理大囲城の映画専門家レビュー一覧
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映画監督/脚本家
いまおかしんじ
これ誰が撮ったんだろう。大学構内で次々逮捕者が出て、追い詰められていく状況を余すところなく捉えている。撮っているやつらは逮捕されなかったのだろうか。最後の最後までカメラは回り続ける。中にいるやつらの顔は全部モザイク処理されているが、それぞれの顔が見えるようだ。彼らの言葉が突き刺さる。どこかユーモアもある。「本当は怖いんだ」と語る若者が持ってる武器が弓矢!だったりする。みんな若い。青春真っ只中。防毒マスクで抱擁する彼らの姿がいつまでも残る。
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文筆家/俳優
睡蓮みどり
掠れゆく叫び声が飛び交う。誰を信じていいかわからなくなってくる。ああ、ここは戦場なのだ。日に日に弱ってゆく身体と、迫りくる心理的な限界。香港民主化デモに関するドキュメンタリーは多く作られてきたが、思想を訴えるのではなく、とことん、そこで何が起こっていたかという実態に迫っている。カメラが捉える緊迫感からは目が離せない。香港理工大学包囲事件の渦中にいたという匿名の監督たちによる、まさに命懸けの撮影。いつか彼らが名前を明かせる日がくる世界を願う。
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映画批評家、都立大助教
須藤健太郎
運動を内側から撮る。それは最終的にデモ隊たちの内面を、つまりは心の中の葛藤を撮ることに向かっていく。この階段をのぼるか降りるか。重大な決定の前で判断ができなくなり、動きを止める二人を捉えたショットは、「理大の階段」として語り継がれていくだろう。銀色のエマージェンシーシートが舞うラストショットも忘れがたい。人を寒さから守るはずのシートが誰もいない空間のなかで空しく宙を舞っている。不在のアレゴリーとおぼしき無人のダンス。だが、何の不在か。
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