百年と希望の映画専門家レビュー一覧

百年と希望

2022年に創立100周年を迎える日本共産党の現在を「わたしの自由について~SEALDs 2015~」の西原孝至監督が追ったドキュメンタリー。1922年の設立以来左派政党として独自の立ち位置を貫いてきた同党の100年の歴史と、それを受け継ぐ若い世代の姿を映し出す。2021年の1年間、議員や党員、支援者、機関紙編集部や党の周辺など、現存する日本最古の政党である日本共産党の姿にカメラを向ける。
  • 脚本家、映画監督

    井上淳一

    比例代表は共産党に入れてきた。しかしこの映画はいただけない。「百年と希望」という大きな題名を付けるなら、共産党の黒歴史も描かないと。それをどう受け継ぎ、今があるのか。それなくして党は変わった、新世代には希望があると言われても。個人に対しても掘り下げがなく、薄ボンヤリした印象しか残らない。批判の刃は自身にも向けないと。志位体制に触れたくないのか。参院選のプロパガンダ映画でもいいが、それですらない。見事に何もない。なんか共産党に投票したくなくなった。

  • 日本経済新聞編集委員

    古賀重樹

    同じように若手政治家に迫った大島新やマイケル・ムーアの映画と違って、どうしてこうも出てくる議員一人一人に魅力がないのか? 個々の議員の問題ではなく、この映画の問題。彼ら彼女らはオジサン社会や新自由主義を批判するけれど、この映画にはオジサンも資本主義も映っていない。だから彼ら彼女らが何を批判しているのかわからない。どんな社会を目指すのかも見えない。批判する対象も目指す社会像も漠然としていて具体性がない。あるのはヒステリックな叫びばかりだ。

  • 映画評論家

    服部香穂里

    日本共産党にも1票を投じるに値する人材がいて、そのひとりが実母に言われてショックだったと語る、“娘を赤にするために産んだ覚えはない”といった偏見のようなものを取っ払うのには、一役買う作品かと思う。ただ、理想に燃えて政治にも関心を抱く若い世代が、その受け皿に共産党を選んで一斉に支持に回ったところで、低迷する投票率などクリアするべき問題は他にも山積みで、よくも悪くも、楽観的に“希望”を見出せてしまうようなプロパガンダには仕上がっていない。

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