ブライアン・ウィルソン 約束の旅路の映画専門家レビュー一覧

ブライアン・ウィルソン 約束の旅路

アメリカのロックバンド「ザ・ビーチ・ボーイズ」の元リーダー、ブライアン・ウィルソンに密着した初めてのドキュメンタリー。「サーフィン・U.S.A.」「グッド・バイブレーション」「神のみぞ知る」、そして名盤『ペット・サウンズ』『スマイル』など、聴く者の心を浄化する歌唱と美しき旋律の秘密を探る。波乱万丈な人生を振り返り、秘められた想いが、自身の言葉によって語られる。輝かしい栄光の日々の半面、稀代の天才ソングライターが抱えていた哀しくも壮絶な真実も明らかになる。2022年6月20日に80歳となり、傘寿を迎えたブライアンの音楽への愛がほとばしる。
  • 映画評論家

    上島春彦

    知らない人はいないだろうが、このお方は単に一グループの音楽的リーダーに留まらず、ある時代の音楽的気分や志向性を独力で創造してきた。幻覚的なテレミン奏法とか浮遊感あふれる旋律と編曲コーラスの相互作用とか。日本にはビーチ・ボーイズの追従者は現れなかったもののグループ・サウンズの音楽の基底に影響は歴然。本作は人気の絶頂で突然ステージから降りた事情をブライアン本人の言葉で語る好企画。長年の友人であるインタビュアーのアシスタンスが心地よい成果となった。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    ブライアン・ウィルソンについてはまったく知らない状態での鑑賞。立て続けに観ていたアメリカのアーティストの自伝映画やドキュメンタリー映画のほとんどが酒やドラッグでの凋落のストーリーだったからか、違う趣向からの作品でその意味で新鮮に観た。ウィルソンへの愛に溢れているのは重々伝わってくるものの、唯一心を開いているという編集者との車内での対話が一つの主軸で語られていき、ややハイコンテクストでもあり、彼を知るための作品ではなくファン向けのように思えた。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    おそらくビーチ・ボーイズが全盛期をむかえる前から天使と悪魔が飛び交う冥界をのぞきこんでしまっていたブライアン・ウィルソンの、当時から今にいたるまで変わらないうつろなまなざしを見ているとどうにも胸がしめつけられるのだが、あれから60年近くの歳月が経ち、人間の領分をはるかに超えた天命を受け取ってしまったこの存在がそれを存命中にどうにかやり過ごし、友人や家族と散歩やドライブに出かけられる程度の日常を取り戻せた奇跡を思うと感動せずにはいられない。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事