KKKをぶっ飛ばせ!の映画専門家レビュー一覧

KKKをぶっ飛ばせ!

1970年代を舞台に白人至上主義結社 KKKへの復讐を「カニバル・レザーフェイス」のチャーリー・スティーズ監督が描いたバイオレンス・ホラー。KKKの残忍な一派に捕らわれた黒人3きょうだい。兄は彼らに喰われ、姉もレイプされ、姉と弟は壮絶な復讐に乗り出す。映画初出演のディオンドル・ティーグルらが出演。KKKことクー・クラックス・クランのはじまりの地であるテネシー州で撮影された。
  • 映画評論家

    上島春彦

    KKKって何なの、とか聞く人はあるまいと思うもののそこからしか語りようもなく。実在する白人至上主義団体の名で、ただし黒人の肉を食べる趣味があるというのは初耳。実話にインスパイアされた物語だとしても、話の盛り方に芸が見られない。機材の進歩を反映して画面はきりっとピントが合っているのだが、こういうのはむしろ前時代的な撮影機材で泥臭く撮った方が面白かっただろう。納屋と空き地のロケーションも上手いのだが上手い以上ではない。もっと冗談が欲しい気がする。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    「過激すぎて全米で上映中止」の触れ込みほど実際に過激かと言われると微妙な気もするが、スプラッター描写におけるリアリティと作り物感のバランスも良く、最後まで飽きずに面白く観られる。白人と黒人の人種問題を扱ったジャンル映画でいうと、去年劇場公開された「アンテベラム」と同様に白人が悪人化され、黒人が勧善懲悪のもと復讐するシンプルな構造のため、ストーリーはとりたててないに等しいが、そもそもこの手のB級映画にあってこれが正しい在り方だとも思わされる。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    演技も演出も台本も、映画を構成しているほとんどの要素が素人レベルで、かといってそれを戦略的に用いるわけでもなく、予算がないのに無理してハリウッド映画っぽいことをやってしまった系の映画に漏れ出るさもしさが充満しているものの、ポップコーンを食べながら深夜に見るエクスプロイテーション映画としては嫌味がないレベルの世界感と上映時間であった。しかしアメリカの景色をアメ車が走っているだけで自動的にアメリカ映画になってしまうのだなあ。

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