グッバイ・クルエル・ワールドの映画専門家レビュー一覧

グッバイ・クルエル・ワールド

「星の子」の大森立嗣監督が「死刑にいたる病」の脚本家・高田亮と組み、西島秀俊ら豪華俳優陣を迎えて描く犯罪アクション。一夜限りの強盗団はラブホテルで秘密裏に行われるヤクザの資金洗浄現場を狙い、大金強奪に成功。しかし警察やヤクザに追われ……。元ヤクザ組長の安西はじめ全員互いに素性を知らない強盗団を西島秀俊、斎藤工、玉城ティナ、宮川大輔、三浦友和が、ラブホテルの従業員を宮沢氷魚が、刑事を大森南朋が演じ、波乱の犯罪劇を繰り広げる。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    大森監督は「『タランティーノを意識しない』ことを意識した」と語っているが、冒頭から「レザボア・ドッグス」のような即席集団による強盗を「ジャッキー・ブラウン」同様にボビー・ウーマックの曲にのせて描けば、観客にとって「意識しない」のは無理な話。作家性がまったく異なる(優劣ではない。大森監督の方が優れている点はある)のにそこに踏み込んだ本作は、やはり最後まで焦点が定まらない。半グレ描写も、たとえば最近の「JOINT」のような作品の精緻さには程遠い。

  • 映画評論家

    北川れい子

    警察は何してる! 殺しっぱなしの死体はどうなった!! ナンテ野暮なことは一切考えずに、ただ追い詰められたロクでなしたちの更なる悪あがきをじっくり見届けていれば、アララ誰もいなくなり。“序・破・急”を解体してスタートする高田亮のオリジナル脚本は、その場限りの強盗団の最年長(三浦友和)に、日本国家への愛想尽かしをチラッと言わせているが、見所は血祭りの応報によるロクでなしたちの共倒れで、クライムアクションとして最後まで気が抜けない。ラストの一発の銃声は誰が。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    面白いところも少なくないものの、それはありえん! と思わせるものが多すぎて、あまり買えない。登場人物の業とか無意識的な破滅願望と解釈することも難しいくらいのザル感、雑すぎて失敗するにきまってるやんけ感がすごい。悪人であるとかヤクザであることの表現をべらんめえ調というか悪ぶった口調の台詞に頼ってはいけないと思わせられた。大森南朋演じる情のある猟犬(ヤクザに飼われた刑事)や西島秀俊が演じた元ヤクザの、クルエルさにグッバイしたい風情は良かったが。

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