プレゼント・パーフェクトの映画専門家レビュー一覧

プレゼント・パーフェクト

ドラマ『2Moons2』を手掛けたアーム・アヌソーン・ソイサギム監督によるラブストーリー。トーイは失恋の傷心を癒すため北海道・東川へ。そんな彼の元に、タイから独身最後の旅行に来たオートが訪ねてくる。予想外の同胞との出会いにトーイは困惑する。2017年LGBTQアムステルダム映画祭最優秀映画賞受賞。2017年ワールドフィルムフェスティバル・オブ・バンコクオープニング作品。
  • 映画評論家

    上島春彦

    北海道が数年前のように日本観光の目玉になる日が早く戻ってくるように、と祈らずにいられない。風景もいいし、主演のタイからやって来た若者二人も美形なので個人的には★を足しても良かった。そうならなかったのはコンセプト(話の腰)が弱いせいだ。女に振られたからじゃなく、はっきり政治的な挫折で故郷を捨てたとしてくれた方がすっきりしただろう。納豆とか温泉のカルチャー・ショックというのはありがちだが、中古カメラ屋への視線は斬新。これをもっと押したかったかも。

  • 映画執筆家

    児玉美月

    続篇である「プレゼント・スティル・パーフェクト」まで観た上でこの作品のみを評するが、異性愛規範を前提とした社会において運命づけられている同性愛(的)関係の挫折を着地点とする物語構造はこれまでの「クィア映画」のクリシェを踏襲したものであり、そこで断絶されているがゆえに観客にとってもまたこれ一本で鑑賞に耐えうるかと問われれば厳しいものがある。構造上の問題だけでなく、陰影のない平板な画面や観光動画然とした作風も映画として鑑賞後の物足りなさが否めない。

  • 映画監督

    宮崎大祐

    プロフェッショナルな仕事とは思えないほどの技術的なつたなさについては今は触れない。問題はその朗らかで軽妙な作品イメージの裏側に潜む、到底許容出来ない、ドス黒く暴力的な思想にある。酔っ払っていたんだからしょうがない。たかがセックス、忘れなさい。慣れてしまえば好きになるよ、納豆みたいに。少なくともわたしはこうした倫理がまかり通る世界には生きていたくないし、こういう野蛮な世界が未だに存在することを認知しつつも決して受け入れるつもりはない。

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