渇きと偽りの映画専門家レビュー一覧

渇きと偽り

世界的ベストセラーとなったジェイン・ハーパーによる同名小説を「NY 心霊捜査官」のエリック・バナ主演で映画化。旧友ルークの葬儀に参列するため、20年ぶりに帰郷した連邦警察官フォーク。干ばつが続く町で、フォークはルークの心中事件の真相究明に奔走する。共演は「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のジュネヴィーヴ・オーライリー、「ドクター・エクソシスト」のキーア・オドネル。監督は『ファイナル・アワーズ』の製作総指揮を務めたロバート・コノリー。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    小説を読んでる気分になった。先がどうなるかドキドキしながら読み進める感じ。友人の死から始まる導入もいい。主人公の男はキレものらしく常に沈着冷静。相棒の警官のへなちょこ具合が愛らしい。過去の事件と現在の事件がどう絡まっていくのか? だんだん興味がそこに向かっていく構成も見事だ。なかなか事件の真相が分からない。まだかまだかとイライラする。男はブレない。間違えても焦らない。もうちょい焦ろよ!とツッコミを入れてしまう。サスペンスが楽しめる良作。

  • 文筆家/女優

    唾蓮みどり

    かつて友人だった少女が川で溺れたこと、そして幸せなはずの友人家族が心中したとされる事件。二つの悪夢が交差しながら、刑事になった主人公によって謎は紐解かれてゆく。非常にスリリングで、見ていて先が気になり面白いものの、追い詰められた真犯人の最後の行動や、孤高な刑事の表情、事件の動機など、どこか2時間ドラマを見ているような気分が抜けないのは、綺麗にまとめられすぎているからか。雨の降らない街の乾いたざらつきをもっと感じたかった。少女の歌声が耳に残る。

  • 映画批評家、東京都立大助教

    須藤健太郎

    昔の同級生といい感じになるが、電話が鳴って中断。なるほど、これは「寸止めもの」か。事件の解明とはつまり射精のメタファーというわけだ。20年前にキスして、その気になったところで消えたエリー。解決済みのエリー死亡事件の真相究明は、彼にとって「個人的なこと」だという。遺品を見つけて真相に迫る姿は、20年越しの射精に向けて、想像を膨らませて自慰行為に耽る男そのものだ。彼は謎が解けたと思い、家路につく。満たされた表情で「ふう」と吐息を漏らしながら。

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