北のともしびの映画専門家レビュー一覧
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
監督のフィルモグラフィーをふまえれば、戦争犯罪やそれに準じる人類の愚かさに対する一貫したスタンスがわかる。しかし、本作だけを見せられたら、同時代に陸軍731部隊のような国家機関があった国の映画作家が、どうしてナチスによる子供の人体実験を題材にした作品の制作に12年も費やしたのか、うまく飲み込めない。中盤以降は延々と歴史に対峙する現代の人々の描写に費やされるイレギュラーな構成や、わかりにくいタイトルにも、作り手の独りよがりを感じた。
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映画評論家
北川れい子
戦時下の生体実験は当時の日本でも行われていて、その事実を描いた映画もあるが、本作が取材し記録するナチによる子供たちへの実験は、あまりに酷く、言葉もない。現地に出向いての証拠写真や、当時を知る人々の証言はかなり広範囲で、中でもモルモット扱いをされた子供たち一人ひとりの顔写真と情報は胸を突く。その実験を始めたドイツ人医師の孫子親族からも話を聞き出している。記録映画としてはかなり感傷的な印象もしないではないが、全く腑に落ちないのは、本作のタイトル!!
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映画文筆系フリーライター。退役映写技師
千浦僚
ナレーション、意識的な構成によるオールドファッションなドキュメンタリーだがそのことの土性骨が重い題材をよく伝えている。変に手法が前面に出ては語れなかったろうと思う。ひとことも取材につけくわえての「さてこれに比して日本は」というものはないが、私は観ている間ずっと日本はドイツのような歴史教育してきたかできるか、を考えさせられた。犠牲となった子らの名を残すことを最後にもってくるつくりが良かった。感銘によって観客に訴え、刻むのだという意志を感じた。
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