ティル・デスの映画専門家レビュー一覧

ティル・デス

    ミーガン・フォックス主演のシチュエーション・スリラー。人里離れたレイクハウスで迎えた結婚記念日。エマは理由もわからぬまま、夫の遺体と手錠でつながれてしまう。外界と隔絶された絶望的な状況からの脱出を試みる彼女に、正体不明の男たちが襲い掛かる。共演は「バイオハザード:ザ・ファイナル」のオーエン・マッケン。監督のS・K・デールは、本作で長編デビュー。
    • 映画監督/脚本家

      いまおかしんじ

      ワンネタで押し切った。すごい。パンツ一丁の死体がずっと雪の中にいて、役の人、大丈夫かと思った。死体に繋がれた主人公の女の人がどうなるのか。見所はたった一つだけ。実にシンプルな作りだ。一難去ってまた一難。一瞬も目が離せない。気になるのは女の人のキャラクターだ。今いち何考えてるか分かんない。ずっと怒ってるので嫌な人に思える。もうちょっと可愛いところがあれば好きになれたかも。女を追う犯罪者コンビもパターンで残念。面白かったけど残らなかった。

    • 文筆家/女優

      唾蓮みどり

      執着するというのは子どもっぽい行為なのだなとしみじみ感じさせられる。夫のナルシストぶりも、妻の塗り固めた“女性らしさ”も、凶悪犯の恐ろしい表情も、凶悪犯の相方の小物っぷりも、役者が見事に全員ハマり役。キレイにハマりすぎているせいか、完璧すぎて怖くない。怖そうで怖くないと感じてしまうのは、どこかで見たシーンと感じてしまうせいかもしれない。結婚式での誓いの言葉「死が二人を別つまで」なのに、夫の死後唐突サスペンスが始まるのはちょっと違和感があった。

    • 映画批評家、東京都立大助教

      須藤健太郎

      この種の映画にはなんか決まった呼び方があるのかもしれないが、主題はいつも「脚本との対決」であり、負けるのはきまって脚本である。夫の究極の復讐が思い描いたとおりにはいかないというのは、要するに夫が脚本家であり、綿密に脚本を組み立てるのだが、その登場人物である妻がその筋書きから必死で逃れていくわけだ。何が皮肉かというと、こういう物語の展開のために作り手は必死で脚本の完成度を高めようとする点だ。脚本の敗北を描くために、脚本の勝利を目指すという逆説。

    1 - 3件表示/全3件