ヴォイジャー(2021)の映画専門家レビュー一覧

ヴォイジャー(2021)

「ダイバージェント」のニール・バーガーが贈るSF大作。2063年、新たに居住可能な惑星を発見した人類は、探査隊として訓練を受けた子ども30人と教官リチャードを航行期間86年の旅に送り出す。10年後、成長した子どもたちはある事実を知るが……。出演は「レディ・プレイヤー1」のタイ・シェリダン、「パリの恋人たち」のリリー=ローズ・デップ、「ダンケルク」のフィオン・ホワイトヘッド、「THE BATMAN-ザ・バットマン-」のコリン・ファレル。
  • 米文学・文化研究

    冨塚亮平

    舞台は宇宙船だが実質的には学園もののSF。コロナ禍の学生生活を想起させる序盤は悪くないが、「マトリックス」をもじったと思しき青い飲み物の拒否のみに先行世代への反抗を象徴させようとする稚拙な設定をはじめ、権力によって心身の健康を保つことを強制される状況への批判意識があまりにも表層的で、ひたすら子供の喧嘩が続く展開になんらかのブラックユーモアを込める意図も皆無。狭い空間の見せ方に腐心した様子が全く見られない撮影も含め、総じてとにかく工夫が足りない。

  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰

    降矢聡

    人類の移住先の探査隊として、特殊な訓練を施された優秀な子どもが宇宙へ旅立つという設定だが、なにがどのように優秀なのかがまったくわからないのが残念。専門的な知や身体能力の高さを感じさせる描写はほとんどなく、訓練の様子がよくわからないパズルを解いてる風なものだけなのだから、のちに起こる宇宙船での様々なトラブルにおいて、特殊な子どもであり、舞台が宇宙船という状況がうまく生かされているとは言い難く、ありふれた集団心理ものになってしまっている。

  • 文筆業

    八幡橙

    フィン・ホワイトヘッドはじめ注目の若手スターがこぞって出演している、どこか懐かしく、ある意味王道のSF作品。30人の子供たちを乗せた世代宇宙船を舞台に、彼らがやがて成長し、自我を持ち、我欲を無秩序に暴走させる様を描き出す、漫画『漂流教室』に「蠅の王」、さらには「エイリアン」や「遊星からの物体X」までをも盛り込んだ欲張りに過ぎる一本だ。船内に何者かが潜む恐怖や、密室内で一同疑心暗鬼になる過程など、より活かせる要素は多々あったはず。もろもろ惜しい。

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