いつか、いつも‥‥‥いつまでも。の映画専門家レビュー一覧

いつか、いつも‥‥‥いつまでも。

「西の魔女が死んだ」「8月のクリスマス」の長崎俊一監督と脚本家・矢沢由美のコンビが贈るラブストーリー。祖父の病院で働く医師・俊英の前に、憧れの人に似た亜子が現れるが、性格は理想像からかけ離れていた。亜子は俊英一家の元で暮らすことになり……。主人公の俊英を「前田建設ファンタジー営業部」の高杉真宙が、都会の生活から逃れ俊英たちと一つ屋根の下で暮らし始める亜子を「町田くんの世界」の関水渚が演じ、人と人とのつながりを描く。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    「もっと超越した所へ。」もそうだが、作り手の独りよがりな想いを反映した、作品の中身がまったく伝わらない(だから必然的に覚えにくい)タイトルは日本映画の悪癖だと常々言っているのだが、なるほど、この作品は長崎俊一の抽象的な想いそのものが作品の中心にある。同じく、偶然が二つ以上重なった無理のある設定も日本映画の悪癖だと常々言っているのだが、その冒頭の設定から辛抱強くリアルな心理劇を紡ぎ出していく手腕はさすが。しかし、一体これは何の話だったのだろう?

  • 映画評論家

    北川れい子

    かつて長崎俊一監督と言えば、自主制作の「ユキがロックを棄てた夏」、男闘呼組の4人が主演した「ロックよ、静かに流れよ」「柔らかな頬」など、大いに感動、刺激されたものだが、本作はまったくいただけない。そもそも脚本がとんでもなくまとまりに欠け、いったい何を描きたいの? お人好しの歯科医院一家に突然迷い込んできた自己評価の低いお騒がせ女の話だが、後だしじゃんけんふうに無理やり一人息子とのラブストーリーに仕立てあげ。タイトルも私には意味不明。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    暗い色の血が流れるヤバイ映画の監督と知ってるからついそういうところを探してしまう。もうそれはないようにも思えるけれど見えないところを流れていると感じつつ観た。私はすごいピーキーな女性とつきあってたことがあって何度も泥酔昏倒を背負って帰り、ぞっとするような喧嘩を繰り返した。すごい好きだったけどこいつ狂ってると思ったが、当時の自分も狂ってたとのちに気づいた。近代日本文学の狂った女性を書いてる男も、実はそっちこそ狂ってた。その地平に立つ恋愛映画。

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