とどのつまりの映画専門家レビュー一覧
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
映画・演劇関係者の居酒屋愚痴トークみたいなものがこの世で最も苦手な自分にとっては設定自体がしんどい。最近だと「ある惑星の散文」もそうだったが、作り手と演者と観客が半径5メートルのサークルで自足していれば、そこで燻るのも当然。奇を衒ったアングルや切り返しというだけで、意志が感じられないショットの連続にも辟易。図らずも登場人物の実家部屋に脈略なく貼られた「過去の名画」のポスターが象徴しているように、映画というアートフォームの形骸化ここに極まれり。
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映画評論家
北川れい子
タイトルに皮肉を込めたつもりなのだろうが、このオリジナル作品の主人公たちも、自意識過剰で自分に甘い。役者をしているという3人のエピソード。但し役者としてのキャリアなどは一切描かれず、ワークショップで芝居の稽古をしている場面が何度もあるだけ。そのたびに打ち上げの飲み会も。さしずめ片山監督の周辺にいる役者さんたちがヒントになっているのだろうが、実績がなくても自称で格好がつくのは詩人と役者志望、演じている俳優陣はそれなりに達者だが、話は堂々巡り。
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映画文筆系フリーライター。退役映写技師
千浦僚
登場人物の日常に苛立つ。あの鈍さ、退屈さ。世に打って出たい役者があれではいけない。数年間、映画人を養成する学校のスタッフだったことがあるが、そこでの飲みの席などで繰り広げられる対話は常に熱かった。そのジャンルへの思いでみんな狂っていた。そこで燃えていた者がいま活躍しクレジットに名を見せている。自らが燃えねばそこに光はない。耳かきみたいなセックスで終わるな。映写室に入り浸ることをやめるな。人物らに内心呼びかける。本作にまんまとハメられたか。
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