マッドゴッドの映画専門家レビュー一覧

マッドゴッド

「スター・ウォーズ」などのSFXを手掛けた巨匠フィル・ティペットが30年を費やして完成させたストップモーションアニメ。人類最後の男により、荒廃した地下世界に派遣された孤高のアサシンは、化け物たちの巣窟と化したこの世の終わりを目撃する。出演は「シド・アンド・ナンシー」などを手掛けた映画監督のアレックス・コックス。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    人の形をした生き物? がペチャンペチャン潰されていくのが気持ちいい。地獄みたいな地下の世界。男が何かを探している。あちこちで気色悪いやつらと出会う。追いかけられたり襲われたりはしない。何も起きない。男がただ見ているっていうのが妙に面白かった。ゲロ、うんこ、血まみれ。臭ってきそうな汚い場所をどんどん歩いていく。お化け屋敷を歩いているみたいだ。迷路に入ったような不安な気持ちになる。血まみれヌルヌルで暖かい世界。なぜか懐かしい気持ちになった。

  • 文筆家/俳優

    唾蓮みどり

    メロウな音楽とともに主人公がたどり着く先には、奇妙な生き物たちがうごめくアンダーグラウンドの世界が広がる。CGがこれだけ発達した時代で、このようなストップモーションアニメを堪能できるとは! 子どもの頃に観たら人生変わっていたに違いない。本作に登場するモノたちは、本当にそこに生きているのだ。“リアルさ”では語りきれない喜びを感じる。アルケミストの造形美にもすっかり虜に。執念はときに美しい別のものへと姿を変えるのだ。恐るべしフィル・ティペットの世界。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    どう形容したものか。下手に言葉を費やすより、監督やスタッフが挙げている固有名を並べてみる。フィル・ティペットは「キングコング」(33)のウィリス・オブライエン、「シンドバッド七回目の航海」(58)のレイ・ハリーハウゼンに憧れ、特殊効果の道に進んだが、若い頃に影響を受けたのはカレル・ゼマンやヤン・シュヴァンクマイエルなどの東欧アニメーションだった。この映画の着想源は、ブレヒトやヒエロニムス・ボスからバスター・キートンまで多岐にわたるという。

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