお、本作では作戦とはほとんど船の陣形を指すが、これもまた「図=顔」の言い換えである。

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