ニワトリ・フェニックスの映画専門家レビュー一覧

ニワトリ・フェニックス

「ニワトリ★スター」のかなた狼監督とメインキャストが続投し、設定を一新したロードムービー。いるはずのない“火の鳥”を探して旅に出る草太と楽人。それは、人生に漂う暗い影から、ほんの少しだけ逃れる束の間の逃避行だった。2人の珍道中の行方は……?出演は「麻希のいる世界」の井浦新、「まともじゃないのは君も一緒」の成田凌。
  • 脚本家、映画監督

    井上淳一

    世の中なんてクソ喰らえ的な苛立ちを無軌道に描いた前作、後半主人公二人とも堅気になり、一方は死にもう一方は地道に生きというラストに、なぜ破茶滅茶のままではダメなのかと思った。今回は最初から死の予感が漂い、不死鳥をどう捻るのかと思ってたら、二人とも良き父になり、その子供たちが、という話。堅気とか結婚とか死とかじゃない価値観を観たいというのは身勝手な願望だろうか。涙も似合わない。二人が魅力的なだけにもったいない。ずっと大麻キメてりゃいいじゃないか。

  • 日本経済新聞編集委員

    古賀重樹

    成田凌の力みのない芝居には好感がもてるし、時おり悪くないショットもある。それなのになんで画面に漫画みたいな加工をするんだろう。そもそもなにをそんなにしゃかりきになって説明したいのかがわからない。珍妙なキャラクターが次々と登場し、理不尽な「事件」が続々と起こるけれど、これもまた説明的な字幕以上の「事件」ではない。そこにまた挿入される湿っぽいエピソードはロードムービーの運動感を削ぐことにしか貢献していない。映画の力をちっとも信じていない。

  • 映画評論家

    服部香穂里

    根幹の井浦新と成田凌とのバディ感は悪くないのに、何を見せられているのか迷子になりそうになる雑多な枝葉に、個人的には困惑した前作。そのパラレルワールド的な位置づけで、クラウドファンディングも募るなどファンありきの企画に、外野から口を挿むのも野暮な気がするが、誰にとっても死との距離が縮まったコロナ禍を経て、粘着質だった暴力描写はマイルドに転じ、拍子抜けするほど平和な着地点に到る本作は、色々な点で、今後の映画の方向性を指し示す一例となるかもしれない。

1 - 3件表示/全3件

今日は映画何の日?

注目記事