さよなら、バンドアパートの映画専門家レビュー一覧

さよなら、バンドアパート

平井拓郎の実体験をもとにした同名小説を映画化したバンドマンのほろ苦い青春ドラマ。コロナ禍や東日本大震災よりも前の大阪でミュージシャンを目指す川嶋は、ユリと出逢う。ユリに背中を押された川嶋はその後、プロデビューするが、厳しい現実が待っていた。監督は、「ニート・ニート・ニート」の宮野ケイジ。出演は、本作が映画初主演となる清家ゆきち、「さがす」の森田望智、元AKB48の梅田彩佳。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    私小説的フォークソングを8ビートにのせただけの音楽を「ロック」とするこの界隈のドメスティックなバンド音楽にまったく関心がないので重い気持ちで観始めたのだが、画面の構図が冴えていて、撮影、照明、編集など映画としての骨格は引き締まっている。とはいえ、やはり題材そのものの閉鎖性からは最後まで逃れられず。それと、30年近くレコード会社と仕事をしているが、こんな輩のような態度のスタッフにはお目にかかったことがない。これが実話ベースならば、運も悪かった?

  • 映画評論家

    北川れい子

    1人のミュージシャンの、なんとも緩くて薄味の、ボクの来た道である。ビジネス先行の音楽業界に対する異論、反論なども描かれているが、そもそも主人公がどこまで本気でミュージシャンを目指したいのか曖昧のまま、出会った女性たちに背中を押されてギターを手に弾き語り。演じている清家ゆきちもミュージシャンだそうだが、劇中の歌とギターは言ってはワルいが、とても人を惹き付けるパワーは感じられず、がなぜかプロデビュー。彼が関わる女性たちの昭和的なキャラにも?然。

  • 映画文筆系フリーライター。退役映写技師

    千浦僚

    ミュージシャンってもっと練習ばっかり作曲ばっかり実験ばっかりしてるんじゃないだろうか。しかしそれを映画でやると相当変なことになる、ずっとそれを見てられないから人生的、青春的側面ばかりをやっているのだと思ってる。漫画の『BECK』『BLUE GIANT』とか映画にしづらそう。映画「ワン・プラス・ワン」とか「南瓜とマヨネーズ」はそういう点がよかった。本作は割りとオーソドックスにライブシーンや若き日々を。それに異論はない。音楽、音が全般的に楽しかった。

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