Single8の映画専門家レビュー一覧
-
映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
同時期に公開されている「フェイブルマンズ」と比べるのは酷としても、ほぼ同じモチーフの「SUPER8/スーパーエイト」とはどうしたって比べてしまうわけだが、タイトルにはその日本版とのわりきりもあるのだろうか。漠然とした「映画愛」みたいなものからは一歩踏み込んで、特定のジャンルへの偏愛、自主映画の技術的課題、そして何よりも小中和哉監督の個人史的な青春映画として、焦点の定まった作品にはなっている。しかし、この素朴さを2023年に推せるかというと……。
-
映画評論家
北川れい子
当時の高校生ってこんなに子どもっぽかったの? 1978年。令和の今ならさしずめ中学生、いや小学校の上級生のレベル。「スター・ウォーズ」に夢中になった彼らが、文化祭に向けて、8ミリカメラで宇宙船の映画を撮ろうとする話で、脚本作りの迷走から、外に出ての撮影まで、“映画の映画”ふうに描かれる。必要は発明の母的な工夫や、カメラ屋の大学生の助言もあるが。ま、何かに熱中するのは青春時代の特権だが、映画作りに特化した本作、単純過ぎて、正直、観ていて間が持たない。
-
映画文筆系フリーライター。退役映写技師
千浦僚
自分は75年生まれだが大学の映研に行くとまだギリギリ本作主人公らが使う機器や8ミリ文化は存在した。そう、スーパー8(高い。手間かかる)でなくフジのシングル8だ。本で知る前に体験的にアクションつなぎを発見した。ZC1000が部室にあり、72コマスロー撮影を知った。8ミリで撮る女の子がたとえようもなく美しいことも知ってる。本作主人公や小中和哉氏ほどの才はなくともクローズアップを発明するグリフィスみたいな思いは多くあった8ミリ時代。今はどう?
1 -
3件表示/全3件