X エックス(2022)の映画専門家レビュー一覧

X エックス(2022)

『ミッドサマー』のA24が製作したホラー。三部作(予定)の第1弾。野心的な女優のマキシーンら6人は、映画撮影のため、田舎の農場を訪れる。彼らは待っていたハワード老人から宿泊場所の納屋に案内されるが、そこは史上最高齢の殺人夫婦が棲む家だった。出演は「サスペリア」(18)のミア・ゴス、「スクリーム」(22)のジェナ・オルテガ、「ピッチ・パーフェクト」のブリタニー・スノウ、「ドント・ルック・アップ」のスコット・メスカディ。監督は「サクラメント 死の楽園」のタイ・ウェスト。
  • 映画評論家

    上島春彦

    おじいちゃん、歳を取るってそういうことなんですよ。と私が慰める義理もないのだが。老夫婦の“性”活に焦点を当てるホラーは珍しく、70年代末の殺伐とした雰囲気と併せて一見の価値あり。若者たちがポルノ・ビジネスで一旗揚げたい映像集団というのも時代を感じさせる。初期のAV市場に食い込むのが目標だからか、作品はソフトポルノにしている。妙に芸が細かい。劇中劇の小型フィルムの質感が懐かしい。その分スプラッタとしては上品。映画マニアに確かに受けそうなムード。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    「老い」をひとつのテーマとして持つホラー映画として近年公開された「レリック?遺物?」と、合わせ鏡といってもいいような作品。とはいえ老いること自体がホラーであるように描く一方で最終的には美しさとともに生を賛美しているともみれる「レリック」とは異なり、本作はとことん泥臭い。ひとりの女性俳優が若き姿と老いた姿を演じ、対峙させることで本作のグロテスクな様相がより際立つ。「ドント・ブリーズ」の老人男性とはまた別の恐ろしさをもつ老人殺戮が繰り広げられる。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    清々しいほどのムービー・ゴアぶり。ベースを「悪魔のいけにえ」に置きつつも、ホラーやエクスプロイテーション、ミュージカルなど、さまざまなジャンルをその映画的運動神経をもって縦横無尽に行き来するタイ・ウェストの身軽さと映画史に対する深い理解と愛情はいずれ大傑作に結実するだろう。過去のサンプリングから新しいものを生み出す一方、池の中で接近するワニと人との距離をドローンからのスーパー・ロングで捉えたショットなど、最新技術を用いた演出も効いている。

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