LAMB ラムの映画専門家レビュー一覧

LAMB ラム

アイスランドの美しい高原で生まれた「羊ではない何か」を娘のように育てる羊牧場の夫と妻、半信半疑の夫の弟、母らしき羊に、不気味で黒い「影」が、それぞれの愛と幸福を求めてうごめくミステリアス・ダーク・ファンタジー。主演・製作総指揮を務めるのは「プロメテウス」『ミレニアム』シリーズのノオミ・ラパス。「ニーチェの馬」のタル・ベーラ監督が製作総指揮を務め、彼のフィルムファクトリー出身で、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」などの特殊効果を担当したヴァルディミール・ヨハンソンが長編監督デビューを果たした。第74回カンヌ国際映画祭のある視点部門で《Prize of Originality》を受賞。「ミッドサマー」「ヘレディタリー/継承」の配給会社A24が北米配給権を獲得したことも話題となった。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    何か考えていそうな羊たち。犬や猫も何かを感じているようだ。その不穏さにまず引き込まれる。淡々とした夫婦の描写が続く。アレが現れてもしばらくは何が起こっているのかよく分からない。全く先が読めない。ボンクラな弟が帰ってきてヤバいことが起こりそうだ。どうなる?どうなる?とワクワクする。夫婦に以前子どもがいたってことをベビーベッドひとつで描写しているところとか、説明セリフをほとんど排除した映像表現に唸る。だんだん成長する羊ちゃんがひたすら可愛い。

  • 文筆家/女優

    唾蓮みどり

    「明るいことが恐ろしい」と謳われた「ミッドサマー」と同じ製作・配給会社A24が送る本作。アイスランドのだだっ広い山間部の息をのむほど美しい自然の中で作り出される不穏な空気感。羊から生まれてしまった「何か」にアダという名前をつけ、人間のように育てる羊飼いの夫婦。育ての母と生みの母の対立は、人間と動物=自然の対立を生み出す。また、夫の弟という異物をどう受け入れるか、あるいは排除するのか。その緊張感の重なりが作り出すどの瞬間の映像にも釘付けになった。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    子を失った夫婦が誘拐をする。我が子のように育て続けるため、本当の母親を殺す。そして、家族3人幸せに暮らし始めるが……という話なのだが、この「子」というのが、頭が羊で首から下は人間の変わった生き物である。右半身は腕も羊だが、左半身は肩から人間で、胸も人間だ。お風呂のシーンがあり、わざわざ左胸だけが見せられるので、たぶんハートは人間ということだと思う。さて、この子は羊と人間との間に生まれたのではない。そういう組み合わせの話ではないようなのだ。

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